ももいろクローバーZ「祝典」特集|玉井詩織&佐々木彩夏ソロインタビュー 新アルバムは“今の私たち”を感じられる1枚

結成14周年記念日である5月17日にリリースされた、ももいろクローバーZの3年ぶり、通算6枚目のオリジナルアルバム「祝典」。今作では“ももクロ流の儀式”が幕を開け、終幕に向かって進行していく様が、餓鬼レンジャー、Mom、の子(神聖かまってちゃん)、眉村ちあきら多彩な参加アーティストによる種々様々な楽曲を通して表現されている。また、リスナーとともにこれまでの道のり、グループを取り巻く環境を確認、肯定し、未来へつなげるという意味合いを含んでいるのもこのアルバムの特徴だ。

音楽ナタリーではアルバムや最新のももクロの魅力を掘り下げる特集記事を複数回にわたって展開。前回は百田夏菜子と高城れにへのインタビューを掲載したが(参照:ももいろクローバーZ「祝典」特集|百田夏菜子&高城れにが語るお互いの魅力、結婚観、多彩な新曲)、今回は玉井詩織と佐々木彩夏それぞれのソロインタビューを2本立てでお届けする。2人には新曲に対する解釈やモノノフ(ももクロファンの呼称)に対する思い、自身のソロ活動や人格についてなど、さまざまなことを語ってもらった。

取材・文 / 近藤隼人撮影 / 梁瀬玉実

玉井詩織インタビュー

私たちが考えていたよりファンの気持ちは強い

──4月23、24日に福島・J-VILLAGEで開催された「ももクロ 春の一大事2022 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ in 楢葉・広野・浪江 三町合同大会~」、おつかれさまでした(参照:ももクロが3年ぶり開催「春の一大事」で“笑顔のバトン”を福島へ、年内の大型ライブ続々決定)。2日間を終えた感想はいかがですか?

玉井詩織 やっぱり「春一」と言えば野外でのライブで。しかも普段ライブ会場じゃないところにステージを建てるのが醍醐味なので、2019年以来3年ぶりに開催できたのはうれしかったですし、会場の空気がとても気持ちよかったです。

玉井詩織

玉井詩織

──こうやってコロナ禍の前まで当たり前だったことをひさびさに経験すると、改めてモノノフの存在について考えたり、意識したりする瞬間もあるんじゃないですか?

玉井 そうですね。モノノフさんがももクロを好きでいてくれる理由の1つはライブだと思うので、私たちに会える数少ない手段がなくなったときに、そのまま応援し続けてくれる人ってどれくらいいるんだろうという心配はやっぱりあったんですよ。私たちは形を変えながら発信をし続けてきたんですけど、そのいつもと違う方法の発信を受け取ってくださる皆さんがすごく頼もしくて心強くて。自分たちが考えていたよりも、応援してくれている人の気持ちって強いんだなと実感できて、すごくうれしかったです。

──これだけ大勢の人が自分のファンでいてくれるのはすごいことだなと、改めて感じることも?

玉井 それはいつも思ってますよ。14年間活動してきた中で、結成当初から今もずっと応援してくれている方もいれば、意外なことにコロナ禍の中でももクロを知って好きになってくれた人もいて。まず長く応援し続けてくれている人に関しては、私自身が何か、誰かを応援することに夢中になった経験がそんなにないのもあり、ほかに熱を注げるところがたくさんあるのにその中でももクロにどのタイミングで出会ってそんなに応援してくれているんだろうと、いつも気になってますね。そして最近ファンになってくれた人も、ももクロにライブに行ってみたいとコロナ禍の中で思ってくれたわけで、それはホントにうれしいです。

──最近ファンになった人には、ももクロのどういうところが刺さってるんだと思いますか?

玉井 えー、なんだろう。でも、こういう状況になってメンバーがテレビなどで個々で活動させてもらうことも増えて。今までなかなか私たちのことを目にする機会がなかった人たちに新しく目にしてもらえてるのかなと思います。あと、2020年の外出自粛期間にYouTubeでライブ映像を公開したときにその反響がすごく大きかった気がしますね。テレビ番組に出たときの反響も大きくて、やっぱりテレビの力ってすごいなと感じるんですけど、YouTubeやSNSの力も強いんだなって。テレビで気になったあとに行き着く先がたぶんYouTubeなんですよね。だからYouTubeにライブ映像が多く上がっていることが、もしかしたら大きいのかもしれないです。

玉井詩織

玉井詩織

自分で選んで今ここにいる

──ここからはニューアルバム「祝典」の新曲の話題に移りたいと思います。まず、これまでもももクロに多くの楽曲を提供してきた只野菜摘さんとNARASAKIさんによる楽曲「momo」について聞かせてください。

玉井 NARASAKIさんと只野さんは私たちのことを長く見てくださっている方なので、2人ともももクロに対する「こういうふうに歌ってほしい」というイメージがとてもはっきりしているなと思いました。「momo」は曲に関してはすごくNARASAKIさんらしくて、1回聴いただけで耳に残るし、聴けば聴くほど印象に残っていくようなメロディラインで。アルバムでは後半の幕開けを飾る10曲目に収録されていて、そこから世界観がガラッと変わるイメージがあります。テンポがすごく速い曲というわけではないんですけど、世界観を切り替えつつ、ライブの空気感をもガッと上げてくれる曲だなと思います。

──クールさと疾走感を感じる曲で、「祝典」において“再入場”の役割を担っていますね。

玉井 歌詞についてはファンタジーな世界観を持ちつつ、発想の転換というか、何か嫌なことがあったときに飲み込んじゃうよりは、それをあえて言葉にして、表現することにつなげるみたいな意味合いの深さがあって。それは只野さん自身の気持ちかなと私は思ったんですよね。作詞家の方も含め、私たちの業界は表現をするのが仕事じゃないですか。そしていいことだけじゃなく、つらいことや苦しいことが自分の身に起きたとき、心の中にしまっておくよりは、表に出したほうがより深みのある表現にできるのが作詞家さんのお仕事だと思うんです。只野さんもそういう気持ちで詞を書いているのかなと思うし、そのことを私たちに重ねて「momo」を書いてくれたのかもと勝手に解釈しています。

──なるほど。

玉井 歌詞の最後には「舌に 残っていた苦さを うまく 転がしちゃうよりも 歌うことのほうを選んだ」という歌詞があるんですけど、その部分も今こうして歌い続けている私たちに重なる部分があるなって。もともと歌は得意じゃなかったし、どちらかと言えば苦手だったから、歌をやめるという選択も今までしようと思えばできたと思うんですよ。でも、どこかのタイミングで選んだ道の先が今につながってるわけで、この曲の歌詞からすごくそのことを感じました。自分で選んで今ここにいるんだなって。

玉井詩織

玉井詩織

──14年間、常にドラマや乗り越える壁があり、選択を続けてきたのがももクロであり、まさに4人が歌うからこそ説得力が生まれる曲ですね。ももクロ流の“儀式”を通して「自身を確認、肯定する」というアルバムの1つのテーマにも重なっているようにも感じますが、メンバーが年齢を重ねるのに伴い、楽曲の歌詞のテーマがどんどん深くなっているんじゃないですか?

玉井 年相応になっているというか。昔はがむしゃらに突っ走っていくという感じの曲が多かったですが、優しく寄り添ったり、少し前向きな気持ちを吐き出しながらもそれもひっくるめて未来につなげていこう、みたいな意味合いの歌詞が多いような気がします。