ドラマのオープニングを観て放心状態に

──友達とそんな話をしたりは？

考えてみたら私の周りには恋愛してる人があんまりいなかったんですよ。類は友を呼ぶっていうのかな（笑）。

──「ドラマみたいな恋したい！」とか思うタイプではない？

そうですね、私は好きな人と時間を共有して、おいしいものを一緒に食べて、それが長く続けばいいかな。あんまり感情の起伏があるのは好きじゃないですね。

──でもやっぱり、気持ちを伝えたら何か変わるんじゃないですか？ 結果はどうあれ。

そうなのかな。そこでどう変わるのか、私は知りたいんですよ。みんなのドラマを知りたい、恋愛模様をのぞかせてほしい。

──miletさんだったら？ 好きな人に好きと伝えますか？

相手が私のことを100％好きってわかったら言うけど、きっかけとして言う勇気はないです。好きと言ってしまったら私は崩れる気がする。

──告白にもいろいろあって、例えば玉砕覚悟みたいなのもあるじゃないですか。

えーっ！ そんなの、なんでするのかわからない（笑）。私は絶対にしないです！ 私はそんなに自分をメタメタにしたくない。

──言わなきゃ終われない、次に行けないとか。

行ける行ける（笑）。よく当たって砕けろとか言うけど、砕けなくていいから！ 結局傷付いちゃうんだから。私は可能性ないなと思ったら、自分の中ですぐ終わりにします。今、ハッキリしました、私は恋愛で負け戦はしない！

──あははは！（笑） でも杏さん演じるヒロインの鐘子はちょっと違いますよね。どんどんやらかしちゃって、ドツボにハマったりするタイプ。

先のことは考えずにアタックするタイプですよね。原作を読んだとき、すごい人がいるもんだなあと思いました（笑）。ただ、私はそんなふうにできないだけで、鐘子の気持ちもわかるんですよ。だから歌ではあえて否定も肯定もせずに疑問を投げかけています。私がいて、鐘子もいて、それだけで2通りの考え方があるし、聴く人によっても全然違うだろうし。だから私も決めつけないで歌おうと思って。

──そこでヒロインに寄り添いすぎないのがよかったのかもしれないですね。ドラマのオープニングで「us」のサビが流れるじゃないですか。あんなふうに使われることは最初から知っていたんですか？

いえ、全然知らなかったので、初めて観たときはビックリしました。まさかオープニングで流れるとは思わなくて放心状態に（笑）。ビッグサプライズでした。

──ドラマの制作スタッフは初めからオープニングに使うつもりだったんでしょうか。

どうなんでしょう？

（スタッフ）　曲ができてから決まったみたいです。

それはめちゃくちゃうれしい！ あんまりないですよね、最初と最後で同じ曲を使うって。

──そうですね、オープニングにサビだけ使うのも新鮮ですし。

これまでもドラマ主題歌に私の曲を起用していただいたことはあるけど、それはもともとある曲だったので、映像とのバランスをしっかり考えるのは今回が初めてで。監督やプロデューサーの頭にあるビジョンに沿った100％のものを生み出すのは大変だけど、本当にいい経験になりました。

──今回のEPは「us」のほかに3曲収録されていますが、どの曲も「us」に通じる勢いを感じます。

そうですね、全体的に明るい感じがします。

──ラストの「Fire Arrow」だけ、これまでのmiletさんらしい憂いがある曲で。

この「Fire Arrow」があるとないとでは、今回の作品から私の音楽を聴いてくれる人が持つイメージが変わると思うのでけっこう大事な要素です。これは初めてトップライナー（メロディを生み出す作曲家）を迎えて作った曲なんですよ。トップライナーの岡嶋かな多さんとプロデューサーのドック（Ryosuke "Dr.R" Sakai。miletと1作目から組んでいるプロデューサー）と3人で作りました。

──コライトのよさって、どんなところですか？

1人でやる楽しさもあるけど、それぞれの作曲スタイルを持ち寄ったよさもあって。かな多さんの出したメロディを軸にして私が引き寄せるメロディがあったりするし、私が作らないようなメロディに導かれて新しい言葉が引き出されたりもする。1人でやるときとはまた違うアイデアが生まれてくるので、全体的に新しいものになる面白さがありますね。

──今回の新作と共にこの夏からライブの機会も増えますね。フェス出演があり、10月には大阪と東京で初のワンマンも決まりました。

ライブは好きです、どんどんやりたい。まだ場数は踏めてないけど、最近はライブの雰囲気も考えながら作品に入れる曲を選ぶようになったりして、ちょっとずつ考えることが変わってきました。どんな感じになるのか今から楽しみ！ っていうか、もうすでに楽しくなってきました！