今までとは違う一面を見せるフルアルバム

——すごく密度の濃いアルバムですね。

全員「ありがとうございます」

——メジャーデビューが昨年11月で、その後はコンスタントにシングルをリリースしてライブも積極的に行って。その合間でのアルバム制作となるとかなり忙しかったんじゃないですか？

光村「それほど忙しい感じではなかったですね。でも初めてのフルアルバムということもあって、テーマについては悩みました」

——そのテーマというのは？

対馬「これまでのNICOとは違ったタイプの曲を入れて、激しすぎない雰囲気を出すということですね」

光村「例えば4曲目の「エトランジェ」や11曲目の「葵」では、シングル曲のアグレッシブな雰囲気とは違うバラード的な側面を出しているし。両方とも自分たちでNICOらしいと思っている曲なので、それが初めて披露できるのが嬉しいです」

——たしかに今までのNICOの路線とは違っていて意外でした。

坂倉「きっと皆そう感じてくれると思うんです。今までは出したかったけどなかなか表には出てこなかった部分なので」

光村「これまでリリースしてきたシングルは、アッパーなロックチューンが多かったんだけど、実は結成当初からNICOは二面性というのをバンドのテーマにしてきたんです。結成したときオリジナル曲が4曲あったんですけど、2曲はアッパーで2曲はバラード曲だったし」

——このアルバムで初めてしっとりしたNICOに触れる人も多そうですね。8曲目のバラード「ほっとした」も、ストレートなラブソングで今までの路線とはだいぶ違う雰囲気の曲ですし。

光村「この曲を作ったのはバンドを結成する前で、高校1年、2年の頃かな。僕の場合、スピッツの「ロビンソン」を聴いたことをきっかけに曲を書き始めて、バンドを始める前はアコースティックギターに乗せて歌うスタイルでやっていたんです。だから「ほっとした」みたいな曲のほうが僕のルーツなんです」

聴いた人全員を僕らの世界に連れて行く

——1曲1曲の密度も濃いんですが、ミディアムテンポの「ほっとした」の後にハードな「夜の果て」を持ってきたり、選曲や曲順にかなりこだわりが感じられました。

坂倉「選曲したときは流れはあんまり考えてなかったですね。純粋に聴いてほしい曲を選んでいきました」

光村「でも、並びに関してはめちゃくちゃこだわって。とにかく今回のアルバムでは今までのNICOのイメージとは違うものを見せていこうというのが、はっきり決まっていたんです。冒頭は「Broken Youth」「B.C.G」のようなギターロック的な曲から始まるんですが、途中で意外な部分を出すようにして。最終的には聴いた人全員をNICOの世界に徐々に連れていけるような形になったし、通して聴くことで見えてくる世界観があると思います」