音楽ナタリー Power Push - ニコナタ(音楽)DAOKO×吉崎響監督

“DAOKOの世界”がアニメになるまで

スタジオカラーとドワンゴが、将来の映像制作の可能性を探る場としてスタートさせた短編アニメシリーズ「日本アニメ(ーター)見本市」。この企画で制作されるアニメ作品とその制作者に焦点を当てたトーク番組「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」が毎週月曜日にニコニコ生放送で配信された。

9月14日配信の「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」で紹介された第31話「GIRL」は、DAOKOの新曲「さみしいかみさま」と「ゆめみてたのあたし」の2曲を使用したアニメーションミュージックビデオとして制作されたもの。番組では監督を務めた吉崎響とキャラクターデザインを担当した井関修一を交えたトークのほか、DAOKOによる生ライブの配信が行われた。今回音楽ナタリーでは配信現場のレポートとともに、吉崎とDAOKOへのインタビューを掲載。アニメーションミュージックビデオ作品「GIRL」制作の裏側に迫った。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影(メインカット) / 佐藤類

「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」レポート
「GIRL」のワンシーン。

番組はまず「GIRL」の上映からスタート。「さみしいかみさま」と「ゆめみてたのあたし」の2曲1本のミュージックビデオとして制作された今作では、歌詞に書かれた世界や作品の主人公“かみさま”がパステルカラーを基調とした色鮮やかな色彩で描かれている。アニメ上映中には番組に英語のコメントも寄せられ、海外のアニメファンも「日本アニメ(ーター)見本市」を注目している様子が伺えた。

  • 井関修一による「GIRL」の主人公・かみさまのラフデザイン。
  • 左から山田幸美、氷川竜介客員教授。
  • 左から吉崎響、井関修一。

上映後、スタジオの中継に切り替わるとMCの山田幸美、氷川竜介明治大学大学院客員教授のほか、今作の監督を務めた吉崎響、キャラクターデザインと作画監督を担当した井関修一が登場。山田にアニメを観た感想を問われた井関が「感無量です」と返答すると、吉崎はそれに同意しつつ、「DAOKOさんの世界観が独特で、彼女の持ち味である世界観をどうやってアニメ化するかが今回の最大のタスクだった」と作品のコンセプトを明かした。井関はアニメの主人公・かみさまのラフデザインを見せながら、アニメが形になるまでの経緯を視聴者に説明していく。監督から体型や表情、衣装のデザインまでこと細かく指示を受け、何パターンものイラストを描いてようやく現在のキャラクターデザインに着地したと解説した。

番組が後半に差し掛かると、作品の見どころを氷川客員教授が解説する「氷川の二度見」のコーナーへ。フリップに「BLのない世界」と書き、アニメの中でほとんどブラック(BL)が使用されておらず、明るい色と暗い色のコントラストで明暗を表現していると指摘。これを聞いた吉崎は「さすがです。カラフルで華やかな世界を描きたかったのと、ブラックの使い方にも意味を持たせたくて、必ず暗部をちょっと上げています」と補足した。

DAOKOによるライブの様子。
DAOKOによるライブの様子。

番組の最後に登場したDAOKOは「さみしいかみさま」と「ShibuyaK」の2曲をパフォーマンス。「さみしいかみさま」の歌唱時には、井関が制作を担当したという「GIRL」の再編集映像がスクリーンに映され、視聴者はアニメとはまた違った形で彼女の楽曲世界を堪能した。また東京・渋谷の街を舞台にした楽曲「ShibuyaK」では、軽快なステップを踏みながらウィスパーボイスで視聴者を魅了。ライブ終了後には「888888888」と拍手を意味するコメントが動画に多数寄せられ、この日の配信が終了した。

DAOKOによるライブの様子。
「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」
作品紹介
第31話「GIRL」

原案・絵コンテ・監督:吉崎響
キャラクターデザイン・作画監督:井関修一
イメージボード:品川宏樹
音楽:DAOKO(TOY'S FACTORY)
アニメーション制作:スタジオカラー

第32話「新世紀いんぱくつ。」

脚本・監督:櫻木優平
キャラクターデザイナー:西田亜沙子
音楽:buzzG / 歌:加隈亜衣
アニメーション制作:スティーブンスティーブン

第33話「世界の国からこんにちは」

原案・脚本・監督:片山一良
ロボットデザイン:出渕裕
キャラクターデザイン:高遠るい
作画監督:小曽根正美
アニメーション制作:ブリッジ

第34話「旅のロボから」

原案・脚本・監督:沖浦啓之

ニューシングル「さみしいかみさま」 / 2015年10月21日発売 / TOY'S FACTORY
初回限定盤A [CD+DVD] / 1944円 / TFCC-89576
初回限定盤B [CD+DVD] / 1944円 / TFCC-89577
通常盤 [CD] / 1296円 / TFCC-89578
初回限定盤A CD収録曲
  1. さみしいかみさま
  2. ゆめみてたのあたし
  3. ShibuyaK
初回限定盤A DVD収録内容
  • 日本アニメ(ーター)見本市 サードシーズン 吉崎響×DAOKO 企画「GIRL」
初回限定盤B、通常盤 CD収録曲
  1. ShibuyaK
  2. さみしいかみさま
  3. ゆめみてたのあたし
初回限定盤B DVD収録内容
  • 「ShibuyaK」MUSIC VIDEO
  • 8/17ワンマンDAOKO THE LIVE! 映像
DAOKO(ダヲコ)

1997年生まれ、東京出身の女性ラップシンガー。ニコニコ動画のニコラップに投稿した楽曲で注目を集め、2012年に1stアルバム「HYPER GIRL-向こう側の女の子-」を発表。ポエトリーリーディング、美しいコーラスワーク、ラップを絶妙なバランスで織り交ぜたドリーミーな世界観で話題を呼ぶ。2015年3月にTOY'S FACTORYよりメジャー1stアルバム「DAOKO」をリリースしデビューを果たした。10月にはメジャー1stシングル「ShibuyaK / さみしいかみさま」を発表した。

吉崎響(ヨシザキヒビキ)

1980年生まれ、映像ディレクター・映像作家。ミュージックビデオ、アニメ、CG作品の監督・演出・モニターグラフィックスなど幅広く活動している。日本アニメ(ーター)見本市では第3話「ME!ME!ME!」、第20A話「ME!ME!ME! CHRONIC feat.daoko / Teddyloid」、第31話「GIRL」の3作品の監督を担当した。代表作品は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」、「マクロスF(TV版・劇場版・娘クリ・dシュディスタb)」、「ACE COMBAT INFINITY」、「クラムボン / KANADE Dance MV」、「夜桜四重奏 ~ハナノウタ~」および「夜桜四重奏 ~ツキニナク~」のオープニング、「AKB0048 NEXSTAGE」オープニングなど。