「ボカニコXmasパーティー」レポート・前編

18:00を回ったところでニコファーレの三方を囲む巨大LEDスクリーンに参加DJを紹介する煽り映像が投影され、「VocaNicoNight」の公式テーマソングであるSOLIDIO「ボカニコ☆ナイッ」が大音量で流れ出す。そのリズムに乗って登場したのはサンタ帽をかぶった八王子P。DJブースにスタンバイするやマイクを手にして、開口一番「みんな今日ここにいるってことは予定とかなかった感じですかー！」とシャウトして、オーバーチュアとして「今夜はみんなで傷をなめ合いましょう」「リア充爆発しろ」とボーカロイドが語りかける「ジングルベル」のEDMミックスをドロップする。

この日の八王子Pはアタックの強いリズムトラックとオートチューンをかけたボーカロイドの声が特徴的な「Baby Maniacs」や、バウンシーな90年代風サウンドが耳に残る「Free」、フィルターハウス「Sweet Devil」など、さまざまなタイプのハウスミュージックを巧みなターンテーブルさばきでスピン。ときにループロールやフィルタを駆使し、ときにはDJブースに足を掛けて拳を振り上げてフロアを煽ると、クラウドからは「ハイ！ ハイ！」の声がこだまし、各曲のビデオクリップが映し出されるニコファーレのスクリーンには国内外の視聴者からのおびただしい数のコメントが絶え間なく流れ続けていた。

トランシーなミックスを施した「ハッピーシンセサイザ」ののち、八王子Pはいったんプレイをブレイク。「次にかけようと思ってる曲はここにいるみんなは初めて聴く曲になると思います」と、FM PORTで放送中のラジオ番組「ゆよゆっぺ・八王子Pのハンドメイドラジオ」の企画のためにゆよゆっぺと共作した新曲「ゲレンデソング」を投下し、そのファンキーなギターロックサウンドでフロアをさらに沸騰させる。そしてkz (livetune)との共作曲「Weekender Girl」などへとつなぎ、ラストナンバー「エレクトリック・ラブ」ではマイクを片手に自ら同曲を熱唱しながら「ボカニコXmasパーティー」のトップバッターを見事飾ってみせた。

軍隊式の礼服をリメイクしたワインレッドのミニワンピ姿のサオリリスはエモいセットリストを構成。グリーンのレーザー光線が飛び交う中、supercellのギターロックチューン「ワールドイズマイン」、高速ヘヴィロック「インビジブル」、ガバの「ギガンティックO.T.N」とアップリフティングなナンバーを速射砲のようにカットインし続ける。サオリがDJブース狭しと踊り狂い「暴れてけよ！」と挑発すると、観客は彼女の振りマネをし、怒号のような歓声で応えていく。さらにサオリは「エンヴィキャットウォーク」から「インビジブル」「リモコン」と続け、「ロストワンの号哭」から「脳漿炸裂ガール」ではあたかもマッシュアップしたかのようなテクニカルなクロスフェードを披露して、ニコ生視聴者に「すごい繋ぎだなー」「PERFECT!」と驚きのコメントを上げさせていた。

続く鬱Pはニコニコ生放送用のカメラに向かってメロイックサインを見せつけ、舌を出すいつもの調子でDJブースになだれ込む。DJ転換時のSE「ボカニコ☆ナイッ」のリズムに合わせて野太い声で「オイ！ オイ！ オイ！」と繰り返し「おい、六本木！」「なんだこんなにヒマ人が集まってんのか？」「でも、世界一楽しいヒマ人になれるぜ！」とヘビーなダブステップミックスした自作曲「馬鹿はアノマリーに憧れる」からプレイをスタートさせる。

その後もダブステップミックスした「ダブルラリアット」や、ハードトランスバージョンの「看板娘の悪巫山戯」、ベースを激しくブーストした「いーあるふぁんくらぶ」、高速アシッドハウスと化した「サイバーサンダーサイダー」など、ダークなヘヴィロックを得意とする鬱Pらしいミックスを施した楽曲の数々を連投。「ダブルラリアット」では中央に大きく「タオル」と書かれたタオルを振り回し、「看板娘の悪巫山戯」ではサオリリスを引き合いに「そりゃあんなかわいい子のあとにオレが出てきたらテンション下がっちゃうかもしれないけどよ」と“らしい”MCを繰り広げ、ニコファーレをおよそクリスマスイブらしからぬテンションに染め上げていく。

「年末だぜ！ クリスマスだぜ！ こんなとこに来てんだぜ！」との言葉とともにプレイした「害虫」から始まった後半戦の鬱PはBPMをさらに上昇させる。デスメタルを思わせる重たいダブステップに生まれ変わった「害虫」ではニコファーレにいる全員がヘッドバンギングを繰り返し、超高速ドラムンベースバージョンの「スケベニンゲン」ではフロアがそのリズムに食らいつくかのようにハンドクラップを打ち鳴らす。さらにピアノエモバージョンの「ローリンガール」では鬱Pの「ラストです！ みんな悔いのないように暴れるように！」との声に応えるように観客が「オイ！ オイ！」の大合唱を繰り広げた。