父親は現在ネパールで暮らすボヘミアンなイギリス人。母親は美空ひばりを愛する日本人。そんな両親のもと、1985年にイギリスで生まれたMiChi。イギリスと日本とのハーフ&ハーフな生活で磨かれた、彼女の開放的でオリジナルな感性が詰まったデビューアルバム『MiChi MadNesS』が6月27日にリリースされる。エレクトロ? ロック? ポップ? 既成のジャンルにカテゴライズされることをキュートな笑顔で拒否するMiChiのポジティヴなダンス・ミュージックは、日々の風景を明るく彩ってくれる。
インタビューを受けるのは初めてというこの日、彼女の言葉はブリティッシュ・イングリッシュではなく、第二の故郷、神戸のイントネーションを持つ関西弁でした。インタビューで何かを感じ取ったら、まずはiTunes Storeで先行配信されていくアルバム収録曲のチェックを!
取材・文/杉山敦(TUK TUK CAFE)
イギリスでの10代での生活がシンガーになってみたいと思ったきっかけ
——日本とイギリス、ほぼ同じ年月をそれぞれの国で過ごしてますよね。生まれはイギリス。2歳から10歳までが神戸で、10歳から再びイギリスに戻り18歳まで過ごし、そこから東京で音楽活動を開始。MiChiさんのアイデンティティー、考え方はどちらの国の影響が強いんですか?
たぶん、本当に半分半分なんですよ。言葉も(日本語と英語が)パッと切り替わるし、両方です。でも、いちばん自分がチェンジする10代がイギリスだったからそっちかな。当時聴いていた音楽やアートに影響受けましたね。他はまわりの友だちとか。
——どんな音楽から聴き始めたんですか? イギリス人のお父さんはクラシックやエスニックな音楽が好きで、ポップスには興味がないと伺ったんですが、MiChiさんは?
日本にいた子どものときから音楽は好きだったんです。ミスチルとかスピッツとか。アメリカのポップスにもすごく興味がありました。お母さんが聴いてた美空ひばりが頭に残っていたり(笑)。でも神戸の震災もきっかけのひとつとなって1995年、10歳でイギリスに戻って、それから、自分から求めて音楽を聴き始めました。その前から「なってみたい」という夢は少しだけあったんです。でもマライア・キャリーを聴いて、歌のパワーに感動して本当にシンガーになってみたいと思いました。その一方でお姉ちゃんが日本からもらってきたKiroroの「長い間」なんかは、誰が歌ってるかわからなかったけどすごく好きになったし、いまでも大好きな曲。GREEN DAYとかTHE OFFSPRINGとかのロックも聴いてたし。
一緒に楽しんでくれてる人たちがいるというのがたまらなくうれしい
——シンガーになることを夢見てたMiChiさんが、人前で歌うことを楽しいと思うようになったのはいつからですか?
高校でコンペティションがあった16歳か、17歳かな。でも緊張感がすごくあって、本当はもっと気持ちよく歌いたかったけど、怖いという気持ちもあった。東京にきて、初めて歌ったときは、楽しくて、終わりたくない、もっと歌いたいという気持ちになってました。歌うことも純粋に楽しいんだけど、一緒に楽しんでくれてる人たちがいるというのがたまらなくうれしい。踊ってくれることがうれしいし、そんなライブがすごく好き! やる度に学ぶことがあるし、もっともっとライブをやっていきたい。
——「ダンス」というのがこのファーストアルバムのひとつのキーワードだと思うんです。このアルバムのようにダンス・ミュージックを志向するようになったのは、どういうきっかけからなんですか?
クラブで踊るのはイギリスにいる時期からすごく好きだったんですよ。MiChiはロックの方が好きだったから、本格的にダンス・ミュージックを聴き始めたのは東京に来る直前からだったけど、ダンス・ミュージックはエネルギーをみんなで楽しくシェアできる、というところが好きです。でも、あんまりジャンルをカテゴライズしようとは思ってなくて、このアルバムは「踊れるロック」だと考えてます。
CD収録曲
- FXXk You And Your Money
- We Will Rock You(cover track / original:Queen)
- London Bridge(cover track / original:Fergie)
- Spread Your Wings
- Wannabe(cover track / original:Spice Girls)
- ReaL
- Madness Vol.2
- Surrender
- You Gotta Be(cover track / original:Des'ree)
- Spread Your Wings[Remix]
- Madness Vol.2[D.O.I. Remix]
プロフィール
MiChi(ミチ)
1985年、イギリス生まれ。イギリス人の父と日本人の母を持つ。2歳から10歳までを神戸で過ごす。
1995年、阪神・淡路大震災の後、再びイギリスに移住。10歳から18歳までの最も多感な時期をイギリス・バーミンガム近郊で暮らし、シンガーを夢見る。
18歳で再来日。中島美嘉、加藤ミリヤ、SOULHEAD、CHEMISTRY等のトラックで知られる松澤友和と出会い、東京で本格的な音楽活動をスタート。東京・西麻布のクラブ「YELLOW」などクラブ・シーンで話題を集める。2008年春の野外フェス「渚」に出演。
6月27日にファーストアルバム『MiChi MadNesS』をリリース。それに先駆け6月4日からはiTunesやmusic.jpなどでアルバム収録曲の先行配信がスタートする。
オリジナル曲の歌詞(英語)はすべてMiChiによるもの。シーフード・ベジタリアン。趣味はアート、写真、旅、散歩、ヨガ。