ナタリー PowerPush - ねごと

今の自分たち”を歌った 両A面タイアップシングル

自分たちを探している時期だったことが表れてる

──どちらの曲も聴き心地はポップだし踊れるけど、印象以上に練りこんでありますよね。しかもタイアップにしっかり対応しながら、それをキーにしてバンドの世界観につなげていますよね。「やるな、この子たち!」と思いましたよ。

蒼山 (笑)。ありがとうございます。

藤咲 自分たちでも、例えばタイアップするものと、一緒に作品を作れてる感じがすごくしてるんですよ。映像と曲で、同じ土台にいるというか。ひとつの作品の手助けじゃないけど、より良いものを作っていきたいなって感じは、だんだん持つようになってきましたね。

──それから「彷徨」もとてもいい曲なんですが、これはギターロックですね。

rieco

蒼山 これは3年前、大学1年生の夏合宿で作った曲のうちの1曲ですね。イントロのギターからすごくオーラがある曲だったので、あっためていて。おおまかなトラックは変わってないんですけど、去年、歌詞とメロディを変えて録りました。切なくて浸れる曲なんだけど、実はコードがちょっとオシャレなものを使ってるのがポイントの曲なんですね。「立ち止まる蜃気楼 映す未来」というところは、アレンジをし直したところです。オシャレさがそこで出てるかな(笑)。あと歌詞は、昔のはもうちょっと抽象的だったんですけど、去年の夏に最初のAメロの歌詞を……。

──「ぼくはといえば今日は 焼けるようなアスファルト踏んで」のところ?

蒼山 はい。いつもメロ先で書くんですけど、これは詞先で書いて。そこから広げて作っていきました。多分、そのときの心境みたいなものが、そのまま出てるんじゃないかと思います。

──歌詞は「幽霊みたいにただ 彷徨っています」と続きますね。ここでも幽霊が。

蒼山 そうですね。だから不思議なんですけど、「幽霊」という言葉も使うようになってきたし(笑)。「Lightdentity」や「sharp ♯」の中で使っている「光」っていう言葉も、今までだったら使わなかったと思うんですね。だから振り幅というか、使える言葉が増えてきてるのがあって。「灰になったiを探して」の小文字のiは、虚数の意味でもあって。その虚しい、切ない感じは、自分を探してるっていう意味でもあるし。でもパッと耳で聴くと、漢字の「愛」かな?と思う人もいるだろうし。

──うん、最初はそう思いましたよ。

蒼山 そうですよね? でも、こうやって曲ができてから見てみると、自分たちを探している時期だったということが、そのまま出てるなって思います。

対バン相手の楽屋風景をチェック

──話を聞いてると、いろいろと悩みながらもバンドが前に進んでる気がします。

rieco

藤咲 そうですね。ひとつは、ライブっていうものをより良くするために、ほかのバンドが何をやってるんだろう?っていうところにも、ちょっと目を向けてみたりしてるんです。前までだったらライブだけを観て、ステージ上でどういうことをしてるのか、ねごとだったらどういうことが取り入れられるのかな、とかを考えていたんですけど。今は、ライブがいいバンドって裏では何してるんだろう?って思って、対バンした人たちの楽屋風景を見てみたり……。

──え、そんなことを?(笑)

藤咲 そしたら、皆さん、今日1日のセットリストをその場でみんなで話し合ったりしてるんですね。つなぎがどうとか、今日どういうふうにやっていこうとか。例えば「今日はお客さんが若い雰囲気だから、こっちが引っ張っていこうよ」みたいなところまで話し合っていて。もしかしてわたしたちって、そういうところが今まで足りなかったかなって。1人ひとり、ライブに対して向かう気持ちはあっても、4人でっていうところが少し欠けていたのかなと思ったんです。だから最近は確認し合うことを始めました。1日の流れとか、今日はどういう目標でそのライブをやるのか? お客さんの雰囲気を考えて、どういうものが今日のステージには合うのか? どういう私たちの雰囲気なら合っていくのか? と、そういうことを考えるようになりましたね。

ニューシングル「Lightdentity / Re:myend!」/ 2012年8月8日発売 Ki/oon Music

収録曲
  1. Lightdentity
  2. Re:myend!
  3. 彷徨
DVD収録内容

2012.5.12@渋谷AX
お口ポカーン!?~フラットな気分でもいいよ~
ツアーファイナルより
「季節」
「メルシールー」
「sharp ♯」

ねごと

蒼山幸子(Vo, Key)、沙田瑞紀(G)、藤咲佑(B)、澤村小夜子(Dr)からなる4人組バンド。高校2年生だった2008年1月に結成し、同年開催の「閃光ライオット2008」決勝大会まで進出。審査員特別賞を受賞する。同年11月に発売された「閃光ライオット2008」コンピレーションアルバムにも、大会で披露した楽曲「ループ」で参加する。その後勉強に専念するため一時ライブ活動を休止するも、2009年9月に本格活動開始。2010年2月より行っている自主企画「お口ポカーンフェス?!」も毎回好評を博している。2010年9月29日、1stミニアルバム「Hello! “Z”」をKi/oon Musicよりリリース。2011年3月発表の1stシングル「カロン」はau「LISMO!」のCMソングとしてオンエアされ、幅広い層から注目を集めた。夏には全国各地の野外フェスに出演し、多くのロックファンから賞賛を浴びた。2012年4月、アニメ「機動戦士ガンダムAGE」アセム編のオープニングテーマに起用されたニューシングル「sharp ♯」をリリース。8月には両A面シングル「Lightdentity / Re:myend!」を発売する。