メンバーからの提案
──続いて、「エビバディグッジョブ!」の振付についても聞かせてください。
今回は歌詞をよりよく伝えるためにある振付という印象です。「鍵はどこ行った?」のところでてんやわんやしてたり、若干ミュージカル感があってすごくキャッチーなんですよ。あと、今回はメンバーから「こんな振りはどうですか?」と振付師さんに提案させていただいた部分が少しありまして。
──そうだったんですね。
サビの「ブラボーブラボーブラボー おつかれさま」で“b”の形にした手を突き上げる動きがあるんですけど、そこは勇斗が「こうしたほうがいいんじゃないか」と言って。あえて少し変な踊りにして、見た人が引っかかるポイントを作ろうと。勇斗の提案したダンスが本採用になったのは初めてか……あっても2度目くらいじゃないかな。あと「愛はまだいっぱい待機中 希望をぎゅっぎゅっぎゅっ」でハートを作るんですけど、そこは珍しく私が「ハートにするのはどう思いますか?」と提案させてもらいました。
──メンバーと振付師さんのこだわりが詰まったコレオになっているんですね。今回、振付はどなたが?
「唱」(Ado)の“ゾンビ・デ・ダンス”の振付に携わったTERUPOPさんという方で。すごい方なのに、僕らの提案を聞いてくださったり意見を汲んで向き合ってくださるのがうれしかったですね。
裏方M!LKとミニM!LK
──ミュージックビデオは先日撮影されたばかりだと伺いました。
そうなんですよ。今回は今までのMVの雰囲気とはまたちょっと違って。僕らとは別に“ミニM!LK”というスターがいて、僕らはミニM!LKの周りの裏方という設定なんです。私はマネージャー、舜太がドライバー、太智はAD、勇斗はスタイリスト、柔太朗はヘアメイクとしてミニM!LKをサポートするんですけど、途中でその子たちがいなくなっちゃって、代わりに僕らがステージに出るという……急に悪い夢みたいな展開ですみませんという感じなんですけど(笑)。
──そんなことはないと思います(笑)。
とにかく、コメディチックで見ていて飽きない映像になっていると思います。撮影はほぼ“素材撮り”みたいな感じで、例えば「このソファでいろんな寝方をしてください」といった指示に合わせて、僕らは次々に変な動きをしていくという。だから仕上がりがどうなるのか、今は完成をホントに楽しみにしている状態で。かなりいい感じになっていると思いますし、いつものM!LKとは違う一面……それぞれの俳優としての一面もちょっとは生きてるんじゃないかなとも思います。ちなみに、柔太朗が持っているメイクさんの現場バッグは本物です。よりリアリティを出すために、現場でメイクさんが使っていたものを急遽持たせてもらったんです。なので、同業の方が見たらすぐに「本物だ」とわかる見た目になっていますよ(笑)。
──“小さなM!LK”との撮影はいかがでしたか?
8歳から12歳くらいの子たちだったんですけど、もうすごいプロでしたよ。撮影が始まるまでにこやかに待っていて、カメラが回ったらワーッと元気にやって、終わった瞬間にスンッとなる。「プロ~!」と思いましたし、めちゃくちゃいい子たちでした。で、驚きなのがそれぞれのメンバーとキャラが似てるんですよ。僕、“ミニ柔太朗”の子は声を聞いてないです。柔太朗の声が小さいのと同じ(笑)。
──撮影現場で交流はありました?
ありましたよ。休憩中は子役から子供に戻るので、僕が映像チェックとかしているとワイワイと近くにやって来るわけですね。自然と寄ってくるんです(笑)。最終的に5人全員にウワーッと襲われるみたいな。いい子たちなんで全然よかったんですけどね。無邪気に撮影を楽しんでくれてよかったです(笑)。
5人の“グッジョブ!”な瞬間
──仁人さんがメンバーを見ていて「仕事人だな」と思う瞬間はありますか?
マジで仕事人ですよ、みんな。僕からすると「そんなに? すごいやる気じゃん」と思うくらい仕事人です。いや、僕もやる気なんですけど、4人はそれ以上にすごい。とにかくいろんな事に対していろんな考えを持っていて、それをお互いにぶつけ合っているから。スタッフさんに伝える前に僕らの中で意見をまとめなきゃいけないときも、すごい量のディスカッションをするんですよ。携帯を5分くらい見ないだけで、ものすごい量のメッセージ通知が溜まっていくからホントすごいなって。「みんな一般社会に出て何をしてもうまくいってただろうな」と思うくらい、熱量を持って仕事しているなということは常に感じます。
──そうなんですね。
個々で言うと、勇斗は自分が求める理想のアイドル像が明確にあるというか、しっかりとした目標があるんだろうなと思える意見を言いますね。「その熱量、誇っていいよ」と言えるほどのものを持っているなと思うし、柔太朗は毎日TikTokを更新してくれています。本当に無責任なことを言わせてもらうなら、自分にはできない。だって寝ちゃうときだってありますもん。本当によく続けてくれてるな、優秀だよなと思うし、太智はライブの演出を毎度やってくれているんですけど、そこに“仕事っぽさ”を感じさせなくて、ちゃんと“ゼロからイチ”を楽しんでる。それは本当にすごいし“グッジョブ”だなって。舜太も舜太でね。末っ子で加入当初は経験も少なかったところ、この6年でスパルタ的にいろいろ取り組んできたし、僕らが「ここ、舜太ならもっとできる」みたいなことを言っても全吸収の姿勢で臨んでくれますから。しかも彼はまだ大学生で、学業とアイドルを両立しているのもすごいことだし、さらにいろんな検定とかも取ってるんですよ。「いつ勉強してんの?」みたいな。だからもう、僕から見たら4人とも本当にすごいなと思いますよ。
──仁人さんは仁人さんでしっかりと自分のフィールドを持って活躍されているのではと思います。
僕は好きなことを好き勝手やってるだけなので(笑)。もう全然。
──例えば、仁人さんがさまざまなことに取り組む中で達成感を感じるのはどんなときですか?
達成感か。日常だとあまりないかもしれないですね。ラジオ(文化放送「M!LK 吉田仁人のレコメン!」)だって、放送が終わって毎回反省会をやりますし、いつも「まだできたな、こうすればよかった」と思うし……。それで言うと、ライブが終わったときですかね。「ライブ終わった!」という達成感からの爆食いタイム(笑)。その瞬間だけかもしれないですね。そのほかの出来事は、ずっと途切れずに続いている感覚があります。
──では、M!LKのリーダーという立場を務めるうえで仁人さんが大事にしていることは?
「一歩引く」ですね。M!LKのメンバーって、それぞれが「M!LKでこういうことをやりたい」という意思をすごく持っているから。私はその受け皿となって、言葉にまとめてスタッフさんに「はい」と手渡す、メンバーとスタッフをつなぐだけの役目という感覚なんです。あと、僕自身はアイドルとして「与えられたフィールドの中で表現する」ということを大切にしたい思いがあって。皆さんが用意してくれた場所、音楽で精一杯の表現をする。自分自身がどうとかじゃなく、“ひとかけら”としてグループに所属している、その姿が理想なんです。だから“つなぎ”ですね、僕は。それに、常にグループのムードをよくしていたいなって思いますね。
──場の空気を捉える力に長けているというか、「一歩引く」というスタンスだからこそ見えるものがあるんでしょうね。
そうですね。空気を読まないと逆に怖くなっちゃうというのはあるかもしれないです。僕は他人の顔色を窺いながら生きているような人間なので(笑)。
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花畑を胸に、澄んだ心で