音楽ナタリー Power Push - NICO Touches the Walls
目指すは“孤高のロース” 新作「渦と渦」を肉に例えて解説
NICO Touches the Wallsにとって18作目となるシングル「渦と渦」がリリースされた。
表題曲は、前作「まっすぐなうた」の流れをくむバンドの豪胆かつエネルギッシュな一面があらわになったロックチューンだ。カップリングには光村龍哉(Vo, G)の30歳を目前にした心境を歌った「僕は30になるけれど」と、矢野顕子の「ラーメンたべたい」のカバーが収録されている。
現在平均年齢29.75歳の彼ら。今回は肉とラーメンが主食という4人に、焼肉を食べながら、新作を肉に例えて語ってもらった。
取材・文 / 中野明子 撮影 / 上山陽介
取材協力:近江亭 奥座
肉食バンドNICO Touches the Walls
──今回は「渦と渦」がNICO Touches the Wallsのメンバーにとって20代最後のシングルとなることを受けて、皆さんの大好物である“肉”を食べながら楽曲解説をしていただこうかなと思ってます。
古村大介(G) 確かに全員肉食ですね。
光村龍哉(Vo, G) 特に焼肉屋はすごい頻度で行ってます。インディーズの頃からライブの前やあとに焼肉を食べることが多くて。まだみんな千葉近辺にいた頃、「COUNTDOWN JAPAN」のリハを地元でやって、終わってから行徳にある「焼肉牛太郎」にスタッフと僕ら4人で決起集会的に行ってました。
坂倉心悟(B) 行ってたね。懐かしいなあ。
光村 全員ラーメンも好きなんですけど、ラーメンは僕らにとって間食みたいなもんなんですよ(参照:光村龍哉(NICO Touches the Walls)×庄村聡泰([Alexandros]) ラーメン対談)。で、直接の栄養源は肉ですね。
対馬祥太朗(Dr) 焼肉は野菜も一緒に食べられるし、健康にもいい。テーブルの上も鮮やかになるし。
光村 いやいや、テーブルの上だいたい肉で赤一色でしょ(笑)。
──まずは焼肉屋で注文する好きな部位、好きな一品をあげていただけますか?
対馬 俺はハラミですね。昔はカルビがメインだったんですけど、高校に入って友達と焼肉に行くようになってからハラミに出会って。肉肉しいのが好きなんですよ。とろけるような肉じゃなくて、食べたときにザクッと歯応えがあって、口の中で肉の厚みを感じられるようなのが。
光村 対馬くんは、最後の晩餐で肉食べたいって言ってるくらい肉好きだもんね。
対馬 そう。最後の晩餐には、ティッシュケースサイズのステーキが食べたい。口に頬張ったまま召されたいですね。
坂倉 なんじゃそれ(笑)。
古村 俺は気分によって食べたいものが変わるんですけど、生肉というかユッケが一番好きかな。ユッケをご飯の上に乗せて食べてると、なんかいけないことしてる気分で。初めて「焼肉ジャンボ」でご飯の熱で生肉を温めて食べたときに、おいしすぎて……。
坂倉 僕が小さい頃から好きなのはタンですね。焼肉屋さんに来ること自体が贅沢なことだったし、そこでしかタンを食べられなかったんですよ。しかも必ず初めに頼むってルールがあって。レモンであっさり食べられるのもいいし。噛み応えもあって、食欲をそそる。
──光村さんは?
光村 なんだかんだでロースですね。一口にロースと言っても範囲が広くて、赤身の多さだったり、どこの部位かによって呼び方が変わる。僕は脂身よりも赤身派で。肉の味が口の中でジューっとしてくるのが好きですね。生も焼きも両方いけます。
──皆さんで焼肉屋に行ったときの定番の流れはあるんですか?
光村 まずは牛タンを食べ、赤身を食べ、最後に脂っこいもので締める感じですね。
対馬 セットリストみたいなもんですよ。
坂倉 MCがキムチとかなんでしょ?
対馬 そうそう。
光村 あと僕らの場合、焼肉屋行ったら自分の分は自分で焼くんですよ。それはNICO Touches the Walls内の絶対的なルールなんです。焼肉奉行は必要ない。ちゃんと陣地を決めて、自分の陣地の中で自分の肉を育てていくのが鉄則。焼肉って自分の力量で味が変わるもんなんで、きれいにおいしく焼けたら達成感がありますね。
──焼肉におけるルールと、バンドで音楽を作るときのルールで共通点ってありますか?
光村 うーん、あんまりないかな。僕らの焼肉のスタイルは、“個人商店”だから自分で焼いて食べておいしければ十分。おいしいっていう感想が、全員で共有できればいいんですよ。でも、バンドの場合はまずそのおいしい味をみんなで作らなきゃいけないから、そこが大きく違う。
対馬 まあ、焼肉は栄養源であり、活動の糧といった感じです。
「渦と渦」は王道のロース
──ではそろそろ本題に入りましょうか。肉に例えながらの楽曲解説をお願いしたいんですが……。
光村 今はまだリリース前ということもあって、曲の鮮度もありますし下ろしたての気分ですね。まだ脂が溶けきってない状態というか。ただ、ライブで披露しているときに、曲を知らなくても歌詞の内容がちゃんとお客さんに伝わってる手応えがあります。「この曲は僕らと聴いてくれる人たちの関係性の歌なんです」って歌詞のメッセージを伝えた上で演奏してるからだろうけど。
──「どんなに離れたって 逃げない歌届けたいよ」「まだまだ まだまだ くたばれない」などバンドの決意表明が歌詞に詰め込まれてる曲ですよね。豪快なギターから始まる勢いのあるサウンドで、血沸き肉踊るっていう言葉が浮かびました。
坂倉 あー、わかる!
対馬 例えるなら、駒沢にある「Cossott'e」っていう焼肉屋さんの中落ちカルビなんですよ。そこでは丸太っぽい形のドーンとしたカルビが出てくるんです。みっちゃんとそこに行ったとき、カルビを最後に頼んだんですけど、ものすごい脂の量だし、味は濃厚だし……食べきれないくらいのすさまじさで。もう口の中で脂が渦巻くんですよ。「渦と渦」を表現する肉って言われて浮かんだのがそれでした。
光村 僕はこの曲は、焼肉屋の定番のロースだと思ってるんですよね。焼肉屋で店の真価が問われるのはロースだから。基本中の基本だからこそ、包丁の入れ方によっても味が変わるし。そういう意味で「渦と渦」は、基本であり王道の曲なんです。今まで肉を食べるときにネギとか薬味をトッピングしたりしてたけど、今回は肉の味というか、バンド自体の素材で勝負を賭けた。
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- ニューシングル「渦と渦」 / 2015年9月2日発売 / Ki/oon Music
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1800円 / KSCL-2623~4
- 通常盤 [CD] / 1300円 / KSCL-2625
- 期間生産限定盤 [CD] 1500円 / KSCL-2626~7
CD収録曲
- 渦と渦
- 僕は30になるけれど
- ラーメンたべたい
- 渦と渦(inst)(期間生産限定盤のみ収録)
- 渦と渦(89sec ver.)(期間生産限定盤のみ収録)
初回限定盤DVD 収録内容
アコタッチと呼んでみて☆vol.5
- まっすぐなうた
- 夏の大三角形
期間生産限定盤DVD 収録内容
- 「アルスラーン戦記」ノンクレジットOP映像
- NICO Touches the Walls LIVE SPECIAL 2015“渦と渦~西の渦~”
- 2015年12月23日(水・祝)大阪府 大阪城ホール
- NICO Touches the Walls LIVE SPECIAL 2016“渦と渦~東の渦~”
- 2016年1月8日(金)東京都 日本武道館
NICO Touches the Walls(ニコタッチズザウォールズ)
2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、2005年に東京・渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たし、2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」をリリース。2010年3月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催した。以降もコンスタントに作品を発表し、2014年2月に初のベストアルバム「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト」をリリースした。2014年8月には2度目となる日本武道館単独公演を大成功に収めた。2015年1月に過去2回の日本武道館単独公演の模様を映像化した作品をリリース。2月に新たな試みとなるアコースティックアルバム「Howdy!! We are ACO Touches the Walls」を、同年6月にシングル「まっすぐなうた」、9月にシングル「渦と渦」を発表した。2015年12月には初の大阪・大阪城ホール単独公演、2016年1月には3度目となる日本武道館公演を控えている。