佑がリーダーとしてまとめ役を務めている

──ほかにはどんな変化がありましたか？

蒼山　今、ねごとは佑がリーダーをやってるんです。今までリーダーは決めてなかったし、ねごとでは別に誰も偉い人がいないという意識は今でも変わらないんですけど。でもみんなの意見をまとめてくれたり、さっきのライブの前に流れを確認しようと切り出す役割を今やってくれてるのが、佑なんですよ。

──それは任命されたんですか？ それとも立候補？

藤咲　立候補ではなかったんですけど（笑）、「適任だ」と言われて。今、大学4年で、この先はねごとの活動だけになるので、よりいいものを作るためには今のままじゃいけない、呑まれてしまうと……ほんとに「sharp ♯」の前のツアーとかでそう思ったんですよ。じゃあ私がやってみようかな、と。でもそれは私に権限があるとかじゃなくて、みんなで意見を出し合って、どれがいいかをまとめる役なんです。ほんと、みんなで作ってる感じですね。

──佑さんがリーダーになったのはいつからなんですか？

藤咲　ライブの進行とかをやったのは「sharp ♯」のツアーが初めてでしたね。

蒼山　あのツアーから、みんなで話し合う機会が多くなりましたね。それはライブに関してもそうだし、今、曲を作っていても、「みんなの個性は出したいけど、じゃあねごととしてどう出していくか」っていうことをみんなが考えられるようになってきたので、それはすごい進歩かなと思ってるんですよ。もちろん楽しんで作ってる気持ちは変わらないんですけど、そういうことが1つひとつできるようになって、進んできてるなという実感はあります。

──なるほど、それぞれ意欲はあるけど、そこでバンドとしてまとまっていかなきゃということですね。佑さんのリーダーぶりはどうですか？

蒼山　ああ、すごくいいと思いますね（笑）。佑は冷静に見てたりするので、客観的に「お客さんから見たらこうなんじゃないか」とか「ねごとしてやるにはこうなんじゃないか」とか聞いてくれたり、提案してくれたりします。提案はみんなするんですけど、佑はすごく聞き上手でもあるので。

──ベースはバンドの中では俯瞰で見ないといけない楽器だし、そういう意味でのリーダーであれば、性格的に向いてるのかもしれませんね。

藤咲　（笑）。そうかもしれないですね。

今までの弱かった自分たちに勝ちたい

──では最後に、この夏のフェスやイベントに向けての心構えを教えてください。

蒼山　そうですね……去年は夏フェスというものに出ること自体が初めてだったんで、すごく楽しみな気持ちもあったんですけど、もう「ステージに立って演奏しないと」みたいな気持ちもどっかにあって、緊張してた部分もあったんですね。でも今年は1年前のねごととはもう違うので……やっぱり「sharp ♯」を経て見てきた闇というか、そういう時期もあって今の自分があるというところで、ひとつの自信みたいなものは付いたかなと思っています。その気持ちをしっかり持って、ステージを楽しんでやれたらいいなと思ってますね。

藤咲　夏フェスって野外だったりの開放的な場所なので、お客さんも騒ぎたい、盛り上がりたい、アーティストと一緒に何かしたいという気持ちが、いつも以上にある場所だと思うんですよ。その気持ちをノせられるようにしたいですね。ほかのアーティストがたくさん出るから、自分たちを印象に残したいという気持ちはすごくあるんですけど……それよりも自分たちに勝つというか、「今までの弱かった自分たちに勝ちたいな」って。そういうステージができたらいいなと思いますね。

──なるほど。そこで勝つにはどうすればいいと思います？

藤咲　それは、ほんとに自信があるかないかだと思っています。どこか自信がなかったら、そういうふうに見えちゃうし、ステージの上に立っていても何か欠けてるライブになっちゃうかなと思うので。そこはもう練習して自信を持つことだと、最近は思っています。