Jinmenusagiと電波少女の言葉には説得力があった
──そんなNIHA-Cさんが音楽制作に戻ってこれたのはなぜですか?
「俺は自分が思ってる以上にダメなヤツで、何もできない人間だ」と自覚できたからです。前作から今作まで約2年半かかってるんですけど、そのうち1年半くらいは何もしないでただただ思い悩んでただけなんです。そのモヤモヤした期間をどっかに投げ捨てたくて作った曲が「リーダー」。もうこんな日々の送り方はしないぞっていう。
──なるほど。
「リーダー」ではウサギくんや電波少女をはじめ、いろんな人たちから言ってもらった言葉が歌詞になっています。ウサギくんや電波少女は「音楽をやりたいならやろう!」とよく言ってくれました。彼らが、なりたい自分をイメージして毎日努力してるのを知ってたから、言葉に説得力があったし、スッと胸に入ってきました。
──そう考えると、Jinmenusagiさんとの楽曲「トモダチ」はより感動が増しますね。
そうですね。あの曲はさっき話してた内容をそのまま曲にしています。友達がテーマの曲を作りたいと思っていて、一番ラップがうまくて、かつ親友と言える人とやりたかったんです。
──日高さんもグッドガイですが、Jinmenusagiさんや電波少女の2人もめちゃくちゃいい人ですね。
本当にそう思います。俺みたいなヤツと辛抱強く付き合ってくれて(笑)。だからこそこの「リーダー」は昔の自分に対して言いたいことを歌詞にして、自分のケツを蹴っ飛ばす歌にしたかった。「何ダラダラしてんだっ!? 何も自分で決められなくて人に相談ばっかして、そのくせアドバイスは受け入れないって」という。同時にそれが応援歌にもなると思ったんです。
「ヤリ捨てされた男」というパターンだってある
──ちなみに今作をリリースするスプートニクラボは電波少女がかつて所属していたレーベルですよね。
はい。BULL MOOSEを離れたはいいけど、僕にはレーベルをやってる知り合いがいなかったんです。そしたらハシシさんがスプートニクラボの人とつなげてくれて。
──そのハシシさんをフィーチャーした「モナリザ」はどんな曲ですか?
女に遊ばれてる男の気持ちを歌った曲です。
──話の流れからいくと、感動的なアツい曲になるのかと思いきや……。
電波少女に客演した曲でも女のこと歌ってるんで、ハシシさんにも「また女の曲?」と言われました(笑)。でもハシシさんは面白い視点のラップを入れてくれたのでうれしかったですね。セックスソングって「男が女をヤり捨てた」という目線のものは多いけど、「ヤリ捨てされた男」というパターンだってあると思うんです。俺、突拍子もないトピックの曲が好きなんですよ。
──例えば?
J・コールの「Wet Dreamz」という曲は「チャラ男ふうのヤツが女の子を口説いてみたら成功するんだけど実は童貞だった」みたいな歌詞なんです。アメリカのラッパーって歌詞のトピックが多彩なんですよ。そういう意味ではジェイ・Zも大好き。だから自分もいろんな立場のいろんな視点から歌詞を書こうと思っています。
やっと胸を張ってみんなと一緒にやれる
──前作から今作はフロウがすごく変わりましたよね。
前作を出した頃は日本のヒップホップのトレンド的に、ビートに対してガツガツ乗っていく感じと言うか、「メロディアスなフロウは邪道」っぽい雰囲気があったんです。でもそういうのも変わってきたので、だったら思い切りメロディアスになってみようかなと。この作品を聴いた人からは「最近レゲエになったの?」とよく言われます(笑)。そういうわけじゃなくて、自分の中にあるメロディがレゲエっぽいだけという。
──今後はどのような活動スタンスでやっていくんですか?
自分のベースはヒップホップですけど、ヒップホップシーンはそんなに意識してないです。もちろんヒップホップは大好きですけど、そこで一番になりたいとは思ってなくて、それよりも普段ラップを聴いてない人に届く音楽をやりたいです。
──NIHA-Cさんにとってヒップホップとはどんな音楽ですか?
困ったときに導いてくれる音楽です。ラッパーは代弁者だと思う。「この人が言ってるから共感できる、正しい」って思えると言うか。僕はKダブシャインさんが好きなんですよ。見た目はいかついけど、「セイブ・ザ・チルドレン」みたいな曲ではすごく優しいですよね。Kダブシャインさんを観てB-BOYは悪い人たちじゃなくて、カッコいい人たちなんだなって知ったんですよ。KGDRも大好きです。
──では最後に11月に東京・Shibuya Milkywayで行われるリリースライブへの意気込みを聞かせてください。
ほとんどの曲が初披露になるので、自信満々でやれるようにこれからめちゃくちゃ練習します。でも何より俺主導のイベントに電波少女やウサギくんに出てもらえるのが感慨深いです。今までは電波少女が企画したイベントに俺が出させてもらっていたんですよ。今回はやっと胸を張ってみんなと一緒にやれる。本当に楽しみです。
- NIHA-C「アリバイ」
- 2017年11月15日発売 / redrec / sputniklab inc.
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[CD]
2700円 / RCSP-0085
- 収録曲
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- It's Going Down
- リーダー
- モナリザ feat. ハシシ from 電波少女
- 夜光虫
- Touch The Sky
- Goodbye
- Take My Hand
- ABCDEFG
- Boyfriend Don't Like Me
- トモダチ feat. Jinmenusagi
- 目を閉じれば
- Nothing
ライブ情報
- NIHA-C 2nd Full Album「アリバイ」Release Party
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- 2017年11月23日(木・祝)東京都 Shibuya Milkyway
出演者
NIHA-C / 電波少女 / Jinmenusagi
- 2017年11月23日(木・祝)東京都 Shibuya Milkyway
- NIHA-C 2nd Full Album「アリバイ」インストアライブ
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- 2017年11月17日(金)東京都 タワーレコード池袋店 6階イベントスペース
- 詳細はこちら
- NIHA-C(ニハシー)
- 静岡県浜松市出身のラッパー。2015年にSKY-HI主宰のレーベル・BULL MOOSEより1stアルバム「BRIGHT LIGHT」をリリースした。その後、電波少女の楽曲やライブでフィーチャリングゲストとして参加し、知名度を上げていく。2017年6月に配信限定シングル「トモダチ feat. Jinmenusagi」をリリースし、6/26付iTunes Store ヒップホップ / ラップ シングルチャート5位を獲得。8月にリリースした第2弾配信限定シングル「モナリザ feat. ハシシ from 電波少女」は8/10付iTunes Store ヒップホップ / ラップ シングルチャートで2位を獲得した。2017年11月に2ndアルバム「アリバイ」をスプートニクラボよりリリースする。