にゃんぞぬデシ|なめられがちな人へ送る応援歌

初めて作ったのは「You Is Dream」

にゃんぞぬデシ

──自分で曲を作り始めたのはいつですか?

中2の終わりぐらいです。小6からラジオを聴くようになって、TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」で10代限定のコンテスト「閃光ライオット」があるのを知ったんですよ。番組内で応募者の音源がめっちゃかかるんですけど、それを聴いて「もっといいの作れる! 絶対出たい!」と思って。当時はスピッツさんとBUMP OF CHICKENさんにハマっていて、あと「BECK」というマンガが好きだったんですね。憧れのアーティストさんやマンガの登場人物など、歌ってる人がみんなギターを弾いてるから「ギターを買えば自然に曲が作れて歌えるようになるんだ」と思って買って、すぐ曲を作って応募したんです。

──すんなりできましたか?

自分ではできたつもりになってましたけど、コードがわかるようになってから聴いてみたら、伴奏とメロディが全然合ってませんでした(笑)。でも2次審査までいったんですよ。

──コードが合っていなくても、光るものがあったんでしょうね。歌のテーマは?

「音楽が夢だな」と思ってたので、「You Is Dream」っていうタイトルで。

──「You Are」じゃなくて?(笑)

ちょうど英語を勉強していた時期で(笑)。でも「Are」よりも「Is」のほうが「○○は」というニュアンスに近いと思い込んでいて、あえて「Is」にしたんです。「今やらないと意味がないんだ!」という思いを込めて作りました。

コンテストへの応募が流行っていた

──高2のときモナレコで歌ったのが初ライブだそうですが、それまでは?

にゃんぞぬデシ

ひたすら曲を作っていました。ギターを触るのも曲を作るのも楽しくて、義務感とかじゃなく、作りたいから作る感じで。でもライブをやってたわけではないから、誰に聴かせるでもなく……あ、そうだ。「誰に聴かせるでもなく」じゃないや。

──実は聴かせていた?

はい。「閃光ライオット」に応募したあとに、ほかのオーディションなどにも応募しました。自分の中で応募することが流行ってたんです。当時は携帯を持っていなかったので、カセットテープを買ってきて録音してました。

──反応はいかがでしたか?

「もっと聴きたいです」言ってくれた人がいたので、もっと作ろうと思いましたね。作るだけでも楽しいけど、「誰かに曲を聴いてもらって、感想を聞くことがこんなに楽しいんだ!」と思って、1、2年はその方々に聴いていただいてました。それで「いい曲だね」と言われた曲について「あ、これがいいんだ」と思ったりして。

──好評な曲を分析して磨くことで、曲作りの修業をしていったんですね。

はい。小学校のときから文章を作るのは好きでしたね。作文の課題で、教科書に載ってる文章の続編を書いていました。登場人物がほかの土地で過ごしているみたいなアナザーストーリーを作ったりしていました。小4のとき、“2分の1成人式”で「将来の夢」という課題があったんですけど、20歳のときに東京大学に入学して、学食に通ううちにある日1人の友達と出会って、今日はその子と遊園地に行くんだ、みたいなことを書いていましたね。現実にはなりませんでした(笑)。

──想像力豊かな子だったのは間違いないですね。本はよく読んでいましたか?

野口英世とかマリー・アントワネットとか、伝記のマンガが図書館にあって、それをよく読んでいました。お話を作るのが好きになったのは、テレビドラマをよく観ていたからかもしれないです。「結婚できない男」(関西テレビ・フジテレビ系)とか「ラブレボリューション」(フジテレビ系)が好きでした。

星野源さん、槇原敬之さん、パーマ大佐さん

──音楽に開眼したのはマイケル・ジャクソンがきっかけでしたが、直接、音楽的に影響を受けた人というと、スピッツとBUMP OF CHICKENのほかに誰かいますか?

星野源さんとか、槇原敬之さんとか。J-WAVEの星野さんの「RADIPEDIA」をずっと聴いていたんですよ。音楽作りが得意なのはアーティストで、ラジオで面白い話をするのは芸人さん、みたいに区別していて。星野さんはラジオで面白い話をしているうえに「こんなにステキな音楽を作るんだ!」と感動しました。バンプさんもラジオをきっかけに好きになったんです。

──槇原さんはどんなところが好きなんですか?

槇原さんの曲って、1つのドラマを観たかのように思える歌詞が魅力的ですよね。情景が鮮明に浮かぶのが好きなので、私の曲でも、何かしら聴いている人の中に浮かぶようにしたいなと思いながら作っています。

──デシさんも歌詞のストーリーの作り方がすごく上手ですね。例えば「同じ空の下どころか」(2018年7月発売「魔法が使えたみたいだった」収録)は、理屈っぽいけど調子もいいし、聴いていると話がずれていくような面白さを感じます。

伝えたいことを全部言うとくどいなと思ったら、ふざけるエッセンスを入れたりしますね。変なフレーズを入れようと思って「隣の隣の隣の月で誕生日近いのに」と書いたりとか。パーマ大佐さんがYouTubeに「J-POPの歌詞あるあるの歌」っていうネタ曲を上げてたんですね。そこで「どうせ愛している君は今日も同じ空の下にいるのだろう」と歌ってたのを聴いて、確かに“同じ空の下”っていう歌詞多いな」と思ったんですね。それから一時期“同じ空の下”についてめちゃめちゃ考えてて(笑)。「待てよ。日本だろうがブラジルだろうが、地球上にいる限り“同じ空の下”なわけじゃん。でも、みんなが言ってる“同じ空の下”って、それどころか、同じ国どころか、もっと近いところだよね?」と思ってできたのが、あの曲です。