ナタリー PowerPush - ミドリ
初のシングル「swing」でバンド新境地を切り開く
ミドリの1stシングル「swing」は、昨年10月に行われたCLUB CITTA'でのワンマンライブで初お披露目されたナンバー。後藤まりこのハイトーンボイスと儚げなメロディ、そして揺れる乙女ゴコロを素直に綴った歌詞が印象的だ。さらにミドリはこのシングルと同日発売されるJUDY AND MARYのトリビュートアルバムにも参加。この春のエネルギッシュな活動に要注目!
取材・文/上野三樹
こんなにしっかり歌ってる曲は初めて
——今回は初のシングルということですが、いつもと意識は違いましたか?
小銭 いつもと同じやな。「シングル出しましょう」って言われて「じゃあこの曲入れようか、どれもかっこええね」って感じで。
ハジメ でも、もしかしたら他の2曲は違ってたかもしれないですけど「swing」を入れるっていうのは一番最初に決まってた感じで。
後藤 うん。「これにする?」って言ったら、みんなもそのつもりやったみたいで。
——去年のCLUB CITTA'のライブでも演奏してましたよね。
ハジメ そう、それが初めてでしたね。
——この曲は初めて聴いたときから異質な印象があって。まりこちゃんが高い声で、最初から割としっかり歌うっていうのがまず新鮮で。
後藤 せやなあ。こんなに歌ってるのはな。ボク、いつも歌ってるようでそんなに歌ってないねんな。こないだ楽譜(「あらためまして、はじめまして、ミドリです。」スコア本)が出てん、ミドリの。それ見たけどほとんど音符のところが「×」やねん。メロを付けて歌ってるつもりやねんけど全部「×」で表記されてて(笑)。でも「swing」は大丈夫やと思う。
ハジメ 確かにこの曲のメロはピアノでも押さえられます。
——そういう基本的なところから違いが出てる曲なんだ(笑)。
後藤 音楽的やなあ。
お洒落でジャジーな曲を作ろうと思ってたんだけど
——曲の作り方としてはどうだったんですか。
後藤 ベースラインを岩見さんが出して、小銭くんがリズム出して、ボクの歌が出てきたみたいな。
小銭 すごい早かったね。
岩見のとっつあん 3人は一瞬にしてポッと。みんな才能あるから早いですよ(笑)。
——とはいえ、何か最初に決めごとみたいなのはあったんでしょ?
後藤 ん?話し合いはないで。
岩見のとっつあん テレパシーです!
小銭 うん、届いた!(笑)
ハジメ 胡散臭いっすね(笑)。こんなんじゃ信じてもらえない。
——じゃあ整理しましょうか、まずスタジオで、ベースからそのセッションは始まったと。
岩見のとっつあん そう、みんなで「なんかないかな?」「こんなんどう?」って。僕はもう、お洒落でジャジーなのを1曲作ろうかと思って弾き始めたら全然違うのができたっていう。
——そのベースにインスパイアされて演奏が続いていったと。
小銭 そう。とっつあんが「こんな感じ」っていうのに合わせてね。
岩見のとっつあん もともと、みんなが違うリズムでやっていくような曲を作りたいっていうアイデアは一応あったかもしれない。思ったようなのとは全然違ったけどね(笑)。
「swing -ひだり盤-」収録曲
- swing
- あかん!!
- 朽ちては果てぬ
- swing~もしもTAKUYAがミドリにいたら~
「swing -みぎ盤-」収録曲
- swing
- あかん!!
- 朽ちては果てぬ
- swing~カラオケ~
ミドリ
2003年7月に後藤まりこ(Vo,G)と小銭喜剛(Dr)を中心に、大阪で結成されたロックバンド。ジャズ的な要素を盛り込んだサウンドと、紅一点の後藤による観る者を釘付けにする強烈なパフォーマンスが、アンダーグラウンドシーンで話題となる。幾度かのメンバーチェンジを経て、2004年にハジメ(Piano)が加入し、2005年に1stアルバム「ミドリ ファースト」をインディーズレーベルからリリース。2007年にはメジャーレーベルに移籍し、ミニアルバム&ライブDVDの2枚組作品「清水」を発表して注目を集める。2008年に新ベーシスト、岩見のとっつぁんが加入し、正式に4人編成となる。なお、後藤まりこのステージ衣装はセーラー服。