藤巻亮太×高城れに「Mt.FUJIMAKI 2023」開催記念初対談|「3月9日」がつないだ縁で、富士山の名に恥じないフェスを (2/2)

高城れには3拍子?

藤巻 グループでもソロでも、作家さんと一緒に曲を作っていくと思うんですけど、方向性はどうやって決めているんですか?

高城 私は日本語があまり得意じゃないので、作家さんにうまく伝えることができないんですけど、そのときの自分の心情が大きいですね。先日30歳になったお祝いのソロコンサートをやらせていただいたんですが(参照:ももクロ高城れに「30祭」に込めたモノノフと両親への感謝の思い「世界一タフな30歳に」)、そこで両親への感謝の思いを歌いたいと思ったんです。作家さんにはその思いやエピソードを話したり、「こういうワードを入れてください」って相談したりしながら作りました。

藤巻 自分の思いを込めた曲ができあがっていく過程は面白いですか?

高城 すっごく面白いです!

藤巻 音楽ってすごく抽象的なものじゃないですか。作家の個性や人生観が入ってくるし、その作業の中で形のないものが形になっていく。僕は本当にそれが好きで。まったく曲が作れなくて苦しいときもあるんですけど、やっぱり楽しいんですよね。自分の中の資源だけで世界を表現できるわけじゃないから、いろんな方に出会って、自分の中になかったものができあがっていくのも面白くて。

高城 そうやってできあがっていくんですね!

藤巻 さっき明るさと暗さの二面性の話をしてらっしゃいましたけど、その両方の橋渡しをするのが音楽だと思うんです。高城さんのパーソナルな部分でもあり、万人が共感することでもあるので、うまく曲にできたら素敵なんじゃないかなと。

──藤巻さんがもし高城さんに曲を書くとしたら、どんな音楽性になりそうですか?

藤巻 そうですね……例えばですけど、3拍子がいいんじゃないかと思いました。エモーショナルにもなるし、軽やかにもなるし、すごく面白いリズムですよね。

高城 歌うのめっちゃ難しそう(笑)。

藤巻 割り切れないリズム感から見えてくるものがあるんじゃないかなと。ただの直感ですけどね。

高城 音楽を作る方って本当にすごいと思うんですよ。私のソロ曲の作家さんでも、まだ直接お会いしてない方もけっこういて。画面越しにすら顔も見たことのない方なのに、送られてきた曲を聴いた瞬間に通じ合えるというか。いつも不思議な感覚に陥ります。「私が言いたかったのはこれだ!」みたいな歌詞があったりもするし。歌うときも、1人じゃない感覚になるんですよね。

高城れに
高城れに

高城れに

藤巻 僕は普段はギターを背負って歌うことがメインで、高城さんみたいに体を動かしてパフォーマンスすることはほとんどないんですけど、ライブではどういうことを意識されているんですか?

高城 うーん、同じ曲を歌うにしても、そのときの自分の気持ちだったりライブのテーマだったりで、伝えたい意味が全然変わってくるんですよね。聴く人の状況によっても変わってくると思うから、「伝わったらいいな」という気持ちで、いろんな人とアイコンタクトするように意識しています。ライブってファンの方たちと直接会える、天国のようなひとときだと思うんです。同じ時間を一緒に過ごすってすごく貴重だから、その時間を大事にしたいですね。フェスだと特に、私たちのファンじゃない方もたくさんいらっしゃるので。

──アイドルがロックフェスに出演することは今や普通になりましたけど、ももクロの皆さんがアウェーな場所を切り開いてきた結果でもありますよね。

高城 音楽を共有する場はあったかいんですよね。「本当に私たちが出ていいのかな」って躊躇しちゃうアウェーな場面ってけっこうあったんですけど、最初は不安でもやっぱりお客さんが楽しんでくれるから私たち自身も楽しめるんです。

“壮大な”伏線回収が聴けるかも!?

藤巻 「Mt.FUJIMAKI」は、自分で言うのもなんですけど、すごく雰囲気のいいフェスだと思うんですよね。気持ちいい野外の環境で、親子3世代で楽しんでもらえたらいいなっていう思いがあるんですよ。前のほうで盛り上がっている方から、後ろでチェアに座って秋風に吹かれながら聴いている方もいて、それぞれの楽しみ方があるんです。

──今年は高校生以下が入場無料なんですよね。

藤巻 そうなんです。僕は「3月9日」を歌いに学校に行く機会も多くて、コロナ禍で学生がどれほどイベントや行事をできなくて思い出が少ないかという話を聞いていたんです。だったら、この「Mt.FUJIMAKI」が音楽的な思い出の1つになれたら素敵だなと思って。

藤巻亮太

藤巻亮太

──出演者の皆さんも、幅広いラインナップでありながら歌が中心にある方々なので、どの世代のオーディエンスでも楽しめそうです。

藤巻 狙ったわけじゃないんですけど、1日目はバンドのダイナミズムを感じさせてくれる方々が、2日目はポップのフィールドでカラフルな表現をしている方々がそろっています。それぞれの楽曲、歌声、パフォーマンス、世界観があるので、絶対楽しんでもらえると思いますね。転換中は山梨ならではのフードを堪能したり、アウトドアブランドのブースでキャンプギアを眺めたりするのも楽しいと思います。あと、とにかく富士山がきれいに見える場所ですから。

高城 すごい、めっちゃご利益ありそう(笑)。

藤巻 富士山の名前を半分借りているフェスなので、その名に恥じない楽しい2日間にしたいと思ってます。まだどういうステージングになるかは決まってないんですけど、「Mt.FUJIMAKIバンド」というハウスバンドをバックに高城さんにも歌っていただくのはどうですかね?

高城 えー! やりたいです!

──「3月9日」をどういった形で聴けるのかワクワクしますね。

藤巻 このご縁があって、高城さんにこの曲を歌っていただかないってことはないんじゃないかと(笑)。今日こうやってお話ししたことで、一緒に奏でる音楽の空気感が変わる気がするんですよね。どういうバージョンで皆さんに聴いてもらえるか、僕自身もすごく楽しみです。

高城 今回のご縁を大切にしつつ、やっぱり私の肩書きはアイドルなので、アイドルだからできること、アイドルが出る意味が皆さんに伝わるようなライブをしたいです。

藤巻 高城さんやももクロのファンの皆さんに、「こういう音楽的な側面もあるんだ」って新鮮に思ってもらえるように一生懸命準備して、いいステージにできたらなと思いますね。

──高城さんが歌う「粉雪」もぜひ聴きたいです。

藤巻 ああ、それは壮大なストーリーの伏線回収になりそう!

高城 それは要相談です!(笑)

イベント情報

Mt.FUJIMAKI 2023

  • 2023年10月7日(土)山梨県 山中湖交流プラザ きらら
    OPEN 11:00 / START 12:00
    <出演者>
    ACIDMAN / THE BACK HORN / OAU / The Songbards / 藤巻亮太
  • 2023年10月8日(日)山梨県 山中湖交流プラザ きらら
    OPEN 10:00 / START 11:00
    <出演者>
    LOVE PSYCHEDELICO / PUFFY / TRICERATOPS / 川嶋あい / 高城れに / 藤巻亮太

プロフィール

藤巻亮太(フジマキリョウタ)

1980年1月12日生まれ、山梨県出身。2000年12月にレミオロメンを結成し、ギター&ボーカルを担当。「3月9日」「南風」「粉雪」など数々のヒット曲を発表したのち、2012年2月にレミオロメンの活動休止を発表する。同月に初のソロシングル「光をあつめて」、10月には1stアルバム「オオカミ青年」をリリース。以降もソロ活動を活発に展開し、2019年4月にはレミオロメンの楽曲をセルフカバーしたアルバム「RYOTA FUJIMAKI Acoustic Recordings 2000-2010」を、2023年1月に4thアルバム「Sunshine」をリリースした。2018年からは自身が主催する野外音楽フェス「Mt. FUJIMAKI」を山梨・山中湖交流プラザ きららで開催しており、2023年は10月7、8日に行われる。

高城れに(タカギレニ)

1993年6月21日生まれ、神奈川県出身。2008年に結成されたももいろクローバーZのオリジナルメンバーで、担当カラーは紫。キャッチフレーズは「ももクロの鋼少女」。2015年3月9日に愛知・名古屋CLUB QUATTROでももクロメンバー初となるソロコンサート「高城の60分4本勝負」を行った。以降1年に1回のペースでソロコンサートを実施している。2021年8月に初のソロアルバム「れにちゃんWORLD」を、2023年6月に配信シングル「M&S~ママパパへ~」をリリース。また2022年11月にプロ野球選手の宇佐見真吾との結婚を発表した。ももいろクローバーZとしては2023年5月に結成15周年を迎え、同月16、17日に東京・国立代々木競技場第一体育館で2DAYSライブを開催。7月から10月にかけて結成15周年記念ツアーを実施している。