もっとクラシックを気軽に楽しんでほしい

──カップリングにはミディアムバラード「永遠の記憶」が収録されています。

これはけっこう前からアイデアはあったんです。ボイスメモにイメージが残っていて。それを今回、改めて1曲にしました。

──ボイスメモにはどんなイメージを吹き込んでいたんですか？

「切ない感じで、ジブリとかディズニーのようなちょっとファンタジーな雰囲気で、ティンカーベルの粉みたいな幻想的なキラキラ感があって、シンフォニックとピアノのアンビエントみたいな感じ」……みたいな。抽象的すぎて俺しか理解できないと思うんですけど（笑）。

──そうやって言葉で入ってるんだ！

そうです、そうです（笑）。言葉で残しておくとイメージがパッと蘇るので、それをアレンジャーさんにお伝えしてアレンジしてもらった感じですね。

──攻撃的な印象のある表題曲とは対照的に、こちらはすごく優しい雰囲気がありますよね。この2曲を聴いただけでもシンフォニックロックの持つ可能性の幅を感じることができました。

まさにそれを感じてもらえたらなと思って、今回はこの曲をカップリングにしました。僕は皆さんにもっとクラシックを気軽に楽しんでいただきたいという思いがあるんです。例えばバイオリンの音色1つにしても、表題曲は弦の「ギリッ」ていう鋭い音が感じられるくらいすぐ近くで鳴っているけど、このカップリング曲のほうでは弓を優しくアップダウンすることで生まれる優しい空間に包み込まれるような雰囲気を感じてもらえると思うんです。

一緒に過ごした相手への感謝の思い

──この曲は歌詞もすごくよくて。別れた相手への温かい思いが綴られている、ちょっと大人なラブソングですよね。

別れにはネガティブなイメージがあるけど、そうではない別れもあると思っていて。キラキラした時間を一緒に過ごして、お互いに成長し合えた関係の人に対しては、たとえ別れてしまったとしてもちゃんと感謝することができるじゃないですか。で、そういう思いを持てていれば、今大切にしている人に対してもちゃんと愛を表現できるんじゃないかなって。大きいテーマですけど、そういったことをきれいなサウンドに乗せて表現できたらなと思って歌詞を組み立てていきました。

──ボーカルはすごく繊細な表現をされていますね。歌に関しても表題曲との対比が感じられました。

表題曲とは違った大変さがありました。ポップスってクラシックに比べると、ボーカルのニュアンスはある意味何でもアリなんですよ。選択肢が無限にあると言うか。

──この曲ではどんなニュアンスを出そうと思いました？

朗々とした声を聴かせると言うよりは、1人で思いを馳せている感じと言うか。当時は言えなかった思いだったり、別れたことで気付けた感情を、独り言のように、でもしっかり起伏を持たせながら大事に歌っていきました。

今、とてもワクワクしてる

──レコーディングでは何度もテイクを重ねるタイプですか？

基本的にはそんなに重ねないですね。自分の中でイメージの路線がいくつかある場合は、まずそれぞれ極端な例を録ってみるんですよ。で、方向性が定まったら、その中でまたニュアンスを細分化して録ってみる。その方向性さえ決まればあとは速いんです。迷い出すと大変なんですけどね（笑）。

──TatsuさんとNatsuさんは？

2人も速いですよ。採譜したものを覚えて演奏することに長けてる人たちなので、レコーディングはほんとにサクッと終わっちゃいます。

──優秀なユニットですね。

優秀ですね、ほんとに。あはは（笑）。

──2枚のシングルをリリースしたNormCoreですが、ここからはどんな活動をしていきたいですか？

プロジェクトとしてはまだまだ始まったばかりなので、守りに入ることなく、想像できないゾーンにも勢いよく飛び込んでいきたいなと思っていますね。

──想像できないというのはリスナー的に？ それともNormCore的に？

どっちもですね。予想できる範囲内に止まるのではなく、活発にリリースやライブをしてどんどん枝葉を広げていきたいなと思います。いろんな人からいただく意見や提案に対しても、自分たちで咀嚼したうえで試してみたい気持ちもありますし。これから何が起こるかわからないからこそ、今とてもワクワクしてますね。