の子提供曲が一番正統派
──お二人の結婚観や将来像についてもっと話を聞きたいところではありますが、ここからは本題である「祝典」の収録曲の話題に移らせてください。完成したアルバムを聴いた印象はいかがでしたか?
高城 ももクロのアルバムには毎回コンセプトや色が強いイメージがありますが、今回はまた違った濃さがあって。バラエティに富んでいて、楽曲1つひとつにしっかりとしたメッセージ性があるんですよ。それでいて、収録曲順に聴いてみると、アルバムを通して“開会”から“閉会”に至るまでのストーリーを感じることができて。曲単位とアルバム単位で2度楽しめる作品だと思います。
百田 私もかなりバラエティ豊かな作品だなと思いました。アルバム自体に“儀式”、“祝祭”というしっかりしたコンセプトはあるんですけど、“ももクロなりの”という解釈でいろんな曲を歌うことで、すごく自由に表現の幅が広がっているんですよね。ももクロなりの要素をたくさん詰め込んでいることによって、決して普通の“祝典”にはなっていないというか。
──どんなタイプの楽曲も“ももクロ流”にしてしまえば4人の色がしっかり出てきますし、ジャンルに縛られない表現こそがアイドルの強みですよね。
高城 曲を作ってくださった方々もいろんなジャンルのアーティストさんで、楽曲にその人の色が出ていると思います。特に私が衝撃を受けたのが、神聖かまってちゃんのの子さんに作っていただいた「孤独の中で鳴るBeatっ!」。神聖かまってちゃんとは以前、対バンしたことがあるんですよ。
──11年前にツーマンライブをやってましたね(参照:仲良くできたかな?ももクロ×かまってちゃん異種対決終了)。
高城 そのとき、の子さんはぶっ飛んだ面白い方だなという印象だったので、「今回どんな曲を私たちに作ってくれるんだろう」というワクワク感があったんですけど、「孤独の中で鳴るBeatっ!」を最初に聴いたときに「意外だな」と思いました。
百田 このアルバムの中で一番正統派の曲なんじゃないかっていう。
高城 そうそう! キャッチーな感じの曲なのが逆に面白いなと感じました。
百田 私はリード曲の「MYSTERION」が印象深くて。これがまたすごい曲で、カッコいいんですけど、メンバーみんなめちゃめちゃレコーディングに苦戦しました……(笑)。
高城 めちゃくちゃ苦戦して、一生終わんないかと思った(笑)。
百田 れにちゃん含めほかのメンバーが私より先にレコーディングしていて。録り終わったあとの3人に会ったら、みんなちょっとぐったりして、すべてのエネルギーを出し切ったみたいな感じだったんです(笑)。それくらいエネルギッシュな曲で、メロがコロコロ変わるんですよ。今までは自分たちの声でハモリを録ることはあっても、そのハモリのパートが多くなってくると、コーラスの部分はメンバー以外の方にお任せして入れていただくこともけっこうあったんですね。でも、今回のアルバムでは自分たちの声で全パートを手分けして録るという形に挑戦して。特に「MYSTERION」はレコーディングするパートが多かったので、まんべんなく私たちを楽しんでいただける曲になっていると思います。でも、とにかく大変でした。
普段は赤は着ません
──今回のアルバムは「孤独の中で鳴るBeatっ!」が正統派に感じられるくらい、一筋縄じゃいかない曲ばかりですよね。それはももクロが年齢と活動の歴史を重ねてきた結果でもあると思うのですが、歌唱するうえで求められることも増えてきたんじゃないですか?
百田 ホントに! 難しい曲がどんどん増えていて、レコーディングしながら「これライブでどうやって歌うの?」と思いました。ほぼ全曲に対して。
高城 それは思った。聴いている分にはすごくいい曲だなってスッと耳に入ってくるんですけど、それを自分の声で歌うとなるとメロディを追うのが大変というか、音程が難しくて。モノノフさんはきっと「MYSTERION」もカラオケで歌うと思いますが、「相当がんばって覚えないと大変だよ」と言っておきたいです(笑)。
百田 ねー!
──では、「MYSTERION」が今回のアルバムで一番レコーディングに時間がかかった?
百田 そうですね。あと、「ダンシングタンク♡」もある意味で歌うのが難しくて。これはライブやカラオケで歌うには最高なんですけど、レコーディングのブースで1人で歌っていると、なんだろうな……(笑)、自分のテンションを一瞬で高めるのが難しいんですよ。徐々にギアを上げるんじゃなくて、いきなりMAXまで持っていかなきゃいけないので。しかも、ディレクションしてくださる方との差がすごくて(笑)。こっちはすっごい汗かいて歌ってるのに、「あ、OKでーす」「はい、録れましたー」という感じだったんです。
高城 「いやいや、テンションの温度差!」っていう(笑)。
百田 「お願いだから淡々と進めないで!」みたいな。テンション高く「はーい! OKでーす!」って言ってくれたらいいのに、淡々としたトーンだと不安になってきちゃうんですよ。でも、それがなんだかちょっとおかしかったです(笑)。
──「ダンシングタンク♡」は2018年発表の「あんた飛ばしすぎ!!」に続く、GARLICBOYSの楽曲をももクロバージョンにリメイクしたパンキッシュな自己紹介ソングですが、結成15年目というタイミングで新たに自己紹介ソングを発表するのも珍しいことですよね。
百田 ほぼ毎回1曲はアルバムに自己紹介ソングが入るんですよね。これは裏話なんですけど、実は前回のアルバム(2019年発表の5thアルバム「MOMOIRO CLOVER Z」)のとき、「あんた飛ばしすぎ!!」か「ダンシングタンク♡」の2択だったんですよ。どのGARLICBOYSさんの曲を自己紹介ソングにリメイクして収録するか。結果として前回は「あんた飛ばしすぎ!!」、今回は「ダンシングタンク♡」が選ばれたわけですが、「ダンシングタンク♡」は3年前からキングレコードさん的にマストでアルバムに入れたい曲だったんです。今回もライブやフェスで盛り上がる曲になるように歌わせていただいています。早くライブで歌いたいですね(※取材はアルバムのリリースを記念したツアー「MOMOIRO CLOVER Z 6th ALBUM TOUR “祝典”」開幕前に実施)。でも、バラードのあとには絶対歌えないんですよ。
高城 ね! 「ダンシングタンク♡」のあとにバラード絶対に持ってこないでほしい。
百田 気持ちの切り替えが(笑)。「ダンス ダンス ビバロック!」と熱唱したあとにスンっとした表情はできないですね。情緒がおかしいみたいで、お客さんに「この人たち大丈夫かな?」と思われちゃいそう(笑)。
高城 でも、今までの自己紹介ソングとは歌詞の雰囲気が違うんです。歳を重ねるたびに内容が変わってきていて、少しずつ大人になっているという私たちの成長の証を感じられると思います。この曲で歌われているキャラクターが今現在の私たちです。
百田 ちょっと上から目線なんだよね。レコーディングでも「上から目線で歌ってください」と言われました。
高城 この曲に関しては夏菜子ちゃんのパートが一番好き!
──百田さんのパートは曲の最後に登場しますが、「リーダーという名のアイコン? 普段は赤は着ません 黒とかグレーかな 意外ですか まあ、そうですか 太陽降臨!」という、ちょっとオラついた歌詞になってますね。
百田 「この歌詞で大丈夫なのかな」と思っちゃった(笑)。歌うのに若干抵抗があるもん。
高城 でも、夏菜子ちゃんが歌うからいい感じに聞こえるんだと思う。すごい面白いもん。「赤、着ないんかい!」って(笑)。
──(笑)。インタビューの終了時間が迫ってきたので、残りの新曲については後日インタビューする玉井詩織さんと佐々木彩夏さんにお聞きしようと思います。最後に、読者に向けて改めて「祝典」のアピールをお願いします。
百田 ホントに今までにない、そして私たちらしいアルバムができあがったかと思いますので、ぜひたくさんの方に聴いていただきたいです!
高城 モノノフの方、アイドルを好きな方は必ず気に入ってくださると思うんですけど、それ以外の音楽好きの方々にも1曲1曲が響くアルバムになっていると思います。よろしくお願いします!
ももいろクローバーZ「祝典」特集
- ももいろクローバーZ「祝典」特集|玉井詩織&佐々木彩夏ソロインタビュー 新アルバムは“今の私たち”を感じられる1枚
ライブ情報
MOMOIRO CLOVER Z 6th ALBUM TOUR “祝典”
- 2022年5月1日(日)静岡県 裾野市民文化センター(~おいでよ50周年 裾野市~)
- 2022年5月7日(土)青森県 南部町立町民ホール 楽楽ホール(~来てけろ南部町~)
- 2022年5月8日(日)岩手県 奥州市文化会館 Zホール 大ホール
- 2022年5月12日(木)大阪府 フェスティバルホール
- 2022年5月13日(金)大阪府 フェスティバルホール
- 2022年5月15日(日)東京都 日本武道館
- 2022年5月21日(土)岡山県 津山文化センター(~きんちゃい津山市~)
- 2022年5月22日(日)愛媛県 今治市公会堂(~おいでや今治市~)
- 2022年5月28日(土)兵庫県 香住区中央公民館(~おいでーや香美町~)
- 2022年5月29日(日)大阪府 守口文化センター(エナジーホール)(~きてや 守口市~)
- 2022年6月1日(水)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2022年6月2日(木)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2022年6月11日(土)愛知県 西尾市文化会館(~いこまい西尾市~)
- 2022年6月17日(金)栃木県 佐野市文化会館 大ホール(~おいでよ佐野市~)
- 2022年6月19日(日)福岡県 福岡サンパレス
- 2022年6月20日(月)福岡県 福岡サンパレス
- 2022年6月25日(土)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
プロフィール
ももいろクローバーZ(モモイロクローバーゼット)
百田夏菜子、佐々木彩夏、玉井詩織、高城れにの4人からなるアイドルグループ。2008年にももいろクローバー名義で結成され、2010年5月にシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。2011年4月に早見あかりがグループを脱退したあと、グループ名をももいろクローバーZへ改名。2012年にグループ結成当初から目標としていた「NHK紅白歌合戦」に初出場し、2014年3月には女性グループとして初となる東京・国立競技場での単独ライブを成功させた。2016年2月に3rdアルバム「AMARANTHUS」、4thアルバム「白金の夜明け」を同時リリースし、同月より初のドームツアーを開催。2018年5月には結成10周年を記念した初の東京・東京ドーム公演を行ったほか、ベストアルバム「桃も十、番茶も出花」を発表した。結成11周年記念日である2019年5月17日に5thアルバム「MOMOIRO CLOVER Z」をリリース。その3年後の結成14周年記念日である2022年5月17日に6thアルバム「祝典」が発売された。