“やること”がまったく違う
──アリーナ規模の会場でワンマンライブをしているM!LKを観るのは初めてでしたが、規模に対しての違和感がないと思ったし、純粋にライブを楽しむことができました。観る側としては、初のアリーナワンマンはすごく成功したんじゃないかな?という印象だったのですが、皆さん的にはそのあたりの手応えはいかがでしたか?
吉田 そうやって言ってくださるのはめっちゃうれしいです。自分たちでさ、あとで映像を見返して「僕らアリーナにハマってんな」とか思うのはヤバいっていうか、ダメじゃん(笑)。だけど、第三者の目から見てもらったときにそう言ってもらえるのは励みになるし、安心するかもしれないです。
──皆さんが目指しているのはドームツアーの実現であって、これは“通過点”だということは知っているので、どうしてもそういう視点で観てしまったのですが、「これからが楽しみだな」とワクワクするような内容でした。
佐野 でも、僕は終わったあと悔しさがありました。もっとできると思っていたから「ヤバい、全然足んないわ」って。それはすごく思いましたね。
──そうだったんですね。
佐野 でも、想像の何十倍も周りの人の反応がよかったので、1つのボーダーラインというか……「みんなを幸せにする」という目標はクリアできたと思うんですけど、個人的にはだいぶ悔しい1日でした。
曽野 アリーナに立ってみて、“やること”がまったく違うなと思ったよね。今まで通用していたものが通用しない大きさになった。ステージの使い方もそうだし、体力の使い方もそうだし、エネルギーを飛ばす方向も全然違ったし。そういうところを……僕らはまだ全然場数を踏めていないので、イメトレなんかもちゃんとして、いろんなライブを観て、学んでいくべきなんだなと思いましたね。
佐野 経験値だね。
曽野 そう。経験値が圧倒的に足りないなと思いました。
吉田 これからだね。
いいタイミングで違った雰囲気を見せられる
──ではここからは、新曲「Kiss Plan」の話を。メジャー4枚目のシングル表題曲である「Kiss Plan」は、これまでの“王子様的”な楽曲と比べると曲調もビジュアルもぐっと大人の雰囲気になっているのが印象的です。
塩﨑 今後ずっとこういう方向性でやっていきます、というわけではないんですけどね。なんというか、たまにスイーツ食べるみたいな感覚で……これ、いい例えかな?
吉田 あのー、微妙!(笑)
一同 あはははは!
塩﨑 メジャーデビュー以降はコンセプトが一貫していたと思うんですけど、今回はその路線を少し外れて、クールな表情も見せられるんだよというところですかね。それこそ10周年に向けて、いいタイミングでまた違った雰囲気を見せられるんじゃないかなと思います。曲もキャッチーだから、いろんな方に覚えてもらえたらなって。メジャーデビュー以降、一番キャッチーなんじゃない?
山中 意外とね。
佐野 確かに、サビのフレーズがパッと思い浮かぶとなったら、この「Kiss Plan」かもね。昨日はミュージックビデオを撮っていたんですけど、MVでも普段とは違うことをやらせてもらったりして。ダンスもけっこうしっかり踊るんですよ。MV撮影の次の日、こんなに体がバキバキになったことってあんまりなくない?(笑)
一同 ないない。
佐野 み!るきーずは絶対喜んでくれるものができたんじゃないかな。
“YUMEKI先生”との邂逅
塩﨑 ダンスのことを言うと、動きの詰め込み方がこれまでと全然違うんですよ。
佐野 今回、YUMEKIさんに振付をお願いしたんです。「日プ」(「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」)で有名な、あのYUMEKIさん。
──M!LKがYUMEKIさんから振付の提供を受けるのは初めてですよね。制作はいかがでしたか?
山中 まず、僕が「日プ」を全部観ていたんです。ほかのメンバーは観てなかったんですけど、太ちゃんに「面白いよ」ってオススメして。
佐野 それで太智もハマって観てたよな。で、番組の中のYUMEKI先生がめっちゃ厳しいから「俺、怒られるの嫌や」って、いつもに増して練習して……(笑)。
塩﨑 (照れ笑いしながら)「日プ」では練習生たちに「練習している人としてない人がすぐわかる」っておっしゃってたのよ。「本当にそろっていないダンスは評価できない」とも言われてたから、「やべ、俺練習しないと……」と思って。
一同 あはははは!
吉田 オーディション参加者みたいになってるじゃん!
山中 番組観終わったら、急に楽屋で練習を始めてました(笑)。
塩﨑 MV撮影の前にそこまで踊り込むことってあまりないんですけどね。YUMEKIさんの作ってくれたコレオが緩急や角度を大事にしないといけない振りだったから、しっかりやらないとっていう思いもありました。仁人も意外としっかり練習してたよね?
吉田 そうね。なんだろうな、かなり奥が深い振付で。形をマネすればできるというダンスではなかったし……艶っぽくありつつ、エネルギー的には雄々しさもあって、自分がすごく好きなダンスだったんですよ。なので、踊っていて楽しくて。しかもYUMEKIさん、同い年なんです。同い年でこんなにクリエイティブですごいなあと思いますし、こちらもちゃんとしたクオリティのものを出さないと失礼だなという気持ちからしっかり練習をして臨みましたね。
塩﨑 僕はYUMEKIさんのダンスの構築の仕方が好きだなと思った。「こことここを弱く見せているから、次のここは強くしました」って説明してくれたんですけど、そうやって緩急の流れで動きを考えたりとか。
曽野 1つひとつの動きに、しっかり意味があるんだよね。
吉田 「こういう感情を見せたいからこの動きをしているんだ」とか、そういう意図をしっかり伝えてくれたから、踊る側も気持ちが乗るんだろうなって思う。
山中 太ちゃん、緩急のコントラストが付いた振りが好きだしね。教わっているときも「確かに!」みたいな顔をしてるのが印象的だった。
塩﨑 あはは。「そうそう、気持ちいいんだよな」とか思いながらね(笑)。J-POPだと常にオン(オンカウント)で動きを取ることが多いんですけど、「Kiss Plan」は後ろの音を取ることが多くて、それも踊っていて気持ちいいです。
山中 さすがだったよね、YUMEKIさん。
──「日プ」視聴者だった柔太朗さん的には、YUMEKIさんとのセッションはいかがでしたか?
山中 仁ちゃんも言っていたけれど、いただく指摘が本当に的確でした。細かな角度までしっかりと教えてくださったし、例えば自分の場合「もっと落ち着いて横の動きを見せてほしい」と言われたことを意識して踊ったら本当によくなって「いいねいいね」と喜んでくれたり……。
塩﨑 本当に的確だったよね。指導はまったく怖くなかったです(笑)。
吉田 こちらが何を落とし込めていないかをわかったうえで指導してくれている感がすごかった。
曽野 賢い人やその物事に長けている人って、子供にもわかるような易しい言葉で的確に教えることができるじゃないですか。YUMEKIさんはそういう方でした。
塩﨑 天才だよね。
吉田 だから歌だけじゃなく、ビジュアルはもちろん、ダンスも魅力的な作品になりました。
──では、ダンスの見どころを具体的に挙げるなら?
山中 まずは曲の冒頭、気持ちよく音にハマっている振りがあるので、そこはぜひ注目してほしいです。マネしたくなるのはやっぱりサビかな。「Kiss Plan, baby」のところはダンスをやっていない方でもギリギリコピーできるくらいのラインで作っているそうなので、一緒に踊ってもらえたらと思います。
曽野 あと、YUMEKIさんはテレビの画角でダンスの見え方を考えてくれているんですよ。現場でもテレビの画角を手で作って確認しながら、「こういうカメラワークだったら面白い」ということを考えてくださって。
塩﨑 だって、送られて来た振り入れ映像も定点じゃなかったもんね。
吉田 それ、ビックリしたよね。だいたい振り入れの映像って後ろから定点で撮っているんですけど、YUMEKIさんの映像はもうダンスプラクティス動画のクオリティですよ。
佐野 作品になってた。新しかったよね。
塩﨑 とにかくすべてが新鮮だったね。
吉田 M!LKに新しい風を吹き込んでくれました。
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I love you my sweet honey……