脱皮的な意味を込めたアルバムタイトル

──「インストゥルメンタル」はいつぐらいからやってる曲なんですか？

蒼山　これはもう初期の頃からやってて……2008年の閃光ライオットのステージでやったんですね。この曲と「ループ」と、あと1stミニアルバムに入ってる「NO」、この3曲をやりました。元々は「野外でやるのにカッコいいんじゃないかな」みたいな感じの曲でしたね。

──これはなぜ「インストゥルメンタル」というタイトルなんですか？

沙田　最初はインストだったからです。

蒼山　で、あとから歌をつけたんです。最初のところだけ。

──なるほど、これも納得です。ではアルバムタイトルが「ex Negoto」なのはなぜなんでしょう？

蒼山　“ex”って、「元」って意味があるじゃないですか？ それで「1作目から元なの？」みたいな、ちょっとビックリさせたいというのがまずあって。でも実は“ex”というのはexciteだったり、exitだったり、excellentだったり、いろんな意味があって。あとは「新しいねごとをお見せします」という、ちょっと脱皮的な意味も込めて、このタイトルにしました。

──「新しいねごとを見せる」という意識を持ち始めたのはいつですか？

沙田　うーん……「カロン」が突破口ですかね。それはそのあとに「メルシールー」ができたときに実感できたというか……「あ、本当に抜け出せてたんだな」というか。「メルシールー」は、音楽を作る、人に聴かせるという精神がちゃんと自分たちの中に生まれたから作れた作品だなぁって思いました。

「これだけじゃない」みたいな気分にさせたい

──それはCDをリリースしてライブもたくさんやるようになって、徐々に自覚が出てきた時期ですね。「揺れる」の中で「ああ ぼくらは 誰にも邪魔されずに またひとつだけ 大人になってく」という歌詞がありますけど、ねごとの4人もこうして活動しながら大人になっていくことを実感するときがあるんじゃないかな？ と思ったんです。

蒼山　大人ですか……うん……音楽をやってる上では、今瑞紀が言ってくれたような自覚みたいなのは出てきたかな。いろんなところでライブするようになって、ねごとを観に来てくれる方がいらっしゃって……「いい曲作って、もっとビックリさせたいなあ」っていう気持ちは、すごく出てきたし。それが、こうやって作品ができるたびに、子供を産んだみたいな、「あ、こういうのもできたじゃん！」みたいな感じで、自信にはなりますよね。

沙田　「ねごとってこういうバンドだよね」っていうお客さんの期待を裏返して、飛び超えて！ みたいな作品作りをしたいっていう気持ちもありますね。「メルシールー」の次は何が来るのか、まだ私達にもわかってないんですけど、でもそれもまた楽しくて。今回みたいに時間が詰まってる中で作る作品というのも、すごく意味があるなぁと思う。だからお客さんの期待に応えたいっていうのもあるけど、いい意味で裏切って、どんどん「これだけじゃない」みたいな気分にさせたいですね。

──そこには物を作る人間としての、ひとつのプライドを感じますね。小夜子さんや佑さんは、自分たちの成長についてどう思っていますか？

澤村　私はなんでも、わりと肩の力を抜いてやるようになりました。たとえばライブのMCでしゃべって、オチをどうするかとか考えるのを最近やめたんです。「考えてもなあ」とか思って、幸子に投げちゃったりとか……そういう諦めが簡単につくようになったと思いますけど（笑）。

──（笑）。オチを考えながらしゃべってたんですか？

澤村　ずっと「オチがない」って言われてて。でもオチっていうもの自体がわかんないから、「もういいかなぁ」と思って、あんまり考えすぎないようになりました（笑）。

藤咲　私はアレンジを考えてる中で「いっぱい動きすぎたな」「要らないや」ってわかるようになりましたね。前までは「こんなに考えたんだから詰め込みたい」という気持ちもありつつ省いてったんですけど、今は「考えたけど、これ全然要らないし、邪魔なものだ」っていう判断がすぐつくようになりました。もう「せっかく考えたのに」という気持ちは全然なくなりましたね。

──わかりました。去年と同じくこれから夏から秋にかけてたくさんライブが入ってますが、皆さん大丈夫ですかね？

蒼山　夏は……がんばります（笑）。フェスがたくさんあるから。

沙田　いやー、フェスにこんなに出演できるの、ほんとにうれしいです（笑）。一生懸命やりたいです！