もう秦さんの世界にどっぷり浸かろう
──歌詞の言葉選びにも秦さんらしさが感じられますよね。
そうですね。ただ、今まで私が歌ってきた歌詞にちょっと寄せて書いてくださったんだろうなと感じるところも多くて。なので歌詞が上がってきた段階で、この曲に対するイメージが自分の中ですごく明確になったんですよね。だって「マイ フェイバリット ジュエル」ってタイトルは、秦さんご自身の曲には合わなそうじゃないですか(笑)。そこはやっぱり女の子に書きましたというイメージなんだろうなあって。
──確かにそうですね。曲のテーマに関しては何かオーダーはしたんですか?
基本的にはお任せしました。曲も秦さんに書いていただくわけなので、そこに一番合う歌詞はちゃんとわかってくださると思ったので。細かい部分、例えばタイトルにもある“ジュエル”というワードを歌詞の中でも使うかどうかとか、そういうところで何度かやり取りさせていただいたりはしましたけど、今回はもう秦さんの世界にどっぷり浸かろうと(笑)。
──歌詞の内容からはどんなメッセージを受け取りましたか?
小さい幸せを大きな幸せに感じられる瞬間。それがテーマになっているんですけど、そういう日常に寄り添ったことを歌えるのが私はすごくうれしかったんですよ。今までの私の歌はたくさんの人を応援するメッセージを込めたものだったりとか、ちょっと大きなテーマが多かったような気がしていて。それももちろん私にとっては大切な表現のテーマなんですけど。
──今回も聴き手の背中を押してくれる楽曲だとは思いますが、もっと個に寄った描き方、パーソナルな雰囲気がありますよね。すべての人にとって自分だけのテーマソングになり得る曲と言うか。
そうそう。何気ない日常の中にこそ幸せはあるんだよというメッセージは、私自身にもすごく響くものでしたからね。歌詞の中に「散歩している犬」というフレーズがあるんですけど、そこに小さな幸せを感じるなんて、秦さんってかわいいなって思いました(笑)。私も犬好きだからその気持ちはよくわかるし。
──秦さんもそういった小さな幸せを日常の中で大切にされているんでしょうね。
きっとそうですよね。しかも、「よろこびの中に」だけ幸せがあるんじゃなく、ちゃんと「悲しみの先にわたしだけの幸せがあるから」というフレーズが入っているところもすごくよくって。ズーンと心に響きましたね。私は常々、聴いてくださる方が親しみを覚えてくれるような歌を届けたいなと思って活動をしているんです。そういう意味では、自分の真髄にある価値観にしっかり合致した曲になったなと思います。
秦基博プロデューサーはスパルタ!?
──レコーディングはいかがでしたか? 秦さんが現場にも足を運んでくださったとおっしゃっていましたが。
実は最初は秦さんからのディレクションはなく、自分なりに全部歌ってみたんですよ。あったかさと優しさを含んだ、秦さんの楽曲の持つ絶妙なニュアンスをどう表現したらいいかを考えながら。
──具体的にはどんなところを大事に歌っていきました?
私は歌詞を大切に届けたいので、いつもは滑舌よく単語1つひとつを丁寧に歌っていくんですけど、この曲に関しては果たしてそれでいいのかなという疑問もあって。いろいろ試したりはしましたね。あと、今回はハッピーな曲ではあるけどパーッと明るいだけの曲ではないので、Aメロではあえて笑顔を作らず、真面目な表情で歌ってみたりとか。ホントに細かいところまでかなりニュアンスに迷いながら録っていきました。そこで一応全部録り終えてはいたんですけど、翌日に秦さんがスタジオに来てくださって、もう一度レコーディングしたんですよ。
──秦さんからは細かいディレクションがあったんですか?
自分なりに考えていた以上に、微妙なニュアンスを求められました。「単語ごとに区切って歌うのではなく、1つのフレーズとして流れるように歌ってほしい」とか。けっこう細かく、何テイクも歌いました。自分では「できたな」と思って秦さんの顔を見ると、「もう1回やってみようか」と言われたり、「今のどうかな?」と思ってたら「天才! 完璧!」って言われたり。しかも秦さんがうまいのは、「完璧!」って言ったあとに、「じゃもう1回、記念にやってみよっか」って言うんですよ(笑)。結果、記念テイクが10回以上ありましたからね。「うわー鬼だな」と思って。
──あははは(笑)。けっこう厳しいんですね。
そうそう。あのふわふわした雰囲気からは想像が付かないスパルタな現場でした(笑)。でもすっごく楽しいレコーディングでしたよ。「完璧!」って言われたあとなので、次の歌はいい意味でちょっと力が抜けると言うか、ホントに「記念」として歌えるんですよ。で、それがいいテイクにつながって、そっちを生かした部分もあるし。「ああ、こういうやり方もあるんだな」って、新しい発見になりましたね。
──見事なプロデュースワークですね。
ホントに。笑っちゃいましたけどね、「何回やらせんねん」みたいな(笑)。
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- 大原櫻子「マイ フェイバリット ジュエル」
- 2017年8月9日発売 / Victor Entertainment
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初回限定盤A [CD+DVD]
1620円 / VIZL-1225 -
初回限定盤B [CD+DVD]
1620円 / VIZL-1226 -
通常盤
[CD]
1296円 / VICL-37312
- CD収録曲
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- マイ フェイバリット ジュエル
- Jet Set Music!
- ALIVE
- 初回限定盤A DVD収録内容
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- マイ フェイバリット ジュエルMusic Video
- 初回限定盤B DVD収録内容
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- 「CONCERT TOUR 2016 ~CARVIVAL~」番外編