ナタリー PowerPush - More SQ

スクエニトリビュート発売記念! ゲーム好きアーティスト緊急座談会

スクウェア・エニックスが生み出してきた歴代ゲーム音楽の数々をカバー&リミックスするトリビュートアルバム「More SQ」がリリースされた。この作品にはROCKETMAN、畠山美由紀 meets 平戸祐介トリオ、栗コーダーカルテット、sasakure.UK、SPECIAL OTHERS、SAKEROCKなど多彩な顔ぶれが参加。ゲーム好きにはおなじみの名曲がさまざまな解釈を通して生まれ変わっている。

今回ナタリーでは「More SQ」参加アーティストの中でも、特にゲームについて一家言あるという→Pia-no-jaC←のHAYATO(Piano)とHIRO(Cajon)、JABBERLOOPのMELTEN(Key)とYUKI(B)、YOHEI(Dr)を迎えて、ゲームミュージックについての座談会を実施。今回が初対面だという2組だったが、互いのほとばしるゲーム愛を感じてあっという間に打ち解け、トークはどんどんヒートアップしていった。

取材・文/橋本尚平 撮影/中西求

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合計したら丸4日間ぐらいゲーム音楽聴いてることになる

インタビュー風景

──今日集まっていただいた皆さんはかなりのゲーム好きと伺いました。

HIRO そうですね。JABBERLOOPのお三方もゲームは結構やられるんですか?

MELTEN 大好きですねー。

YUKI 今日来たのはJABBERLOOPの中でも特にゲームをやる3人なんで(笑)。

HIRO 僕は最近あんまりやってないんですが、昔は本当にめちゃくちゃやり込んでて。

MELTEN スーファミ(スーパーファミコン)世代ですよね?

HAYATO 僕はそうですね。みんなはどんなゲームが好きですか?

MELTEN スーファミだったらね、一番ハマったのが「FF(ファイナルファンタジー)6」。

HIRO おお! 「6」! 俺も3~4回ぐらいやった!

MELTEN ゲームボーイアドバンス版が出てからもやりなおして(笑)。

HIRO はいはいはい! プレステ(PlayStation)版とかリメイクされるとムービーが追加されたりして、またやってみたくなるんですよ。

YOHEI 僕、今iPhoneで「FF1」をやってるんですよ(笑)。「1」から「3」まではリアルタイムでやってなかったので。

MELTEN 「FF5」からアビリティのシステムができるでしょ。

HIRO あっ、アビリティは全部に星付けたわー。

MELTEN 星付けるでしょ? そのためにメッチャやり込むじゃないですか。だから音楽を何回も何回もリフレインするから覚えるんですよね。プレイ時間の合計を計算したら、丸4日間ぐらいゲーム音楽を聴いてることになる(笑)。

──自然と耳に入ってくるから何回も繰り返し聴いちゃうんですよね。もし普通にCD聴いてるだけだったら、そこまで何回も同じ曲をリピートして再生しない(笑)。

YUKI ゲームやってるうちに、ゲームの中の景色と一緒に曲が頭に焼きつくんです。映像とセットなんですよね。

インタビュー風景

HAYATO 映画に近いですよね。

──だからゲーム音楽を聴くとプレイ中の記憶がよみがえったり。

HIRO いっやー、ホントそうっすね。 今回のJABBERLOOPさんのカバー音源聴いたんですけど、やっぱ「FF5」って良いですね! 途中で「ビッグブリッヂの死闘」のフレーズが使われてたり(笑)。

YUKI そうなんです、ちょっとだけ(笑)。

HIRO 思わず反応しちゃいましたよ。

──「ビッグブリッヂの死闘」といえば、→Pia-no-jaC←さんも「Love SQ」でカバーしましたよね?

HAYATO 鬼でしたね……。あれはホントもうムチャぶりにも程がありますよ(笑)。

MELTEN 植松伸夫さんの作品の中でもかなりの名曲ですよね。

HAYATO そうなんですよ。だからそれに挑戦するのって勇気がいったんですけど。

HIRO 「Love SQ」の話をもらったときに、どうしてもやりたいなと思った曲が3曲あったんです。

HAYATO で、制作ディレクターが「好きにしていいよ」って言ってくれてね。

HIRO 「ビッグブリッヂの死闘」やるんだったらケフカの曲(妖星乱舞)もやりたいって思って。結局やりたかった曲を全部つなげることにしたんです。

「バイエル何番程度」とか書いてあったけど、たぶんデタラメやと思うわ

──ゲームミュージックのCDは買いましたか?

HAYATO CD買いました!

YOHEI 僕も持ってますよぉ!

YUKI 俺もサントラ買ってました。

HIRO 「FF5」と「6」、あと「ロマサガ(ロマンシング サ・ガ)1」と「2」のサントラは持ってます。

HAYATO あれ聴いてると、気付けば勝手に体が乗っちゃって、めっちゃボス倒してるみたいな気分(笑)。それでゲームミュージックかっこいいなって気になりだして、弾いてみたいって思うようになって。

HIRO スコアも持ってました(笑)。

HAYATO あれ、「バイエル何番程度」とか書いてあったけど、たぶんデタラメやと思うわ。

インタビュー風景

MELTEN そうそう、そうなんすよ! 俺のスコアにもバイエルの番号書いてあるけど、それより明らかに難しい(笑)。

YUKI リハのときとか、たまに弾いてるよねー(笑)。「FF6」のボス戦(決戦)とかも、この前やったもんね。

HAYATO 僕、3年ぐらいしかピアノ習ってなかったんで、楽譜読めないんですよ。いまだに音符の長さがわかんない。でもゲームの曲やってみたいから、もう雰囲気で聴こえるまま自分流に弾いてました。

──むしろそのほうがすごいのでは(笑)。

HAYATO そのほうがカッコええな! って言って、要はこれしか弾かれへんだけなんですけど(笑)。弾かれへん曲はもうエアピアノにしてました。

HIRO エアピアノの意味がわからん(笑)。

HAYATO 音楽流しながら指を動かしてイメトレしてるんですよ。そんで疲れたらエア指揮に変えんの。

HIRO どこいくねん(笑)。

→Pia-no-jaC←(ぴあのじゃっく)

アーティスト写真

ピアノのHAYATO、カホンのHIROにより2005年4月に結成されたインストゥルメンタルユニット。鍵盤を中心にしたシンプルな楽器編成ながら、ジャズともクラシックとも異なるエネルギッシュでオリエンタルなサウンドが、リスナーに強烈なインパクトを与えている。2008年の1stアルバム「First Contact」を皮切りに2年間で5枚のアルバムを立て続けに発表し、合計で40万枚のセールスを突破。国内外のフェス出演を含む、年間250本以上のライブを精力的に敢行している。2010年夏にはDAISHI DANCEとのコラボアルバム「PIANO project.」をリリース。さらに、同年8月発売の嵐のアルバム「僕の見ている風景」では、二宮和也から熱いオファーを受けゲストミュージシャンとして参加した。2011年1月からは、CMクリエイター箭内道彦が手掛けるシューズブランド「ピーエフフライヤーズ」のCMソングに、アルバム「EAT A CLASSIC 3」の収録曲「ジ・エンターテイナー」を提供。現在、着実に知名度を高めているインストユニットのひとつだ。なおユニット名は、左からピアノ、右からカホンと読むことができる。

JABBERLOOP(じゃばるーぷ)

アーティスト写真

DAISUKE(Sax)、MAKOTO(Tp)、MELTEN(Key)、YUKI(B)、YOHEI(Dr)によるクラブジャズバンド。クラブやストリートでのライブ活動で腕を磨き、2007年5月にニック・ウェストンが主宰するロンドンのMukatsuku Recordsから12インチEP「UGETSU」をリリース。これが国内外のクラブジャズシーンで注目を集め、同年7月にアルバム「and infinite jazz」でコロムビアミュージックエンタテイメントよりメジャーデビューを果たす。その後さまざまなアーティストのプロデュースや楽曲提供などに携わり、リミックスアルバム、コンピレーションアルバムにも多数参加。2008年にはそうした参加楽曲を集めた作品集「INFINITE WORKS」をリリースした。2010年、3rdアルバム「攻め燃える」よりレーベルをVithmicに移籍。同作は2010年のiTunesベストジャズアルバムに選出された。