小倉唯|10thシングルでたどり着いた“私のロックナンバー”

小倉唯が10月30日に10thシングル「Destiny」をリリースする。

表題曲は小倉が主人公・各務原あづみ役を演じているテレビアニメ「Z/X Code reunion」のオープニングテーマ。上松範康(Elements Garden)が作曲した、疾走感あふれるロックテイストの楽曲となっている。キュートでラブリーなパブリックイメージを持つ小倉にとって、ロックナンバーとはどういう位置付けのものなのか? その思いや表現について話を聞いた。

取材・文 / 中川麻梨花 撮影 / 斎藤大嗣 衣装協力 / Liquem

いつでも“挑戦”

──ついに10枚目のシングルですね。

小倉唯

はい。今回は制作していて、自分の中でも記念すべき10枚目のシングルだという意識が強かったです。正直「まだ10枚目か」という気持ちもありますが、“10”という数字を見ると、今までいろいろ活動してきて、やっとここまで来たんだなと感慨深い気持ちになりました。作品の完成度としても、すごく高いものになったんじゃないかなと思っています。

──5月に行われたツアーファイナルで10thシングルの制作決定と、上松範康(Elements Garden)さんが作曲を担当することが発表されました(参照:小倉唯、最大規模ツアーでステップアップ!多彩な表現で魅せた全23曲)。会場の歓声から、小倉さんと上松さんのタッグに対する期待の大きさを感じました。

発表したときはまだ楽曲もなかったので、私もお客さんと同じような気持ちでドキドキしていました。上松さんは数々の素晴らしい楽曲を手がけていらっしゃって、とても偉大な方というイメージがあって。そんな上松さんと一緒になって物を作り上げたときに、一体どんなものが生み出されるんだろうと、自分でも予想できない感じでしたね。それをちゃんと歌いこなせるのかなという不安もありました。

──上松さんの作風に対しては、どういうイメージをお持ちでしたか?

ライブですごく盛り上がるような、熱い楽曲を書かれているイメージがありました。

──表題曲の「Destiny」もまさにそういった楽曲になっていますね。今回、疾走感のある曲調になったのは、「Z/X Code reunion」の作品性から自然と? それとも小倉さん側から曲調に関してオーダーされたんですか?

この曲に関してはコンセプトから曲調、アレンジの方向性まで、ほぼ上松さんにお任せさせていただく形でした。今回、「Z/X Code reunion」の原作者の藤真先生が「小倉さんと上松さんのタッグで主題歌を聴きたいです」と提案してくださって、このコラボが実現したんです。上松さんに楽曲を書いていただけるなら、素晴らしいものになるだろうと確信しました。スタッフさんと上松さんの間では、わりと早い段階で、ロックでカッコいいアゲアゲな曲というテイストが固まっていたようです。

──小倉さんとしてはひさしぶりのロック調のアグレッシブな楽曲ですね。

「Future Strike」(2016年11月発表)以来になりますかね。しばらくこういった曲調の曲はなかったんですが、上松さんにロックナンバーを書いていただけて、このタイミングでチャレンジできるのは、私にとってすごく意味のあることなんじゃないかなと思いました。

──小倉さんと言えば「Honey♥Come!!」のようなポップでかわいい楽曲のイメージが強いですが、アグレッシブなロックチューンも真髄という印象があって。「Raise」でデビューされて、ライブの中でもロック調の「Raise」「Future Strike」でペンライトの燃えるような赤い光で会場が染まる光景は、大きなハイライトの1つになっていますね。ロック色の強い楽曲を歌うことに対して、何か特別な意識はありますか?

小倉唯

私にとってロックナンバーを歌うことは、いつでも挑戦だなと思っています。デビューシングル「Raise」も「Future Strike」もそうなんですが、私のイメージとロックナンバーって、よくも悪くもちょっとアンバランスじゃないですか(笑)。でも、それもロックナンバーを歌い続けてきて、ライブでお客さんと一緒にどんどん一体感を高めて作り上げてきた、1つの自分のパフォーマンススタイルでもあるんです。いい意味でアンバランスさをどんどん形にしてきたというか。なので、そういう意味では「Destiny」も挑戦だなと思いましたね。これまでロックナンバーにチャレンジするときは、自分の中でいろいろな課題やテーマ、ミッションを設けてきたんです。今回も自分に新たなミッションを与えて、それをクリアしていこうというイメージで歌いこなそうとしてきました。

──今“ミッション”という言葉がありましたが、「Destiny」は同じくロック色の強い「Raise」「Future Strike」といった楽曲と比べても、また違った挑戦がなされたのではないかと思います。しなやかで美しい強さが感じられると言いますか。

自分の中でも、そこに挑戦したという感覚はかなりありましたね。タイアップで、しかも上松さんの楽曲ということで、すごくプレッシャーを感じていたんですが、それに負けないくらい自分のアーティストとしての今までの経験や、自分なりの熱い思いを持ってチャレンジしていきました。