ももいろクローバーZ結成15周年特集 佐々木彩夏×植村あかり(Juice=Juice)|2人が話すスタダとハロプロそれぞれの色 (2/2)

リーダーになるのはうれしいこと?

佐々木 あーりーは今、Juice=Juiceのリーダーなんだよね? リーダーになるのはうれしいことなの……?

植村 嫌でした!(笑) 私の場合は、自分がリーダーになるのはまだまだ先だろうと思っていたタイミングで急に就任することになったので、お話をいただいたときは正直に「嫌です」と返答しました。

佐々木 そうだったんだ(笑)。だからといって、簡単に拒否できるものでもないんでしょ?

植村 そうですね(笑)。でも、リーダーになったからには自分がやれることをしっかりやっていきたいと思っていて。私自身が変わったというより、周りのメンバーが支えてくれているおかげでリーダーとしてやっていけている面が大きいので、ホントにほかのメンバーあってのリーダーなんですけど、その中でも、自分やグループのことを客観視できるような落ち着きを持てるようになったのかなと思います。それがリーダーになったからなのか、年齢を重ねてきたからなのかはわからないけど、客観的な視点を持てるようになったのはいいことだなって。

左から佐々木彩夏、植村あかり。

左から佐々木彩夏、植村あかり。

佐々木 普段、話してるときのキャラクターには、リーダーっぽさはあまりないよね(笑)。

植村 うん。絶対にリーダーのタイプではないから(笑)。リーダーにはほど遠い存在だと昔から自分でも思ってました。結成当初なんて、一番早く辞めちゃうメンバーだとファンの方から思われてたんじゃないかな……。

佐々木 そうなの!?

植村 だから10年続けてこられたこと、今や唯一のオリジナルメンバーであることが自分でも不思議です。

佐々木 私からしたら、そもそもリーダーの役割が回ってくるという環境が想像できなくて。ももクロの場合、初期の頃に(高城)れにちゃんから(百田)夏菜子ちゃんにリーダーが変更になったことはあるけど、基本的にその役職が変わることってありえないから。あくまで仮の話だけど、もし夏菜子ちゃんがリーダーを辞めたら、誰も引き継ぐことなくリーダー不在のまま活動しそう。

植村 その空気感がももクロさんの素敵なところだと思う。私も、グループにリーダーが絶対必要なものだと思ってなかったし……。でも、リーダーがいるからこその安心感があるんだなとも感じますね。

佐々木 そうだよね。夏菜子ちゃんも最初は全然リーダーっぽくなくて。なんなら、最初は私のほうがリーダーっぽい性格だったかもしれないけど(笑)、活動してくうちに変わっていったと思う。今はもう夏菜子ちゃんは立派なリーダーですね。リーダーって大変なことも押しつけられちゃうじゃないですか。「リーダーなんだからトークを締めてよ」みたいに言われたり。でも夏菜子ちゃんは、そういうことに対して全然嫌な顔をせずに引き受けてくれる。「みんな早く準備して!」「ちゃんとやって!」みたいに引っ張るタイプではないけど、懐の深さにリーダーらしさを感じることがたくさんありますね。

植村 私も自分なりのリーダーらしさを見つけていけたらと思います。あーりんもグループのプロデューサーとして後輩の子たちと一緒に活動するときがあるんだよね?

佐々木 浪江女子発組合ではプレイングプロデューサーとして活動させてもらっていて、メンバーの中ではもちろん最年長で。浪江女子発組合が結成されるまで、ももクロのメンバーとしか過ごしてこなかったし、後輩の子たちとはあまり絡みがなかったのね。しばらくの間、名前も全員は覚えきれてなかった。

植村 そうなんだ! 先輩後輩が絡む環境も、ハローとはちょっと違うんだね。

佐々木 後輩たちと接するようになったのは、ここ何年かの話。ソロコンサートに後輩の子に出てもらうこともあるんだけど、同じグループで一緒に活動するのはまた感覚が違って。最初は年下の子とどう接すればいいのかわからなくて悩んだし、後輩たちもそれまで先輩だった私と同じメンバーとして活動していくことにちょっと戸惑っていたと思う。世代が違うと興味があることも違うし、最初は何を話したらいいかもわからなかった。距離を縮めるのに時間がかかりましたね。先輩でありチームメイトであるというのはなんだか不思議で、そう考えるとやっぱりあーりーはすごいなと思う。

新メンバーを迎えるということ

──Juice=Juiceは先日の日本武道館公演で15歳の新メンバー、川嶋美楓さんをお披露目しましたね(参照:Juice=Juiceが15歳の新メンバー川嶋美楓をお披露目、武道館が“ピュアレッド”に染まる)。

佐々木 新メンバーが入ってくるということに関しては、ホントに尊敬の気持ちを抱きます。ももクロについて「同じメンバーでずっと活動しているのがすごい」と言っていただけることがよくあるんですけど、私の感覚としては全然すごくないし、そのほうが楽だもんって思ってるのね。メンバーの性格も何もかもわかってるし、振付の立ち位置とかも変わらないし。ステージ上のことも含めて、口に出して言わなくてもわかり合ってる。でも、新しい子が入ってくるとなったらそうはいかないでしょ。曲ごとのフォーメーションが変わるだけじゃなく、相手のキャラクターを知って、メンバー同士の関係性の調整することもきっと必要になってくるだろうし、そんな中でグループの色も変えないようにしなきゃいけない。だからハロプロさんのグループはホントにすごいなと尊敬しています。

佐々木彩夏

佐々木彩夏

植村 そう言っていただけるのはありがたいです。10年間を振り返ると、最初に新メンバーを迎えたタイミングで自分の中でいろいろと変わった気がしていて。

佐々木 Juice=Juiceはオリジナルメンバーだけで活動していた期間がけっこう長かったんだよね。

植村 オリジナルメンバーの5人体制の時代が4年半くらいあったんです。だからこそ今思うのは、新しいメンバーが入ってくれたからこそ、グループとしての幅が広がったなということで。逆にももクロさんはずっとメンバーを変えず活動しているのに、表現の幅をいろんなところに広げているのがすごいなと感じています。メンバーが増えると、その分グループ内の個性もどんどん増えていくので、必然的に見せられるものの幅も広がっていくじゃないですか。Juice=Juiceは大人の方からずっと「80点、90点は出せるけど、100点以上が出せないよね」と言われてきたグループでしたし、新メンバーの加入はホントに正解だったなと思っているんです。だからこそ、そういう変化がなくても新しいものを見せられるももクロさんは、月並みな言葉で繰り返しになっちゃうんですけど、ホントにすごいなと思います。

佐々木 ももクロの場合は、「ももクロはこういうものだ」と自分たちで思っちゃってる部分もあるから、仮に新しいメンバーを入れることがあっても、その新しい風を受け入れるのが大変そう(笑)。びっくりしちゃうというか、自分たちらしさを変えられる気がしないかな。例えば、私みたいに最年少メンバーだったとしたら、新しいメンバーを迎えることでその最年少キャラもなくなっちゃうわけでしょ。自分より食いしん坊が入ってきたりしたら困るもん(笑)。

植村 あははは。そういうのは大事だよね(笑)。でもJuice=Juiceの場合は、自分たちにないものを持った子がいつも入ってきてくれるので、キャラがぶつかったりということは今までほとんどなかったかな。私も食べることが大好きなので、新メンバーが食いしん坊キャラだったら「あ、ちょっとキャラ被ってるな」と思うことは確かにあるけど(笑)、そこはお姉さんとして心を広く持って後輩を立てるようにしています。

植村あかり

植村あかり

──現在のJuice=Juiceの最年少メンバー遠藤彩加里さんは2008年生まれの15歳で、植村さんとは年齢が10歳離れてるんですよね。

植村 もう笑っちゃいますよね。

佐々木 どんな話をするの?

植村 遠藤彩加里ちゃんはなんだか赤ちゃんみたいで、眠たいときはころんと眠っちゃうし、こっちに話しかけたいときはそういう目線を送ってアピールしてくれる(笑)。向こうから積極的に接してきてくれてますね。

佐々木 そっかー。私の場合は、韓国の最新のアイドルさんの名前を後輩からいっぱい教えてもらってます(笑)。そういうときに自分が歳を重ねたこと、後輩と世代の差があることを実感しますね。でも、その年齢の幅広さもファンの方に面白がってもらえるように意識しています。

植村 周りに若い子がいると、自分も若いままの気分でいられるんですよね。それに、周りのスタッフさんの年齢も私たちと一緒に上がっていくし、自分が年を重ねているという感覚があまりなくて。若くいさせてくれているって言うんですかね。年齢に関してはアイドルだからこその感覚を持てていると思います。

アイドルシーンをまだまだこれから盛り上げていきたい

──10年、15年を経て、女性アイドルシーンにおける文化、空気感みたいなものは変化したと思いますか?

佐々木 うーん……活動の仕方の幅は広がったなとは思いますね。アイドルというくくりの中にもいろんなタイプがいるじゃないですか。ももクロはデビュー当初、アイドルっぽくないアイドルとして面白がってもらうことが多かったですけど、今のアイドルシーンの中には当時のももクロよりアイドルっぽくないアイドルはいっぱいいるし、活動の形態、目標もそれぞれ違って。ももクロに関してもれにちゃんが結婚しましたし、アイドルというものの在り方がものすごく幅広くなったなと思います。

植村 確かに、多様性が広がりましたね。

佐々木 それこそ現役アイドルの年齢の幅も広がって。だって、元AKB48の前田敦子さんがグループを卒業したときって、まだ21歳だったんだよね。そう考えると時代が変わってきてるんだと思うし、私たちもまだまだやれるんだよってところを後輩たちに見せていきたいです。アイドルシーンをまだまだこれから盛り上げていきたいし、アイドルになりたいと思ってくれる子がもっと増えてくれたらいいなって。ももクロを見たことがきっかけでアイドルになりたいと思って、スターダストに入ってきてくれる子たちもいるし……私は最初からアイドルになりたかったわけじゃないけど、小さい頃にモーニング娘。さんに憧れたわけで、同じように自分たちも憧れられる存在でずっといられたらうれしいなと思います。

植村 今はSNSなどもあってアイドルが身近な存在になってきていて、今あーりんが言ったようにどんどん在り方が変わってきてると思うんですけど、そんな中で変わらないのは、アイドルはアイドル自身が自分を誇れる素敵なお仕事ということだと思うんですよ。新しくアイドルになった子、これからアイドルを目指そうとしている子に希望を与えられる存在でいたいです。自分自身、ももクロさんに対してはずっと憧れの気持ちが強くて。「負けない!」という気持ちじゃなくてただただ憧れ。でも、憧れる側でばかりいるのも正直悔しいので、リーダーとしてJuice=Juiceを引っ張っている感覚はないものの、ももクロさんのようなアイドルの先輩にも刺激を与えられるようなグループになれたらいいなって、今回の対談を通して思いました!

佐々木 いやいや、Juice=Juiceさんに対してはすでにファンだから。ハロプロさんはみんなダンスも歌も素晴らしいし、新メンバーが入って変わっていく姿も見ていてわくわくします。だたひたすらに、ファンとして応援しています。

植村 ありがとうございます! 私もももクロさんのことをずっと応援させていただきます!

左から佐々木彩夏、植村あかり。

左から佐々木彩夏、植村あかり。

ツアー情報

ももいろクローバーZ 結成15周年ツアー

  • 2023年7月16日(日)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
  • 2023年7月17日(月・祝)愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
  • 2023年8月5日(土)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
  • 2023年8月6日(日)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
  • 2023年9月9日(土)福岡県 北九州ソレイユホール
  • 2023年9月10日(日)広島県 ふくやま芸術文化ホール・リーデンローズ
  • 2023年9月14日(木)大阪府 大阪国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール
  • 2023年9月15日(金)大阪府 大阪国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール
  • 2023年9月18日(月・祝)宮城県 名取市文化会館 大ホール
  • 2023年9月23日(土・祝)新潟県 新潟テルサ
  • 2023年10月14日(土)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
  • 2023年10月15日(日)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ

プロフィール

佐々木彩夏(ササキアヤカ)

1996年6月11日生まれ、神奈川県出身。2008年結成のももいろクローバーZの最年少メンバーで、担当カラーはピンク。2016年よりソロコンサート「AYAKA NATION」を毎年行っている。2019年からは福島・双葉郡浪江町を拠点とする浪江女子発組合のメンバーおよびプロデューサーとしても活動し、主催アイドルイベント「AYAKARNIVAL」も定期的に開催。2020年7月には1stソロアルバム「A-rin Assort」をリリースした。ももクロとしては4月に結成15周年記念ソング「いちごいちえ」を配信リリースし、5月に東京・国立代々木競技場第一体育館で結成15周年ライブ「代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary」を開催。7月から15周年記念ツアーを行う。

植村あかり(ウエムラアカリ)

1998年12月30日生まれ、大阪府出身。2012年にハロー!プロジェクトのハロプロ研修生への加入が決定し、同年3月にお披露目された。2013年2月にハロプロ研修生による新グループ・Juice=Juiceのメンバーに選ばれ、同年9月にシングル「ロマンスの途中 / 私が言う前に抱きしめなきゃね(MEMORIAL EDIT) / 五月雨美女がさ乱れる(MEMORIAL EDIT)」でメジャーデビュー。現在、Juice=Juiceの3代目リーダーを務めている。2023年7月にニューシングル「プライド・ブライト / FUNKY FLUSHIN'」をリリースする。