今の僕を築いてくれた曲
──「わかってちょうだいね」はちょっとパンキッシュなロックチューンです。
かなり激しい曲にしましたね、これは。イメージ的にはThe Offspringのような、中学高校時代に意味もわからず聴いていた激しいロックサウンド。なんだかわかんないけど、めっちゃ心が震える感じを表現したかったんです。ちょっと“言い逃げ”みたいな曲を作りたかったというのもあったし(笑)。
──ワンコーラスだけの短い曲ですし、ラストも余韻なくバシッと終わりますからね。
デモの段階からそういうイメージで作ってました。プロデューサー的には2コーラス目も作ったほうがいいんじゃないかという気持ちがあったみたいですけど、バンドRECのときに今の形で1回演奏してもらったら、ワンコーラスだけでもお腹いっぱいになれる雰囲気があったんですよ。で、プロデューサーも「うん、そのままでいいね」みたいな感じになって(笑)。この曲はギターもかなりカッコいいプレイをしてるんで、ぜひ細かい部分まで耳を傾けてほしいですね。
──あとは昔に作ったという2曲についても聞かせてください。「あなたのこと」はどんなきっかけで生まれた曲だったんですか?
10年くらい前に作った曲だから当時の気持ちを思い出すのはなかなか難しいんですけど、ライブハウスで歌っていた曲なので思い入れは強いんですよね。僕は今も昔も曲を書いてるときにこそ「自分って天才じゃん!」と思えるタイプなんですよ(笑)。だからこの曲ができたときもきっとそう思っていたと思うんですよね。今聴くと表現の拙さはもちろん感じるけど、あれこれ考えるのではなく、瞬発力で作っていたんだろうなと感じられるところがいいなと改めて思いますね。今の僕を築いてくれた曲の1つでもあるので、1stアルバムにはどうしても入れたかったんです。
──今の仲村さんの曲たちと並んでもまったく違和感はないですけどね。
そうですね。「こんなにかわいい歌詞を俺は書いていたのか!」と思ったりはするけど(笑)、こうやって1枚のアルバムとして並べてみると、不思議と馴染んでいるというか。そこはやっぱり仲村宗悟という自分の畑から出てきたものなんでしょうね。人間性は今も昔もまったく変わっていないと思うので。
──もう1曲の「僕なりのラブソング」はコアなファンには知られた楽曲だそうですね。
そうなんですよ。僕が声優になったくらいの時期に、イベントで歌わせてもらったことがあって。だから知ってる人は知ってる曲っていう。当時から応援してくれてる人へのプレゼントみたいな気持ちもあって今回収録することにしたんですよね。
──過去に作った曲を改めてレコーディングしてみて何か感じましたか?
今この曲を歌えることの喜びを感じつつ、当時とは違った表現で歌うことができているなと思いました。アレンジしていただいたことで雰囲気もガラッと変わりましたからね。また新たな命を吹き込めた気がしました。「あなたのこと」は弦を入れた壮大なアレンジをしてもらえたところが気に入ってるし、「僕なりのラブソング」はThe Beatlesの「Lady Madonna」みたいな雰囲気のアレンジを僕から提案させてもらって、いい仕上がりになったと思います。
最高のライブにしたい
──アルバムを作り終えてみて、ボーカリストとして何か得たものはありました?
ありました! アルバム制作と並行してボイトレに通うようになったことで、歌の表現の幅はまた広がったと思いますね。以前は力技で高音を出したりとか、音圧だけで圧倒させようとしていたところがあったけど、そこも改善されてきたと思う。ボイトレで学んだことをアルバム曲のレコーディングにも反映することができたので、歌うことがより楽しくなりましたね。1つ2つの表現方法だけじゃ、いろんな楽曲を彩ることはできないですから。曲のよさを生かすという意味でも、ボーカルのスキルに関しては今後もどんどん突き詰めていきたいと思ってます。
──仲村さんは音楽に対して感覚的に向き合っている方だと思いますけど、その一方ではロジカルに音楽を構築していく側面もありますよね。
何も考えずにストレートに、ナチュラルに行動する面がありつつも、けっこう考えすぎてしまうところもあったりしますから(笑)。特に歌詞の部分なんかに表れていると思うけど、それこそが僕の今の等身大なんだと思います。あと最近よく思うのは、自分の理想とか幸せとかって、案外身近なところを見渡すことで見つかったりするんですよね。この前も天気のいい日にテイクアウトしたうなぎ弁当を公園で食べたら、めっちゃ幸せになれましたから(笑)。そういう感覚も僕の等身大だと思う。そこもまたアルバムには込められたような気がしますね。
──10月からは全5カ所を巡る待望のツアー「SHUGO NAKAMURA 1st LIVE TOUR ~NATURAL~」も決定しましたね。
やっとやれるのがうれしいです! もちろん開催時期の情勢がどうなってるかはわからないですけど、今は最高のライブにすることだけを考えたいですね。みんなとの距離の近いアルバムができたと思っているので、ライブもそういったことを感じてもらえる内容にしたいなと。セットリストもいろいろ練っているので、楽しみにしていてください!
──では最後に。33歳を迎えての抱負を教えてください。
30代になったときに、筋トレをするとか、ちゃんとした生活をするとか抱負を言ったんですけど、3年経ってもまったくできていなくて(笑)。なので、今回は無謀な抱負じゃないほうがいいな。……いつもいろいろサポートをしてくれてる事務所とレーベルに感謝する! そして、毎日を健やかに生きる! それが今の僕の等身大の回答です(笑)。
ツアー情報
- 仲村宗悟「SHUGO NAKAMURA 1st LIVE TOUR ~NATURAL~」
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- 2021年10月23日(土)大阪府 BIGCAT
- 2021年10月31日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2021年11月6日(土)宮城県 darwin
- 2021年11月14日(日)福岡県 DRUM Be-1
- 2021年11月23日(火・祝)神奈川県 KT Zepp Yokohama