Qさんはパッケージングする能力が高い
──「Let's Get !」と「WeArePartyMonster」はどちらもMVが制作されていますね。
Mr.Q 「WeArePartyMonster」はKODONA VISIONの泰太郎さんに監督してもらったんですが、真治さんが現場ですごくディレクションしてくれて。俺がMVで踊れない部分があったら「踊りきれないなら、ここからここは抜いて捨てちゃいましょう」とか。で、完成品を観るとすごくうまく踊れてるように見えるんですよ。鏡の写り込みとか、動き方とか細かく指摘してくれました。監督も舌を巻いていましたね。マジでプロフェッショナルですね! 超カッコいい!
武田 寒かったから早く終わらせたかったんですよ……。
一同 (笑)。
DJ DRAGON 映像はホットな感じだけど、撮影したのは去年の末だもんね。
武田 女の子がすごく薄着だったし、寒さって演者のテンションで映像から伝わっちゃうから、早めにガッと撮影したほうが勢いがあるものが撮れると思ったんです。あと現場でせっかく化学反応が起こっても、無駄に間違った時間のかけ方をすると沈殿してなかったことになってしまうんですよね。よくわかんないけどワーッてやってる瞬間を収めることが絶対大事だと思って。ある種のドキュメンタリーの要素があるもののほうが、世の中でウケてると思うんですよね。
せいこう 「ブレてる暇なんか無ぇ」のMVも超ドキュメンタリー。なんせレコーディングの直後に撮ってるから、俺が歌詞を覚えてないっていう(笑)。
DJ DRAGON あのMVは映像的に面白いですね。小型モニターが2台配置されてて奥行きあって。
Mr.Q ベースの部分はiPhoneを2台並べて撮ってるだけなんですよ。それをplaybackboysがクリエイトしてくれて。
武田 すごいアイデアですね。曲にしろMVにしろ、Qさんはパッケージングする能力が高いと思うな。夜の友達同士でやる口約束から始まるプロジェクトは、普通なかなか進まず「あれ、どうなったっけ?」ってうやむやに流れていってしまうことが多い中、それをビデオを撮るところまで持っていくのはすごいことだと思うな。
モテてきた自負があるから基本的に怯まない
せいこう 何曲ビデオ撮ったの?
Mr.Q 5曲ですね。
DJ DRAGON それはすごいね。わりと時間ない中でやってたし。
武田 アーティストの人が面倒くさがりそうなことをちゃんとやりますよね。僕はフォルムが性能を表すと思ってる部分があるので、勝手に「Qさんはすごいズボラな人だ」と思い込んでました。すみません(笑)。でも本当はすごくマメですよね。驚きました!
せいこう たしかにQはスケジュール調整とかしなそうに見えるのに、やたら電話かけてくるもんね。俺は基本的に電話は出ないんだよ。でもQの場合、放っておくと夜中までかけてくる。しょうがないから出ちゃう(笑)。
DJ DRAGON 今回、Qちゃんの押し切るパワーは勉強になったよ。こういうプロジェクトってある種の強引さがないとできない。こっちも嫌じゃなかったし。
──Qさんの強引さは以前、RHYMESTERのMummy-Dさんもおっしゃってましたね。
Mr.Q RHYMESTERが「リスペクト」を作ってるとき、Dさんたちと飲んでたんですよ。そこで俺が「アルバムのタイトルはどうするんですか?」と聞いたら、Dさんは「『リスペクト』にしようと思ってるんだ」って言ったんですね。それで俺は「リスペクト」というタイトルの曲を先に書いて持っていったんです。そしたら採用されました(笑)。
DJ DRAGON それは採用されたと言うより、採用させたということでしょ(笑)。完全に「Let's Get !」の姿勢ですね。
Mr.Q 俺はイケメンじゃないけど、モテてきた自負があるんです。だから基本的にどんな場面でも怯みませんね(笑)。
武田 ちなみに僕はジュノンボーイなのにさほどモテてない(笑)。その強引さがいいのかもしれませんね。今回のMV撮影なんて、「明後日空いてますか?」っていきなり言われたんです。
せいこう そうなんだよ! Qはいつも「明日空いてませんか?」って連絡してくる(笑)。
武田 スタッフとかも集めなきゃいけないし、普通2週間後の日程とかでオファーするじゃないですか? 僕、去年の年末は舞台をやっていたのでスケジュールがびっちり埋まっていたんです。で、東京公演と地方公演の間の3日間は舞台自体は空いてるところがあったんですけど、そのうちの2日間は「めちゃイケ」の撮影で。残り1日も夜から仕事。そこに平気でオファーをしてくるんですよ。「空いてますよね?」みたいな(笑)。
DJ DRAGON 真治は首かしげながらMVの撮影現場に来たもんね。「こんな場所で本当にやるの?」みたいな(笑)。やっぱり真治は映像に出てる側だからこだわりもあって、俺にMVのテーマとか映像の感じとかをいろいろ質問してきたんです。でも俺も「こんな感じ」としか聞いてないから、それをそのまま伝えた。
武田 僕は監督がオリコンチャートで1位の曲のMVを撮ってるとは知らなかったから、「こんな座組みで集まる人たちはたぶん三流だろう」と思ってたんですよ(笑)。「カッコ悪いものにはしたくない」って気を張ってましたね。
せいこう 自分も集まってんじゃん(笑)。
武田 三流の筆頭タレントですから(笑)。
実業家じゃん!
せいこう でもさ、5本もMV撮るのはやっぱすごいと思うよ。
Mr.Q 俺は裏方仕事もしてたことがあって、アーティストのスケジュール管理や制作もしてたんですね。アーティストのグッズを作って、2tトラックで全国を回ったこともありますし。そのときの感覚が今生きてるんだと思います。今音楽業界は厳しいじゃないですか? 誰もやってくれないなら、自分でやるしかないという。
──「WeArePartyMonster」は日本テレビ系「バズリズム02」でPOWER PLAYされて、「Let's Get !」もテレビ東京系「流派-R Since 2001」のオープニングレコメンド曲として3月からオンエアが決まっていますよね。こういうタイアップものもQさんが自分で動いているんですか?
Mr.Q いやいや、そこはレーベル(ミュージックセキュリティーズ)の人間と相談してやってますよ。
せいこう タイアップは相談して取れるもんじゃないでしょ? そんな簡単な話じゃないじゃん。
DJ DRAGON 僕はそういう仕事ができない人間だから、今回の動きは本当にすごいなと思ったんです。ゴールに向かっていく決定力がすごい。出口のイメージを持ってると言うか。
Mr.Q それは2000年代にCDを何十万枚も売った経験してるからですね。でもそこが自分のピークだなんて思いたくないじゃないですか。時代が変わってCDが売れなくなって、それに変わるものは何かと考えたときに今回は映像でバズを作っていこうと思ったんです。円盤をたくさん売ることがきついなら別のアプローチで収益を上げていくしかないですからね。
せいこう 実業家じゃん!
武田 それが本音なんですね。面白いことをしたいとか、そういうこともあるけど、もう一度自分のピークを作っていきたいというのが。
Mr.Q そのほうが面白いと思うんですよね。このアルバムが出た3日後に「戦極MCBATTLE」っていうMCバトルの大会に出るんですよ。出場者の中で一番歳上なんですけど、俺がマイクであの大会を引っ掻き回してやる予定です(笑)。泥仕合でもなんでもいいから、どんなことをしても絶対に勝つつもりでいきます。そこで俺が勝てばバズって作品の売り上げにつながる。自分が面白いと思ってないと、周りの人も面白いと思ってくれないから、真剣勝負だけど楽しむスタンスはいつも持っていたいですね。
せいこう って言うかさ、そんなきちんとしたゴールを描いてるなら、最初にそういう話をしてよ。そしたらこっちだって「じゃあ一緒にがんばろう」ってなるじゃん。言うのが遅すぎる(笑)。
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フリースタイルバトルはジュノンスーパーボーイみたいなもの
- Mr.Q「Let's Get !」
- 2018年2月14日発売 / MS Entertainment
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[CD+DVD]
3500円 / VCCM-2111~2 -
[CD]
3000円 / VCCM-2113
- CD収録曲
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- Let's Get ! feat. マツマイヤー & The Money
- Fly High
- MATSURI
- GEKIATSU feat. 浅野忠信
- アイノパノラマ feat. yooco
- WeArePartyMonster feat. BLACK JAXX(DJ DRAGON & 武田真治)
- Who Is the Best
- ブレてる暇なんか無ぇ feat. いとうせいこう
- I Like That
- 大人のおもちゃ
- Like A Sapphire
- 衝撃 feat. Zeebra
- I Just Wanna
- 手紙
- HOPE feat. HAN-KUN
- DVD収録内容
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- Let's Get ! feat. マツマイヤー & The Money(Music Video)
- アイノパノラマ feat. yooco(Music Video)
- WeArePartyMonster feat. BLACK JAXX(DJ DRAGON & 武田真治)(Music Video)
- ブレてる暇なんか無ぇfeat. いとうせいこう(Music Video)
- 手紙(Music Video)
- Mr.Q(ミスターキュー)
- 1993年にラッパーとして活動を開始。ラッパ我リヤやREAL STYLAのメンバーで、ヒップホップ集団・走馬党の党首を務める。ラッパ我リヤは1995年に発表された日本のヒップホップ史に残るコンピレーションアルバム「悪名」に「ヤバスギルスキル」を提供しデビュー。2000年3月にDragon Ashの「Deep Impact」に客演し、2000年4月にメジャーデビューシングル「Do the GARIYA thing」をリリースした。Mr.Qは2016年にテレビ朝日系「フリースタイルダンジョン」に“隠れモンスター”として登場し話題に。2017年3月にラッパ我リヤとして8年ぶりのアルバム「ULTRA HARD」を発表し、2018年2月に2ndソロアルバム「Let's Get !」をリリースした。