1997年に結成されたMUCCと、2000年に結成されたNIGHTMARE。ともにインディーズ時代から頭角を現し、それぞれ独自の世界観でヴィジュアル系シーンをけん引してきた両者が、8月に初のツーマンツアー「悪夢69」を愛知・Zepp Nagoya、大阪・Zepp Osaka Bayside、東京・Zepp Haneda(TOKYO)で開催する。
これまでMUCCとNIGHTMAREはメンバー間の交流はある一方、意外にもバンドでの競演は少なかった。2組は群雄割拠の2000年代からジャンルを超えた幅広い活動を繰り広げ、キャリアの中でNIGHTMAREが一時活動休止、MUCCが新体制になるなどの転機を経験。そして2023年、満を持してステージで直接相まみえる。歴戦のライブバンド同士であることはもちろん、NIGHTMAREは先日17公演に及ぶ全国ツアーを終えたばかり、MUCCは昨年から続く25周年ツアー「Timeless」の真っ最中だ。脂の乗った2組による競演は熱い盛り上がりをみせるに違いない。
ツアーを前にMUCCとNIGHTMAREのメンバーが全員集合しての座談会が実現。ツーマンライブ開催に至った経緯から出会った頃のエピソード、意外な共通点、ツアーの内容まで、たっぷり語り合ってもらった。
取材・文 / 後藤寛子メインカット撮影 / 冨田味我
ツアー情報
NIGHTMARE&MUCC「悪夢69」
- 2023年8月17日(木)愛知県 Zepp Nagoya
- 2023年8月18日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2023年8月24日(木)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
出演者
NIGHTMARE / MUCC
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今対バンしたら、逆に面白いんじゃないかな
──そもそも、このツーマン企画はどなたの発案だったのでしょうか?
逹瑯(Vo / MUCC) 最初は俺からですね。思いついて、MUCCのメンバーに「NIGHTMAREと対バンするのはどう?」と提案したら「いいじゃん、面白そう」というリアクションだったので、正式にオファーしました。
ミヤ(G / MUCC) NIGHTMAREとは世代的に近いから対バンしていそうなのに、意外としたことがなかったので。今やったら、逆に面白いんじゃないかなと思ったんですよね。
YUKKE(B / MUCC) MUCCとのツーマンは初めてですし、イベントでの競演も数えるくらいしかないんですよ。
──NIGHTMAREとしては、オファーが来たときのお気持ちはいかがでしたか?
柩(G / NIGHTMARE) やっぱり、最初は「おっ?」と驚きました。MUCCはいろんなバンドとツーマンライブをやっていますけど、NIGHTMAREはそもそもツーマンライブをそんなに経験してこなかったので。
逹瑯 仲がいいバンドっていないの?
柩 うーん……そう言われるとあまりいないかも(笑)。だから、楽しみと同時にプレッシャーもありました。これは本当にがんばらないといけないな、と。
YOMI(Vo / NIGHTMARE) 僕は単純に声をかけてもらってうれしかったです。確かに仲がいいバンドはあんまりいないんですけど(笑)、ツーマンライブをやってみたい気持ちはあったんですよ。
咲人(G / NIGHTMARE) 少し前ですが、ギタリストが集まる「ギタリスト会」でミヤさんとお話していたときに、「ヴィジュアル系シーンを僕らの世代で盛り上げたいんだよね」とおっしゃっていたのをずっと覚えていて。それがやっと実現するんだなと思いました。
RUKA(Dr / NIGHTMARE) バンドとして付き合いはありつつも、僕個人はMUCCのメンバーさんとほとんどしゃべったことがなかったんです。でも、人間性がよさそうだなというイメージがあって……。
逹瑯 ははははは! しゃべったことがなかったら、人間性がいいかどうかわからなくない?(笑)
Ni~ya(B / NIGHTMARE) でも、言ってることはわかる気がします。人間性という部分も含めて、僕はNIGHTMAREとMUCCに似てるところがあるような気がしていて。
柩 地元で結成されて、みんなで東京に出てきたこととか?
逹瑯 ときどき、ちょっと悪ノリするところも似てるかもね。
Ni~ya だから、この2バンドでライブするのは面白そうだなと思って、話がきたときはうれしかったです。
──柩さんは、昨年12月に武道館で開催された「V系って知ってる?」に「BUCK-TICK Respect Session」のメンバーとして参加して、MUCCと共演されていますね。
柩 そうですね。あと、HYDEさんが主宰していた「HALLOWEEN PARTY」でもご一緒したことがあります。
ミヤ 確かに柩はよく一緒にライブをやっているイメージがある。でも、NIGHTMAREとはないんだよね。ああいうイベントに、NIGHTMAREとして誘われたら出る?
柩 俺はバンドでも出てみたいですよ。いい刺激をもらえそうですし。
逹瑯 イベントの場合、リハができなかったり、ちゃんと整っていない環境で演奏しないといけなかったりすることも多いじゃん。そうなると、RUKAぽんが怒りそうなイメージがある。
RUKA いや、俺は一番何も言わないですよ。気にしないので。
逹瑯 そうなの? じゃあ、一番うるさいのは?
Ni~ya ゾジー(YOMI)だね。
YOMI そうかなあ? 最近はわりと自分が歌いやすい環境を作れるようにモニターマンといろいろ調整してるし……。
逹瑯 そういう調整ができないことがあるんだよ。
YOMI できなかったら? ……いやあ、それは困ります!
逹瑯 ははははは!
咲人 困ったら、ゾジーの弟さんのバンド(仙台貨物。YOMIの“弟”イガグリ千葉が所属するコミックバンド)のほうに頼んだら?(笑)
YOMI そうですね、弟のほうでお願いします! 彼はなんでもいいって言うと思うので(笑)。
逹瑯 じゃあ、今度MUCCとNIGHTMAREと仙台貨物で対バンしようか。
YOMI えっ!(笑) MUCCが間に入るタイムテーブルにしていただけるなら……。
──(笑)。このツーマンをきっかけに新しいイベントが企画されたり、次につながれば素敵ですね。
ミヤ そうですね。1本ではなくツアーなので、関係を深めて、流れを作っていけたらいいなと思います。
NIGHTMAREの新しい扉を開いた感じがあります
──MUCCはジャンルを問わずさまざまなバンドとのツーマンライブを経験してきていますが、ツーマンだからこその魅力とはどんなところですか?
ミヤ 刺激があることですよね。ツーマンじゃないと生まれない熱があるし、ツーマンでしか観られない何かがあれば、お客さんも楽しめるし。要は咲人くんが言っていた「盛り上げたい」という話に含まれるんですけど、コロナ禍もあって、まだライブに来づらい人もたくさんいると思うんです。そういう人たちに対して、ライブに来るきっかけを作りたい。MUCCとNIGHTMAREの共通のファンはわりと多いほうだと思うので、しばらくライブに行っていなかったけど、この2バンドだったら行ってみようかなという人がいるんじゃないかなと。もう1つ、個人的にちゃんとしたヴィジュアル系バンドと対バンしたいという気持ちがあって。意外と、ここまでちゃんとしたヴィジュアル系の人たちとやったことがないので、楽しみなんですよ。
──なるほど。“ちゃんとしたヴィジュアル系”と言われてNIGHTMAREとしてはどうですか?
YOMI いや、むしろ僕らは変なバンドに見られることが多いから、うれしいです。それこそ弟のバンドがあったりするし(笑)。
ミヤ そこも含めていいんですよ。
逹瑯 仙台貨物は、あのSATOち(2021年に脱退したMUCCの元ドラマー)がリスペクトしてるバンドだからね! なかなかないことなんだよ。
YOMI ありがたいです(笑)。
──NIGHTMAREとして、これまでツーマンライブをあんまりやってこなかった理由はあるんですか?
咲人 やりたくないとかではなくて、単純にタイミングの問題だったと思います。
Ni~ya 誘われることもあんまりなかったですし、こっちから動くこともないので……。
ミヤ やっぱりワンマンライブにこだわっているイメージが強いから、誘いづらいのもあると思う。今回もけっこうダメ元で誘ったんですよ。断られるだろうなと思っていたから、OKという返事をもらえて「えっ、マジで?」って。だから、ちょっと僕らでNIGHTMAREの新しい扉を開いた感じがありますよね。メンバー同士で「やりたい」という気持ちを持って企画できたのがよかったんだと思います。ただ、まだ実際にライブで何ができるのか、ムチャぶりしたらどうなるのかがわかっていないので……。
逹瑯 やりたくないこととか、できないことがあったら先に言っておいたほうがいいよ!「なんでもいいですよ」って言っちゃうと、ミヤさんが「あれやろう、これやろう」って次々言い出して、やる仕事がめちゃくちゃ増えるから。
柩 はははは!(笑)
ミヤ ワンマンでいいじゃん、って思われるライブにはしたくないじゃないですか。せっかくなら、お客さんが喜ぶことをやりたいので。たとえばお互いの曲をカバーするとか、何か考えたいですよね。
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感覚としては、同期くらいの気持ち