「Music & Me ~クリエイターが語る音楽と私~」第6回|柴田ひかりがアナログレコードを手に取る理由

さまざまなクリエイターに話を聞き、音楽と創作活動の分かちがたい関係を探る企画「Music & Me ~クリエイターが語る音楽と私~supported by Technics」。第6回はモデルとしての活動を軸に写真家、DJとしても活躍する柴田ひかりをゲストに迎えてお届けする。取材中、アナログレコードへの思い入れや憧憬をうれしそうに語った柴田。1997年生まれで、青春時代をアナログレコードとともに過ごしてきた世代ではないはずだが、彼女を惹きつける魅力はなんなのだろう?

今回は本連載に登場した建築デザイナー・関祐介が空間デザインを手がけた東京・世田谷のコーヒーショップ・Sniite協力のもと、柴田にTechnicsのターンテーブル「SL-1200」シリーズの最新モデル「SL-1200MK7」でお気に入りのレコードを聴いてもらいつつ話を聞いた。

取材 / 臼杵成晃文 / 下原研二撮影 / 笹原清明動画撮影 / Ubird取材協力 / Sniite

Technics「SL-1200MK7」

Technics「SL-1200MK7」

世界中のDJがプレイする現場で使われ続ける「SL-1200」シリーズの最新機種。ダイレクトドライブモーターやプラッター、シャーシなどすべてを一新しながら、トーンアームや各種操作スイッチなどの配置は「SL-1200」シリーズのレイアウトをそのまま踏襲し、これまでと変わらない操作性を実現している。ボディはブラックおよびシルバーの2色展開。

流れに身を任せて

──柴田さんは高校生の頃からモデルとして活躍されていますが、モデルを志すきっかけはなんだったんですか?

私は明確な目標があってモデルになったというタイプではないんです。今の事務所に所属して12年になるんですけど、計画的というよりは流れに身を任せていたら今に至る感じで。まずは高校生の頃に「HR」という雑誌に載ったのがきっかけなんですけど、紙面に学校名は掲載されないと思ってたら実際は違って、学校ですごく怒られちゃいました(笑)。それくらい軽い気持ちだったというか。

柴田ひかり

柴田ひかり

──その時点では将来についてどの程度考えていたんですか?

15歳くらいだったのでほとんど考えてなかったですね。ただ、その場その場で自分なりに挑戦したいことを選択していった結果が今の活動につながっているんだと思います。

──柴田さんは写真家やDJとしての顔もお持ちですが、それらの活動はどのように始めたんですか?

写真もDJもその時々で出会った友達の影響です。大学は文化学園大学に進学したんですけど、そういった経験も経て最近はアパレル制作をスタートしました。

──興味を持ったことには飛び込んでいきたいタイプなんですね。

「自分でもやってみたい」と思ったら、まずは挑戦してみるタイプではありますね。よく言えば直感的、悪く言えば見切り発車なところはあるかもしれないです(笑)。

──なるほど(笑)。

DJを始めたきっかけで言うと、ライブハウスで働いている友人がいて、そのお店によく遊びに行ってたんです。その友人がお店を退職することになったときに「最後にパーティをするからDJをやってくれない?」と頼まれて。不安な気持ちもあったけど、興味もあるからチャレンジしてみようかなと。その人に声をかけてもらってなかったら、DJは始めてないかもしれないですね。

──やっぱり柴田さんの行動原理には、その時々の人との出会いが大きく関係しているんですね。とはいえDJっていきなり飛び込むにはハードルが高い感じもしますけど、緊張はしませんでした?

すごく緊張しました(笑)。私が所属している事務所にはDJの方もいるので、幸いDJの機材がまるっと事務所にそろってたんですよ。なのでDJをやることが決まってからは、みんなが退勤したあとに事務所に残って練習していました。

柴田ひかり
柴田ひかり

柴田ひかり

──やるからにはできる限りのパフォーマンスを見せたいですもんね。そもそも音楽への興味が強かった?

そうですね。周りに音楽をやっている友達が多いですし、その活動を近くで見ているので、音楽に対するリスペクトは人一倍強いかもしれないです。音楽は気軽に楽しめるという点が魅力だとは思うけど、その一方で憧れの対象みたいなところもあります。だからDJをするのは今でも緊張しますね。まだレコードでのDJは経験がないので、いつかターンテーブルでDJをしてみたいという夢もあります。

音楽との向き合い方

──音楽への興味について詳しく聞かせてください。柴田さんは1997年生まれとのことですが、物心ついて初めて聴いた音楽は覚えていますか?

たぶん一番古い記憶だと「だんご3兄弟」とかになるんですけど、初めて自発的に欲しいと思って買ってもらったのはORANGE RANGEのCDでした。子供の頃なのであまり覚えてはいないけど、その後も新作のリリースがあればCDを買っていましたね。

柴田ひかり

柴田ひかり

──今回の取材にあたって、柴田さんにはTechnicsのターンテーブルの最新モデル「SL-1200MK7」で試聴したいレコードをいくつか持ってきていただきましたが、ジャズやアンビエントのレコードもあって、音楽的興味の変遷を感じます。

やっぱり年齢を重ねることで好きな音楽も少しずつ変化しますよね。高校生の頃は周りに音楽をやっている友達が多かったから、その影響で日本のヒップホップばかり聴いていましたし。ヒップホップは今でも好きなんですけど、最近は落ち着いた雰囲気の音楽を聴く時間が増えてきました。

柴田ひかり
お気に入りのレコードをTechnicsのターンテーブルに乗せる柴田。

お気に入りのレコードをTechnicsのターンテーブルに乗せる柴田。

──普段はどのように音楽を楽しんでいるんですか?

モデルとしてのお仕事以外だと1人で黙々と作業する時間が長いので、音楽を流しながら作業をしています。作業をしているときと移動してるときに聴く曲ってまったく違っていて、作業するときは歌詞があるとそっちに集中してしまうからジャズなどのインスト音楽を聴いてますね。少し話が変わっちゃうんですけど、私は最近韓国語を勉強していて、韓国のアーティストの曲を聴いているときに歌詞に気を取られちゃうんです。それはうれしくもあるんですけど、そっちに意識がいってしまって集中できなくなっているところです(笑)。