音楽ナタリー Power Push - ミソッカス

“フォークロア”を武器に追撃開始

バンドシーンの盟友たちへの思い

──アルバムの最後を飾る「最終列車は汽笛を鳴らす」は別れをテーマにした壮大なナンバーですね。

はるきち　この曲はチョケれない（ふざけられない）と思いましたね。これはもともとノブリルの曲なんですけど、大学の軽音サークルの卒業生に向けて書いてるんですよ。僕も同じサークルにいたし、すごく思い入れがあるんですよね。そこから“大切な人との別れ”をテーマにしようと思ったときに、7年間のバンド生活の中で経験したことを歌おうと。一緒にがんばってきたバンドが解散したり、活動休止することも多かったので……。

──同じ時代、同じシーンで活動していたバンドにはやはり思い入れがある？

はるきち　もちろんありますよ、それは。

ノブリル　どうしても思いが深くなりますよね。「あいつ、元気かな」って思い出すこともあるし。

はるきち　初めて対バンしてお互いに「おまえら、いいね！」って言い合って、「いつか（名古屋の）クアトロでツーマンやろう」って約束したバンドもいましたけど、叶わないわけですよ。そういう切ない気持ちもちゃんと歌詞にしようと思って……そうなると、やっぱりチョケれないですよね。

──最後は「普通じゃない愛すべき奴らと『明日』を鳴らそうか」という前向きなフレーズになっていますね。

ノブリル　そうですね。そこは前向きというか、互いに前進していれば、また交じり合うこともあると思うので。

はるきち　今も活動を続けている同世代のバンドを大事にしたいという気持ちも強いですからね。僕らは名古屋で「ミソフェス」というイベントをやっていて、目的は「名古屋にいいバンドを呼びたい」というのもあるんですけど、もう1つ裏テーマがあって。長い間バンドをやってると、サーキットイベントや祭りごとに呼ばれなくなってくるんですよね。若手とか勢いのあるバンドはフックアップしてもらえるんだけど、ある程度活動を続けていて芽が出ないと、だんだん呼ばれなくなるっていう。僕らはそういうバンドにも出てもらいたいんです。バンド主催のイベントだから、大きな会社がやってるフェスと同じことをやってもしょうがないし。

──でも「バンドシーンを勝ち抜きたい」という気持ちも強いですよね？

はるきち　そうですね。誰にも負けたくないって思ってるので。ミソッカスは、ロックンロール、パンク的な熱さと同時にメロディのキレイさも伝えていけるバンドだと思うんですよね。そのギャップが武器になるんじゃないかなと。今回のアルバムでもメロディにはすごくこだわってますし、ライブではそれを熱く伝えていきいたいですね。もちろん歌のうまさや演奏力も必要なんですけど、あえてそこをやっていきたいんですよ。それができれば、唯一無二の存在になれると思うので。

今は伸びしろしか感じない

──アルバムの2枚組仕様盤のDISC 2には、「マッドシュリンプス」「ワルイトモダチ」などのライブアンセム7曲をリメイクして収録しています。これもライブへの導線になりそうですね。

はるきち　僕らはメジャーデビューしてからも、ライブではインディーズ時代の曲をバンバンやってるんですよ。熱さを出していく上で昔の曲は欠かせないので。最近のツアーも半分くらい昔の曲だったんですけど（笑）、新しくファンになってくれた人はわからない曲もあって。

ノブリル　CDを探そうと思っても、入手しづらかったりしますからね。

はるきち　そうそう。だったらメジャー盤に入れちゃおうって。今回のアルバムと「反逆の♭m7」があれば、ライブはほぼ楽しめると思います！

──「追撃のフォークロア」リリース後も、ライブ中心の活動になりそうですね。

はるきち　そうですね。家でアレコレ考えるよりも、実際にライブをやってみて気付くことのほうが多いので。

ノブリル　案ずるより産むが易しというか。ライブはバンバンやっていきたいです。

──ここからさらに追撃していく、と。

はるきち　そうですね！追いかけるほうがラクなんで。

ノブリル　ずっとそういうふうに生きてきましたからね。今は伸びしろしか感じないです。

はるきち　今はバンド史上、一番攻めてるときなんですよ。無敵な感覚があるし、ここから上がっていくしかないですね。

1stアルバム「追撃のフォークロア」 / 2016年3月2日発売 / avex trax: CD2枚組 3564円 / AVCD-93401～2; CD 2916円 / AVCD-93403

収録曲

ゴーストシップラブストーリー
17の夜
情熱のハッピーエンド
シャバ・ラ・カタブラ
B-B-B-Bourbon
バイトロワイヤル
布団に捧ぐセレナーデ
五人の鉱夫
闇夜のキャラバン
ヨーラレ
世界征服
最終列車は汽笛を鳴らす

CD2枚組 DISC 2（※セルフカバー集）

パパパ
SEXY DYNAMITE
マッドシュリンプス
ム○ンライト伝説
ホリデイ
ワルイトモダチ
擦り切れた靴とロケット

ミソッカス

デストロイはるきち（Vo, G）、ノブリル（G, Cho）、ブルマン藤井（B, Cho）、マイケルTHEドリーム（Key）、ジャンボリー加藤（Dr, Cho）からなる5人組。デストロイはるきちの生み出すキャッチーなメロディと古今東西問わず幅広い音楽ジャンルを融合させた多彩な楽曲展開を持ち味とするロックバンド。2006年12月に「みそっかす」名義で結成され、メンバーチェンジやパートチェンジを経て現在の編成になる。地元愛知や、大阪で開催した自主企画でソールドアウトが続出するなど、精力的なライブ活動で着実に知名度を上げていく。2013年にはオーディションイベント「出れんの!? サマソニ!?」で勝ち残り、「SUMMER SONIC 2013」東京公演への出演を果たした。2014年1月1日にバンド名を「ミソッカス」に改名。2015年9月にシングル「ライジングレインボウ」でエイベックスからメジャーデビューし、2016年3月にアルバム「追撃のフォークロア」をリリースする。

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