「nevermind」のイメージは“ガールズのミーティング”
──「Dungeon」に収録された楽曲について、何曲かピックアップして生まれた背景を聞かせてください。まず1曲目の「nevermind」と10曲目の「jabber」は、ともに歌詞にある学園感といいますか、青春感にとても惹きつけられました。「nevermind」はドラマ「素晴らしき哉、先生!」の挿入歌であることも大きいと思いますが、この2曲はどのようにして生まれたんですか?
takachi 「nevermind」はミーティングでドラマサイドの方から曲のイメージを伺っているその途中でビートが頭の中に浮かんで。そこから家に帰って速攻で、半日くらいでデモを作りました。
──takachiさんは曲作りのスピードが速いんですね。
takachi 閃いたら速いと思います。「nevermind」は頭の中で閃いたものを形にするということがうまくいった曲ですね。
Asakura 「nevermind」の歌詞について「学園モノ」というテーマをいただいたんですけど、ドラマが放送されるのは夜帯だし、大人の皆さんにも観てもらえるのかなと思って。なのであまり学生にこだわりすぎず、大人にも響くような歌詞を書こうと意識しました。「jabber」は、「nevermind」よりも前から作っていた曲なんですけど、takachiから送られてきた曲に「ガールズのミーティング」というイメージを抱いて。私、高校は女子高だったので、自分の過去と曲のイメージがマッチするなと思ったんです。なので、この曲の歌詞は自分の学生時代を思い出しながら書きました。
──「jabber」の歌詞を書くとき、Asakuraさんの中ではどういった情景が浮かんでいましたか?
Asakura 女子高って、けっこうめちゃくちゃなんですよ。きっと皆さんが想像するであろうキラキラ感はほとんどなくて、早弁する女の子も多いし、靴下がそのへんに投げっぱなしだし、ロッカーも汚いし、教室は臭いし……(笑)。
──(笑)。
Asakura 3年間同じクラスだったんですけど、変わった人が多くて「個性の集まり」みたいなクラスだったんです。その自由な感じが私はすごく好きだったし、今でも自分にとって大きな経験だったなと思うんですよね。音楽活動を応援してくれるのもいまだに連絡を取るのもほとんどが高校の友達だし、今でも自分を支えて背中を押してくれる思い出も、高校生の頃に友達と一緒にやったことばかりだし。現在進行形で、高校時代の思い出やあの頃出会った友達は大事なものですね。
──「jabber」の歌詞は「じゃあね」で締めくくられるところも印象的です。
Asakura ここは「これからもよろしく」みたいなニュアンスですね。今でも高校の友達と会うと思い出話をするんですけど、それで終わりじゃなくて「また会って話そうね」となるので。「この関係を続けていこうね」という意味合いも込めて、「じゃあね」で締めくくりました。
「DAYS」はほかのバンドにはできないこと
──アルバムの最後を飾る「TIME」から「DAYS」に至る流れが素晴らしいなと思うんですけど、アルバムの着地点はどのように考えられていましたか?
takachi 「DAYS」は映画のエンディングのような曲になればいいなと思っていたし、もっと言うと、「DAYS」をアルバムの最後の曲にすることは前から考えていたことなんです。「DAYS」は最後がバンドサウンドになって終わっていくんですけど、それはバンドにしかできない終わらせ方だと思うんですよね。さらに、その最後の部分に至るまで「DAYS」にはあまりバンドの音が入っていない。そこは、ほかのバンドにはできないことで。
──曲の前半は「バンドにはできないこと」で、最後は「バンドにしかできないこと」で成り立っているんですね。
takachi そう、それが「muqueそのもの」だと思うんです。
──「DAYS」の歌詞に関して、Asakuraさんはどのようなことを思いながら書かれたんですか?
Asakura 私は人から相談を受けることが多いんですけど、そういうときに私自身が常にポジティブでいられるかというと、そうでもないんですよね。私がネガティブな気持ちのときは人の相談に乗ることができなかったりする。それに今、muqueのお客さんが増えている中で、お客さんからも、学校や仕事や恋愛のことなんかを聞くんですけど、1人ひとりの相談すべてに乗ることはできなくて。だから代わりに、音楽でなんとかその人のそばにいてあげることはできないかな?と思ったんです。遠回しでも「いつでもそばにいるよ」と伝えたかったし、「あなたがいるから、私がいます」ということをラブレターのように伝えたくて、「DAYS」の歌詞を書きました。この曲がアルバムのラストになることは最初からわかっていたし、前に作った「pas seul」という曲のように直接的な歌詞をまた1曲書きたい、と心のどこかで思ったんです。
──「DAYS」には、Asakuraさんが友達やお客さんに対して、自分はどんな存在でありたいか、と感じている部分が表れているのかもしれないですね。
Asakura 「自分がどうありたいか」というより、「自分の目の前にいる人に笑顔を見せてほしい」という思いかもしれないです。ライブのときも、友達と会うときも、悲しい顔をせずに、「元気でやっているんだ、よかった」と思いたい……そういう気持ちが大きいんだと思います。
公演情報
muque 1st Oneman Tour "Dungeon"
- 2024年11月2日(土)東京都 WWW X
- 2024年11月7日(木)福岡県 DRUM Be-1
- 2024年11月22日(金)愛知県 CLUB UPSET
- 2024年11月23日(土・祝)大阪府 Music Club JANUS
muque 1st Oneman Tour "Dungeon" ~Bonus Stage~
2025年1月23日(木)東京都 LIQUIDROOM
プロフィール
muque(ムク)
2022年5月にAsakura(Vo, G)、Lenon(B)、takachi(Dr, Track make)、Kenichi(G)の4人が福岡で結成したバンド。結成1カ月後の6月には1stシングル「escape」を、同年12月には6曲入りのEP「tape」をリリースした。バンド名のmuqueはフランス語で“音楽”を表す「musique」と、日本語の「無垢」をかけた造語で、「穢れのない音楽(muque)=周りに影響されず、自分たちのやりたい音楽を作り続けたい」という意味が込められている。2024年7月にリリースした楽曲「nevermind」はABCテレビ・テレビ朝日系連続ドラマ「素晴らしき哉、先生!」の挿入歌として使用された。10月に1stフルアルバム「Dungeon」をリリース。11月からは全国5会場を巡るツアーを開催する。
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