ももいろクローバーZ「祝典」特集|百田夏菜子&高城れにが語るお互いの魅力、結婚観、多彩な新曲

ももいろクローバーZが結成14周年記念日である5月17日にニューアルバム「祝典」をリリースした。

ももクロがオリジナルアルバムを発表するのは、結成11周年のタイミングでリリースされたセルフタイトル作「MOMOIRO CLOVER Z」以来、丸3年ぶり。今作は“儀式”や“祝祭”をテーマにしたコンセプチュアルなアルバムで、とある“祝典”が幕を開け、終幕に向かって進行していく様が作品を通して表現されている。またこのテーマには、“ももクロ流の儀式”を執り行うことで、リスナーとともにこれまでの道のり、グループを取り巻く環境を確認、肯定するという意味合いも含まれる。しかし、アルバム全体のテーマは統一されているものの、餓鬼レンジャー、Mom、の子(神聖かまってちゃん)、眉村ちあきら多彩な参加アーティストによる新曲は種々様々。メンバーはこれらの楽曲を“ももクロ流”に染め上げて歌唱し、活動の歴史を重ねるたびに進化していることを証明している。

音楽ナタリーではアルバムや最新のももクロの魅力を掘り下げる特集記事を複数回にわたって展開。まずは百田夏菜子と高城れにへのインタビューを掲載する。普段2人きりで話すことがほとんどないという百田と高城に、「祝典」の話のほか、ももクロが愛され続ける理由やお互いの魅力、結婚の話題など、さまざまなことを聞いた。またリーダーである百田には、結成14周年に際してのモノノフ(ももクロファンの呼称)に対する感謝の気持ちを直筆メッセージでしたためてもらった。

取材・文 / 近藤隼人撮影 / 梁瀬玉実

私たちは運がいい

──アルバム「祝典」のコンセプトには、“ももクロ流の儀式”を通して今までの行為や苦労、人に恵まれている幸せを確認、肯定するという意味合いも込められていると聞きました。そこでまずお二人に、結成15年目に突入するももクロがこれほど長い間多くの人から愛され続けているのはなぜか、という自己分析をしてもらえたらなと。アイドルが14年も活動を続けること自体簡単ではないですし、そのうえ新しいファンを獲得し続けるとなったらなおさらです。

高城れに あー、難しいですね。なんだろう……。

百田夏菜子 運がいいんだと思います。

──どういうときに運がいいと感じます?

百田 活動していていろんなことがある中、何事に関してもなんですけど、例えばデビューのタイミングとか……なんか自分たちらしく歩いてきたら、それを面白がってくれる人たちがたまたまいたっていう。これは例え話ですけど、私たちをたまたま見つけて好きになってくれた人がめちゃめちゃ偉い人だったみたいな感覚かな?(笑) 人とのつながりを含めて、タイミングや運がよかったんだと思います。「なんで私たちなんだろう?」と感じるようなことがよくあるんですよ。

左から百田夏菜子、高城れに。

左から百田夏菜子、高城れに。

──10年近く前のインタビューでも「どこで自分たちのことを好きになったのか、1人ひとりに聞いてみたい」と言っていましたが、今もそれと似た感覚があるんですね。

百田 そうですね。あと、たまたま転んだら、結果的に転んだほうがよかったみたいなこともあって。そういう出来事の積み重ねで今があるんだと思います。

高城 人にすごく恵まれてると感じます。関わってくれる人がみんな温かくて。私たちが壁にぶち当たったときはスタッフさんが全力でサポートしてくれますし、活動を重ねれば重ねるほど人に恵まれていることを強く実感しますね。そしてそういう運がある理由としては、自分たち自身が楽しんでいることが大きいのかなと思います。いいことはもちろん、今までぶち当たってきた壁も含めて。よくインタビューで「活動していてつらかったこと、大変だったことはありますか?」と聞かれるんですけど、その当時は大変だと思っていても、ちょっと時間が経つと笑い話になったり、楽しい思い出に変わっていたりするんですよ。たとえつらいことがあっても、だんだんと何事も楽しく感じられるようになってきちゃって。アイドルはみんなに“楽しい”を届けるお仕事ですが、自分たち自身が一番楽しんでるから、それがファンの方や周りにも伝わって「ももクロの現場は楽しい!」と言ってもらえているんじゃないかなと思います。

──忙しい日々が10年以上続いていると思いますが、疲れ果てるということはまったくなく、今も昔も日々の出来事が楽しいんですね。

高城 楽しいですね。ありがたいことに、私たちは決まった時間に決まったお仕事をするわけじゃないんですよ。明日はまた別のお仕事が待っていて、その次も全然違うお仕事があるっていう。自分たちのことなんですけど、なんだかドラマを観ているような気分なんです。もちろん眠たいなと思う瞬間はありますけど(笑)、日々お仕事が変化していくのが刺激的なので、忙しい日々がずっと続いていても楽しい気持ちが勝っちゃいますね。何より1人じゃなく、メンバーが一緒だから。

──結成から14年経って、メンバーの魅力に改めて気付く瞬間はありますか? 百田さんと高城さんというコンビの組み合わせは意外と珍しい気がするので、ぜひこの機会にお互いのことを褒め合ってもらえたらと思うのですが……。

高城 うーん、夏菜子ちゃんの魅力は……全部!

百田 ちょっと、雑じゃない?(笑)

高城 いや、ホントに絞れないくらい魅力があって。絶対的なリーダーというか、安心感がすごくあるんです。普段は楽屋でおちゃらけてるし、抜けたところもあって。「よくここまでやってこれたな」と思うくらいトンチンカンなことを言うこともあるんですけど、いざグループをまとめなきゃいけないという場面になるとすごく頼れる。不思議な魅力があるなと思います。ももクロのリーダーは百田夏菜子だと胸を張って言えるし、どこに行っても恥ずかしくないですね。

──百田さんとしては、今も昔も気負ってリーダーをやってる雰囲気ではないですよね。

百田 頼りがいのあるリーダーでいようとは特に考えてないですねー。リーダーだからこれをやらなきゃいけない、みたいなこともももクロはないですし。でも、れにちゃんもホントに不思議な人で、これだけずっと一緒にいても「どんな人なんだろう」と感じてしまうような魅力があるんです。すごく人間らしくて、素直で、常に自然体で。根っからのアイドルと思えるような存在なので、近くにいても「すごい人だな」と頼もしく感じます。

高城 (照れた様子で)フー!(笑)

──ももクロは4人ともオンとオフの切り替えがないように感じますが、特に高城さんはそのイメージが強いです。

高城 自分ではそんなに意識してないですけど……ないかな、オンオフ。もちろん人間なのでめちゃくちゃ元気な日もあれば、ちょっとしゅんとしてる日もありますけど、それも含めて全部私だという気持ちで過ごしてますね。

百田夏菜子

百田夏菜子

高城れに

高城れに

将来について語り合おう

──ちなみに、リーダーである百田さんとグループ最年長の高城さんはももクロの中でどういう関係性なんでしょうか?

高城 2人で話すことはあまりないよね。

百田 ないねー。

高城 でも、何年かに1回くらいあるよね、2人でじっくりいろいろ話すこと。移動の車の中とかで。ホントにくだらない話もするし、仕事の話もする。普段そんなにたくさんしゃべらないのは、夏菜子ちゃんは常に気遣いができる人で、無言に耐えられるタイプだからなんだと思います。ほかのメンバーも同じように無言に耐えられる関係ですけど、夏菜子ちゃんの前では特に自然体でいられるんですよね。居心地がいい。だからこそ、普段そこまで込み入った話をしないんだと思います。

百田 4人を年齢で分けるとしたら、私たちは年上組で。れにちゃんはあーちゃん(佐々木彩夏)とふざけているときは、走り回ったりして「小学生かな!?」と思うような姿の印象が強いんですけど、すごくお姉さんな一面もあるんですよ。私に言ってくれた気遣いができる人という言葉は、れにちゃんにも当てはまると思います。その場の空気を絶対に悪くしないための選択肢をどんな状況でも選べる。それによって周りが人に甘えられたり、自分らしく過ごせたりするんですよね。自然体なようでいろんなエネルギーを使っていて、たまに疲れて口を開けて寝ていることもあって(笑)。

高城 あははは! さっきの出来事じゃん、それ!(笑)

百田 さっき、口を開けて寝たんですけど、その姿が学生時代と何も変わってなくて、メイクさんと「ずっと同じ顔してるね」って盛り上がってたんですよ。その話はさておき(笑)、れにちゃんはずっと優しいので、その優しさにたくさんの人が救われていて、勇気をもらっていると思います。

百田夏菜子

百田夏菜子

──そういえば、さっき写真撮影のときに高城さんが百田さんに前のめりに話しかけてましたが、何の話をしていたんですか?

高城 「将来について語り合おう」って言ってたんです(笑)。

百田 「こんな機会だから」って。あれはなんだったの?(笑)

高城 いや、ホントにこの2人だけになることってあまりなくて。先ほど話したようにたまに2人でいろいろしゃべるときは、他愛のない話もありつつ、お互いにプライベートの話をすることもあるんですよ。だから、この機会にもそういう話を語り合おうかなって。実は撮影が始まる前まで、「うちらそろそろいい歳だね」という話題の流れで、結婚観について話してたんです。全然予定はないんですけど、「もし結婚することになったとき、どういう発表の仕方をする?」とか。

百田 自分だけじゃん!(笑) その話で盛り上がってたの。

高城 確かに私が1人で盛り上がってたんですけど(笑)、そういう話ってメンバーと共有しておきたいじゃないですか。実際にそのときが来たら、メンバーにも伝えなきゃいけないわけだから。

百田 私は「いつでもれにちゃんの味方だし、れにちゃんの幸せをどんなときも応援するから、わざわざそんなことを事前に決めておかなくてもいいよ」って言ったんですよ。

高城 でも、お互いに大人になって、学生のときとは違う価値観を持ってるってことが絶対にあるわけじゃない。これからもももクロを長く続けていくうえで、そういうことも共有しておいたほうがいいかなって。逆にその認識が固まっていたらグループとしてバランスが取れるから。

百田 えー、わかんない(笑)。私はどんな形でも受け止めるからって言ってるんですけど、どうやらそういうことじゃないみたいで。

高城 いや、やっぱり4人で事前に固めておいて……。

百田 どういうこと? もう固まってるじゃん!(笑)

──先日公開されたドキュメンタリー映画「ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~」でも結婚についての話題がありましたが、取材などで30歳を迎える思いや結婚観について聞かれることが増えたんじゃないですか?

高城 めっちゃ聞かれるよね!

百田 確かに、すごく聞かれます。

高城 あまりに周りから言われるものだから、将来のことや結婚観を考えるようになったんですよね。お仕事で聞かれるのはもちろん、スタッフさんからも「誰が最初に結婚するんだろうね」「どういう人と結婚するのかな」とか、毎日のように会話に上がるから、自分でも気になってきちゃって。自分の将来に興味がありますね(笑)。で、私としては結婚の発表の場としては「自由」(ももクロのYouTube公式チャンネルで定期的に行われている生配信企画)はどうかなと思っていて……。

高城れに

高城れに

百田 だから「それでいいよ」って言ってるんですけどね(笑)。さらに「結婚したら、旦那さんと一緒にラジオで生放送したいんだよね」って言うから、それに対しても「いいよ」って。でも、「そうじゃない!」って絶対に返してくるんです(笑)。

高城 夏菜子ちゃん自身の意見を聞きたいんですよ。「夏菜子ちゃんだったらどうする?」って。

百田 その質問に対しても、「あまりイメージが湧かないから、人それぞれでいいんじゃないの?」って返してるんですよ。

高城 私はもっと語り合いたいんですよ! 「どんな人と結婚したい?」とか。

百田 それこそ人それぞれじゃん! でも、こういうところが面白くていいですよね、れにちゃんは。

2022年5月20日更新