音楽ナタリー Power Push - 「中島みゆきConcert 『一会(いちえ)』2015~2016 劇場版」特集

平原綾香がひも解く中島みゆき真の魅力

タイトルにノックアウトされました(笑)

──サポートメンバーや舞台装置にも第一線級のスタッフが起用されていますが、演奏やステージセットをご覧になった感想はいかがでしたか?

「中島みゆきConcert 『一会(いちえ)』2015~2016」のワンシーン。

演奏はもう最高でした! 今回の「一会」のバンドメンバーには、私自身もつながりのあるミュージシャンの方がたくさん入っているんです。例えばキーボードの小林信吾さんには、よく楽曲のアレンジをお願いしていますし、ベースの富倉安生さん、ギターの古川望さん、福原将宜さんにはレコーディングにもよく参加していただいています。そういう方々が、みゆきさんのバックで素晴らしい演奏を繰り広げているのを観ると、改めてさすがだなって。

──舞台装置も、主役の中島みゆきさんを引き立たせつつ、しっかりサポートメンバーの動きも見てとれる作りになっていて。シンプルだけどセンスを感じさせました。

しかも、あの配置にすると音が届きやすいんですよ。

──あ、そうなんですね。

はい。まずステージ中央にみゆきさんがいらっしゃって、その下手側にコーラスの3人がおられて。ギター、ベース、ドラムス、パーカッション、あと7人編成のストリングスの演奏ポジションが、歌い手のいる舞台から一段高いところに作られているでしょう。ああすると音の被りが少なくて声がよく聴きとれるし、録音もきれいにできるんです。さすが長年、みゆきさんの編曲とプロデュースを務めておられる瀬尾一三さん。細かい部分まで考え抜かれているなと思って、とっても勉強になりました。

──瀬尾さんは、中島さんが平原さんのために書き下ろした「アリア-Air-」という曲のアレンジも手がけておられましたね。2016年4月に発表された9thアルバム「LOVE」に収録されていますが、このナンバーと向き合った印象はいかがでした?

まず最初は、タイトルにノックアウトされました(笑)。送っていただいたファイル名が「アリア」になっているのを見て、なんてカッコいいんだろうと。でも、実際に聴かせていただくと、歌メロの高低差が半端じゃなく大きくて……「LOVE」というアルバムは、いろんなアーティストに愛にまつわる楽曲を書き下ろしていただくという企画で。楽曲を提供してくださる方々には、事前に私の音域表をお渡ししていたんです。その音域表を文字通り余すところなく使って書いてくださった作品だなと。

──たしか中島さんご自身、アルバムに「歌ってくださる方にめぐり逢えて、この楽曲は幸せ者です」とコメントを添えられていました。「尊敬してます、平原綾香さま」って。

あれを見たときはうれしくて泣きそうでした。「アリア-Air-」をレコーディングした際は、わざわざスタジオまで来てくださって。同じことを直接言っていただいたんです。「いえいえいえ! 私のほうこそ尊敬しております」という話を慌ててしたんですけど……死ぬほど恐縮しましたが、でも正直、すっごくうれしかったです。

花束みたいな人

──スタジオの中島さんは、どんな雰囲気でした?

「中島みゆきConcert 『一会(いちえ)』2015~2016 劇場版」ポスター

とにかく優しくて花束みたいな人。スタジオに入ってきた瞬間、周りがパッと明るくなるような方です。周囲への気遣いも素晴らしくて。私が「アリア-Air-」の歌入れをしているとき、普通はミキシングルームの真ん中に座って聴くと思うんですけれど、みゆきさんは、私がなるべくプレッシャーを感じないよう、その隣にある小さなお部屋に行かれて、そこで静かにじっと声だけに耳を澄ませてくださっていたんです。

──おお! それもすごい話ですね。

サビ前に「響きあう波を探して」という歌詞があるんですけど、その「さがしーてー」というパートを、私がいただいた仮歌より食い気味に歌ってたんですね。そしたらツツッとボーカルブースに入って来られて。「あそこの部分、本番でもさっきの綾香ちゃんみたいに歌っちゃって。そっちのほうがいい!」って言ってくださったんです。

──平原さんの歌を、すごく丁寧に聴かれてたんですね。平原さんは来年1月にスタートする「中島みゆきリスペクトライブ2017 歌縁」にも出演されるとか。

はい。1月14日の松本公演と27日の青森公演の2回出演させていただくんですが、今からとても楽しみです。

──最後に、今回の劇場版についてひと言お願いします。

みゆきさんは私にとって、目標とすべき最高のボーカリストであり、歌との向き合い方を教えてくださった恩人でもあります。「中島みゆきConcert 『一会(いちえ)』2015~2016 劇場版」は、そのエッセンスがたっぷり詰まっていると思うので、1人でも多くの方に観ていただけたら、とってもうれしいです。

中島みゆきリスペクトライブ2017 歌縁

2017年1月7日(土)宮城県 イズミティ21 大ホール
<出演者> 岡本真夜 / クミコ / 研ナオコ / 島津亜矢 / 中村中
2017年1月9日(月・祝)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
<出演者> 大竹しのぶ / 岡本真夜 / クミコ / 研ナオコ / 中村中
2017年1月13日(金)富山県 オーバード・ホール
<出演者> 大竹しのぶ / クミコ / 研ナオコ / 中村中 / 室井滋
2017年1月14日(土)長野県 まつもと市民芸術館 主ホール
<出演者> クミコ / 研ナオコ / 中村中 / 一青窈 / 平原綾香
2017年1月21日(土)広島県 上野学園ホール
<出演者> 華原朋美 / クミコ / 研ナオコ / 坂本冬美 / 中村中
2017年1月27日(金)青森県 青森市文化会館 リンクステーションホール青森
<出演者> 華原朋美 / クミコ / 研ナオコ / 中村中 / 平原綾香
2017年1月29日(日)北海道 ニトリ文化ホール
<出演者> 大竹しのぶ / クミコ / 研ナオコ / 坂本冬美 / 中村中
2017年2月19日(日)東京都 Bunkamuraオーチャードホール
<出演者> 大竹しのぶ / 華原朋美 / クミコ / 研ナオコ / 島津亜矢 / 中村中 / 一青窈

「中島みゆきConcert 『一会(いちえ)』2015~2016 劇場版」2017年1月7日東京・新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

2017年1月7日東京・新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー。劇場版限定、完全未公開の“リハーサルドキュメンタリー”も同時上映。

全国のHMVでは「中島みゆきConcert 『一会(いちえ)』2015~2016 劇場版」のB1サイズポスターを先着でプレゼントするキャンペーンを1月15日まで実施中。詳細はキャンペーン公式サイトで確認を。

ライブBlu-ray / DVD「中島みゆきConcert 『一会(いちえ)』2015~2016」 / 2016年11月16日発売 / YAMAHA MUSIC COMMUNICATIONS
「中島みゆきConcert 『一会(いちえ)』2015~2016」
Blu-ray Disc / 8640円 / YCXW-10010
DVD / 7560円 / YCBW-10068
収録内容
  1. もう桟橋に灯りは点らない
  2. やまねこ
  3. ピアニシモ
  4. 六花
  5. 樹高千丈 落葉帰根
  6. 旅人のうた
  7. あなた恋していないでしょ
  8. ライカM4
  9. MEGAMI
  10. ベッドルーム
  1. 空がある限り
  2. 友情
  3. 阿檀の木の下で
  4. 命の別名
  5. Why & No
  6. 流星
  7. 麦の唄
  8. 浅い眠り
  9. 夜行
  10. ジョークにしないか
ライブアルバム「中島みゆき Concert『一会』(いちえ)2015~2016‐LIVE SELECTION‐」
「中島みゆきConcert 『一会(いちえ)』2015~2016」
2016年11月16日発売 / YAMAHA MUSIC COMMUNICATIONS / CD / 3000円 / YCCW-10284
収録曲
  1. やまねこ
  2. 六花
  3. 樹高千丈 落葉帰根
  4. 旅人のうた
  5. ライカM4
  6. MEGAMI
  1. 空がある限り
  2. 命の別名
  3. Why & No
  4. 流星
  5. 麦の唄
  6. 浅い眠り
中島みゆき(ナカジマミユキ)
中島みゆき

1975年にシングル「アザミ嬢のララバイ」で歌手デビュー。続く2ndシングル「時代」で世界歌謡祭グランプリを受賞する。その後も「わかれうた」「悪女」「誘惑」など数々のヒット曲を産み出し続ける一方で、1979年から1987年までニッポン放送「オールナイトニッポン」のパーソナリティを担当。ラジオでのハイテンションなトークと楽曲イメージとのギャップにより人気に輪をかけた。1989年には脚本・作詞・作曲・歌・主演のすべてを中島が務める舞台「夜会」をスタートさせ、2016年11、12月には第19回となる「夜会VOL.19 橋の下のアルカディア」を開催した。2013年より劇場上映されるようになった「夜会」に続き、2017年にはコンサート映像「一会」もスクリーンに登場する。

平原綾香(ヒラハラアヤカ)
平原綾香

1984年東京生まれ。音楽大学在学中の2003年12月に、シングル「Jupiter」でメジャーデビューを果たす。この曲がジワジワとチャート上位に食い込み、結果ミリオンヒットを記録。2004年のオリコン年間シングルチャートのトップ3入りを果たした。その後もフジテレビ系ドラマ「優しい時間」の主題歌「明日」や、NHKのトリノオリンピック放送テーマソング「誓い」などをリリースし、2009年に発表したクラシック曲のカバーアルバム「my Classics!」は「第51回輝く!レコード大賞」で優秀アルバム賞を獲得した。2016年4月には中島みゆきをはじめ、財津和夫、尾崎亜美、玉置浩二、徳永英明、岡本真夜らからの提供曲を収めた9枚目のオリジナルアルバム「LOVE」を発売、同年5月より本作を携えた全国ツアー全36公演を完遂した。2017年1月には「中島みゆきリスペクトライブ2017 歌縁」に出演するほか、5月27日より自身の全国ツアー「平原綾香 CONCERTTOUR 2017」(仮)の開催も決定。また7~8月に帝国劇場で上演されるブロードウェイミュージカル「ビューティフル」ではキャロル・キング役で主演を務める。

平原綾香「LOVE」
平原綾香「LOVE」
2016年4月27日発売 / Universal Music Japan
[CD] 3240円 / UPCH-20416
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