M!LK「エビバディグッジョブ!」特集|吉田仁人ソロインタビューで紐解くブラボーな10年と現在地 (3/3)

花畑を胸に、澄んだ心で

──カップリング曲についても聞かせてください。初回限定盤には「give you」というクールなナンバーが収録されます。

わかりやすくキャッチーな構成の曲だなと思います。ラップパートが多かったり雰囲気はクールなんですけど、歌っていること自体はすごく好青年(笑)。このメロディに乗るメッセージが“世間への反発”とかじゃなく、“対1人”へ向けたまっすぐな思いなのがM!LKらしいなと思いますね。

──確かにそうかもしれません。

あと、この曲はレコーディングが爆速で終わりました。メロパートをだーっと歌って、ハモリパートもだーっと歌って。ハモはとにかくテイク数を重ねていく作業なので普段はかなり時間がかかるんですけど、「give you」ハモのラインはシンプルだったので、すぐに完了しましたね。

──いつもハモを担当されている仁人さん的には、大きなトピックだったと。

はい。いつもはほかの4人の倍の時間がかかるので、今回はありがたかったです(笑)。

──勇斗さんのスタイリッシュなラップパートも印象的です。

ですよね。これこそさっき言ったように、いい“ライブ拡張パック”を手に入れたなという曲で。クールな見せ方をできる曲が増えたなと思います。

──もう1曲、通常盤収録の「Message」は王道のラブソングですね。

この曲は「Bad Liar」(シングル「ブルーシャワー」収録)に続く、2曲目の“太智リクエスト曲”ですね。ライブを想定して、彼が「こんな曲がほしい」とリクエストして作っていただきました。太智は「みんなへの愛と『ありがとう』を曲にしたい」と希望を口にしていたんですけど、だとしたらすごくしっかりと形になってるじゃん!と思いましたね。

──恋愛だけではない、さまざまな関係性にフィットするラブソングだなという印象です。

そうですね、ただ「好きだよ」と言うだけじゃない“愛の歌”な感じがありますね。他者の願望も自分の主観的な欲求もなく、相手を思うからこその言葉たちがたくさん出てきて「幸せ空間だな」と思います。これはね、ライブでやるならどんなタイミングだと思いますか?という質問をファンの皆さんに投げつつ、披露を楽しみにしていてほしいなと。

──レコーディングではどんなイメージを思い浮かべて歌入れをされたんですか?

花畑ですね。花畑を思い浮かべながら澄んだ心で歌いました。レコーディングブースは小さなスペースなので、その空間だけだとスケール感が足りないから「その先ー! 花畑ブワーッ!」と想像して。あとはすんごい優しい顔して歌いました。マジで、どんな顔をして歌うかで声色って変わってくるんですよ。表情を意識せず歌ったときよりも明るい声色になるので、もう「どうしたん?」ってくらい優しい顔をして歌入れしましたね(笑)。

吉田仁人

いいこと悪いこと、全部この5人で感じていくんだろう

──「エビバディグッジョブ!」のリリース直後、11月の3、4日にはM!LKにとって初となるさいたまスーパーアリーナでの単独ライブが控えています。この会場でのライブ決定を知ったとき、仁人さんは率直にどんな思いを抱きましたか?

「……デカくね?」と思いました。正直、横浜アリーナが決まったときも「嘘やん」と思ったんですけど、さいたまスーパーアリーナ……しかも12月の大阪城ホールと合わせて3公演やるということで「人、多くね?」って(笑)。だって、さいたまスーパーアリーナでやるアーティストって、マジで“強い”じゃないですか。もちろんファンの皆さんが支えてくれているからこそ実現したことだとは理解しつつ、やっぱり不安も少なからずありましたね。でも、シンプルにすごいなと思います。M!LKというグループが、いろいろありながらも10年でここまで登ってきて、さいたまスーパーアリーナで単独公演を打てるようになったということが。グループとしてすごいなって、俯瞰的な視点で見るとそう感じます。

──その10年の道のりを振り返りながら“M!LKの現在地”を思うと、どんな感情が湧き起こってくるのでしょう。

ナタリーさんは僕らのことを最初から見てくれていますからね。「あのガキんちょたちがよう大人になったな」と、きっとそう思ってくれていると思うんですけど(笑)。やっぱりね、メンバーそれぞれがよくここまでM!LKを愛したなと思います。ここまで情を入れて、愛を持ってグループに接して、個人活動をしながらもちゃんと「帰る場所はM!LKだ」と思っているということは、僕らにとってすごく大事なことだと改めて思います。

──5人それぞれが“M!LKへの帰属意識”をしっかりと持っているムード、確かに強く感じます。

僕も太智も勇斗もM!LKを始めたばかりの頃って、正直グループに対しての熱量がここまであったわけではないと思うんですよ。「最初からありました」って言えばきれいなんでしょうけど、M!LKを100%一生続けていくんだ、俺たちはM!LKを背負ってやっていくんだという気持ちが当初からすごく明確にあったわけではない。それに、メンバーそれぞれが人として成長していく中でいろんな面を見せ合って、いいところもダメなところも全部ひっくるめてその人なんだと思えるようになったことで……自分の中で、M!LKが家族のようになってきたと感じますね。いわゆる一蓮托生というか。この先も、いいこと悪いこと、全部この5人で感じていくんだろうなって。正直切っても切り離せない関係だなと思いますよ。

──そうなんですね。

まあでも、つらいこともいろいろありました。学生時代、夏休みが1カ月しかないのに25日くらいイベントやったりとか。いつ宿題すんの?みたいな(笑)、そんなこともありましたけど、今こうして仕事を通してやりたいことをやれているのは中学、高校生の時代のそういった経験があったからこそなのかなとも思うし、結果として修行を積ませてもらえたことはありがたいなと感じます。そう、だから正直M!LKって、活動のスタートが下積みのスタートという感覚なので、実際軌道に乗ってからはまだ4、5年だぞ?と思うんです。「もう10周年って言われるんだ、そうか、そうだよな……」という気持ちもなきにしもあらずなんですけどね。そう考えると、やっぱりここでさいたまスーパーアリーナに立てるのはありがたいなと思います。気付いたらここにいた。ただM!LKとして生きることを必死にやり続けたらたどり着いた場所なので。まだまだ安心はしないですけど、誇れることなのかなとは思いますね。

──皆さんがしっかりと努力や経験を積み重ねてきたからこその“今”ですね。

需要がなければ続けられない仕事ですからね。僕らのことを必要だと思ってくれている人が世の中にこれだけいてくれているっていう……ファンミーティングで各地を回ったりしていますけど、やっぱりみんなの顔、それぞれの表情を直接見られるのはうれしいし、「そんなに思ってくれるならがんばらんとアカン!」という気持ちにもなるし。いやね、「僕らのどこが好きなんですか?」って思うときもあるわけですよ。どこにでもいそうな、ホントに楽屋での姿のまんまみたいな僕らがステージに上がってもみんなが喜んでくれることが僕的には不思議で、うれしいけどごめんねみたいな気持ちもあります。みんなが「推しててよかった」と感じられる何かを見せていかなきゃなと思いますね。

──ありがとうございます。では最後に、アリーナツアーに向けての思いとファンの方へのメッセージをお願いできればと思います。

リハーサルで頭から最後まで通してみたんですけど、やっぱり“10年”を感じます。そういうセットリストだし、正直グッとくるなあと。この10年で培ってきた経験をもとに、それぞれの個性が光るような見せ場もありますし、M!LKが好きな方も、メンバー個々が好きな方も、きっと満足いただけるライブになりそうです。よくぞここまで10年間をぎゅっと凝縮してくれたな、グッジョブ塩﨑!というような内容になっていますよ。とにかく「ここは押さえておいたほうがいい」と言えるツアーになると思う。もちろん10周年を祝って終わりではないし、来ていただくことできっと“その次”も見えてくると思うので、チャレンジと感謝と愛にあふれたライブを楽しみに待っていてほしいなと思います。

吉田仁人

公演情報

10th Anniversary M!LK ARENA TOUR 2024「I CAN DRINK!」

  • 2024年11月3日(日・祝)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2024年11月4日(月・振休)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2024年12月22日(日)大阪府 大阪城ホール

プロフィール

M!LK(ミルク)

2014年11月結成のダンスボーカルグループ。メンバーは佐野勇斗、塩﨑太智、曽野舜太、山中柔太朗、吉田仁人の5人。グループ名には「何色にも染まることの出来る存在に」という意味が込められている。2015年3月、「コーヒーが飲めません」でCDデビュー。2021年11月、ビクターエンタテインメントよりメジャーデビューシングル「Ribbon」をリリースした。2023年10月にはグループ史上初となる神奈川・横浜アリーナでの単独公演を開催。2024年1月にシングル「Kiss Plan」を、5月にメジャー5枚目のシングル「ブルーシャワー」をリリースした。11月より、初のアリーナツアー「10th Anniversary M!LK ARENA TOUR 2024『I CAN DRINK!』」を開催する。