音楽ナタリー Power Push - 大原ゆい子

映画主題歌で歌手デビュー 注目シンガーソングライターの音楽履歴書

夢見ることを忘れないで

──シングルの表題曲でもある「Magic Parade」は、「リトルウィッチアカデミア」の主題歌としてMANYOさんから提供を受けたナンバーですね。この曲を初めて聴いたときの感想を教えて下さい。

大原ゆい子

自分はここまで壮大で、空を駆け抜けるようなさわやかな曲って作らないなって思ったのが第一印象ですね(笑)。この曲が劇場で流れたら素敵だろうな、歌ったらすごく気持ちいいだろうなって思いました。ただ、いただいた曲だから「どうやって歌うのがベストなんだろう?」って考えてしまって歌い方がなかなか定まらなくて、レコーディングまでは不安ばかりでした。自分にちゃんと歌えるのかなって。

──そうだったんですね。ではその不安は、どうやって解消したんですか?

この映画は仲良しの魔女の女の子3人組が夢に向かって成長していくストーリーなので、3人ががんばる姿を自分に重ねることができるなって考えたんです。そうしたら、私にも達成したい目標がいっぱいあるので「常に前に向かって行かなきゃ」っていう実感を込めて歌うことができました。さわやかな風が吹くようなイメージを頭に思い浮かべて歌って……なんだか、自分の曲を歌うときとはまた違った感覚があります。

──作中の3人の魔女たちにご自身の姿を投影されたんですね。

そうなんです。曲の歌詞の中に「夢見ることを忘れないで」っていう一節があるんですけど、この言葉は自分自身にもいつも言い聞かせている言葉なんです。夢を持ち続けていたらどんどん前に進めると思うので。以前「イメージできることは、人は必ず実現できる」っていう言葉を聞いたことがあるんですけど、この言葉は本当にその通りだなと思っていて。目標は高く持って、頭の中で想像することを大切に、日々行動するようにしています。

大丈夫だよ、1人じゃない

──カップリングの「世界のどこかで」と「星に雲に揺れる木々に」は大原さんが作られた曲ですね。「世界のどこかで」は、どういったコンセプトで作られたんですか?

私にも、(『リトルウィッチアカデミア』の主人公の)アッコたちのように大切な友達がいて。「世界のどこかで」はその子たちと遊んだ次の日に思い浮かんだ曲なんです。自分は1人で夢に向かってがんばってるつもりだったけど、いろいろな場所でがんばっている友達と話をしたら「1人じゃないんだ」って思えて。そのときに曲が思い浮かびました。

──では歌っているときも友達のことを考えて?

大原ゆい子

そうですね。遠くでがんばっている友達を応援するような思いと、自分も負けられないからがんばろうっていう気持ちを込めて歌っています。

──「星に雲に揺れる木々に」は1、2曲目とはがらりとテイストが変わって、優しい弾き語りのナンバーですね。

この曲は、スタッフさんから「3曲目に入れたい曲ある?」って聞かれたとき、すぐに「この曲を入れたい」て思った曲だったんです。自分の中ですごく思い入れがある曲だから、いろんな人に聴いてほしいなって。

──静かに語りかけるように歌われていて……これまでのお話を聞いていたら、この曲が1番大原さんらしさが出ている曲なのかな?と思えました。

そうかもしれません。私よく、「明日死んだらどうしよう」とか「今隕石が落ちてきたらどうしよう」って考え過ぎて夜に眠れなかったりするんです(笑)。だけど、不安に襲われて眠れなくなってしまう人って、私だけじゃないと思うんです。この曲は、そうやって眠れない人や、1人ぼっちでいる人に「大丈夫だよ、1人じゃないんだよ」って思ってほしくて作った曲です。3曲の中では、一番自分らしさが出ていると思います。

ありふれた出来事や日常を大事にしてほしい

──CDデビューされて、ますます活動も増えていくと思いますが、今後はどんなふうに進んでいきたいですか?

自分が歌を歌えているという現状にすごく感謝しているので、その気持ちを忘れないように、これからたくさん歌を歌っていけたらって思います。

──改めて、ご自身で考える「大原ゆい子らしさ」って、どんなところでしょう。

そうですね。私はきっとありふれたことしか言えないけど、そのありふれた出来事や日常を大事にしてほしいなっていう思いを曲に込めているので……そういうところが自分らしさかもしれません。変わったことではなくて、日々の出来事を繊細に感じ取ってほしいなって思いながら曲を作っていきたいと思っています。

──ちなみに、先ほど大原さんは「夢はいっぱいある」っておっしゃってましたが、具体的な目標を教えてくれますか?

まず、たくさんの人に自分の歌を聴いてほしいっていうことが何より1番の目標ですね。歌を聴いた人が何かを感じたり、一生懸命生きようって思ってくれるようになることが目標です。ほかにも細かい目標はホントにたくさんあります(笑)。

──そうなんですね。その夢を叶えるために、どうしていくのが大事だと思いますか?

たくさんの人に聴いてもらうにはまず自分ががんばらないといけないですね。まずはとにかく、目の前のことを1つひとつ、しっかりとやっていこうと思っています。今はそれしか考えられないですね。

大原ゆい子
メジャーデビューシングル「Magic Parade」2015年10月7日発売 / 1296円 / TOHO animation RECORDS / THCS-60079 / Amazon.co.jp
「Magic Parade」
収録曲
  1. Magic Parade
  2. 世界のどこかで
  3. 星に雲に揺れる木々に
  4. Magic Parade(Instrumental)
  5. 世界のどこかで(Instrumental)
  6. 星に雲に揺れる木々に(Instrumental)

映画「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」2015年10月9日公開

映画「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」幼い頃に観た魔女・シャイニィシャリオのショーで魔法の魅力に取り憑かれて、ヨーロッパの魔女育成名門校「ルーナノヴァ魔法学校」に入学したアッコ。しかし彼女は、いまだにホウキにも乗れないどころか、授業でも騒動ばかり起こしている。そんなアッコと友人で世話役のロッテ、皮肉屋のスーシィの3人は、罰として魔女狩りの歴史を再現したパレードに参加させられることに。同じく問題児グループのアマンダたち3人と一緒にパレードを成功させなければ、落第決定。しかしどうせなら思いっきりハッピーなパレードにしたい! そう考えたアッコたちの、街全体を巻き込んだ魔法仕掛けのパレードが動きだす。

スタッフ

監督・キャラクターデザイン・作画監督:吉成曜
脚本:島田満
美術監督:金子雄司
音響監督:渡辺淳
音楽:大島ミチル

キャスト

潘めぐみ
折笠富美子
村瀬迪与
日笠陽子
志田有彩
村川梨衣
上田麗奈
日高のり子

大原ゆい子(オオハラユイコ)

大原ゆい子2月5日生まれ、千葉県出身。3歳から音楽教室に通い始めたことをきっかけに、歌や楽器の演奏に興味を持つ。小学校5年生からはバイオリンを、18歳からは音楽専門学校で作詞作曲を学び、2012年から都内のライブハウスを中心にライブ活動を本格的に行う。2015年10月公開のアニメ映画「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」の主題歌オーディションに合格し10月7日発売のシングル「Magic Parade」でデビューを果たす。