ひきこもり情報弱者=みゆはん
──ニューアルバムは「ひきこもり情報弱者」というタイトルで、「ひきこもり」はみゆはんさんを象徴する言葉だと思いますが「情報弱者」はどこから?
私は美容院に行くと美容師さんと会話するのが苦手なので、いつも雑誌を読んでるんですけど中には話しかけてくる人もいて、いろんな話題を振られるんですよ。でも、私はそんなに詳しくないから「そうなんですね」で終わってしまって……。だから自分の情報源のなさにいつも落胆するんです(笑)。
──では、「ひきこもり情報弱者」というタイトルは自分自身を表す言葉として付けたんですね。ジャケットのアートワークもユニークですが、なんでプロレスのリングで撮影されたんですか?
なんだろう……戦う女?(笑) 引きこもりだけど戦う、みたいな。
──でも本人は段ボールに入ってますね。
引きこもりなんで(笑)。
──周りにはいろんなものが飛び交ってますけど、これは?
自分を構成する要素です。みゆはんは大体これで作られてます(笑)。
──ギターやメイク道具、お絵かき道具はわかりますけど、このお椀に入った麺は?
うどんです。香川出身なので。
──なるほど(笑)。このスナック菓子はなんでしょうか?
これは「ドラゴンポテト」っていうお菓子なんですけど、最近コンビニで見つけて、形が面白かったのでTwitterに載せたんです。そしたら「ドラゴンポテト」の公式Twitterさんに反応していただいて、ありがたいことにドラゴンポテトを大量に送ってくださったんです。なのでずっと食べてるんです(笑)。
──そうでしたか。ウィッグもありますね。
私は髪型をころころ変えたいタイプなんですけど、もとは金髪ショートだから、色を変えると金髪に戻すのが大変なので、Twitterではウィッグを使って髪型を変えてるんですよ。だからウィッグも入れたくて。
──一番気になるのは、このデッサン人形みたいな物体なんですが……。
これは上京してすぐの頃に、初めての1人暮らしだったのでホームシックになっちゃって、勢いで買った人形です(笑)。ルームメイトで今もずっと家にいます。名前もTwitterで募集して、ステファニーって言うんですよ。
──えらく上品な名前ですね(笑)。ステファニーとの生活はいかがですか?
けっこう大きいので、夜中に帰ってきたらビックリします(笑)。
──でも、ジャケットに登場させるほど、みゆはんさんにとっては大切なものなんですね。
はい。「ぼくのフレンド」のミュージックビデオとかライブにも出てたので。初のワンマンライブではMCのときにボコボコに殴ってました(笑)。部屋にある家具とか私物をそっくりそのままステージに持っていって、まったく同じように再現したんです。冷蔵庫も電子レンジもこたつも全部持っていって。その日のうちに持って帰ったんですけど、舞台の人に布団とか普通に踏まれて……(笑)。
──セット用の小道具だと思ってたんでしょうね。
そうかもしれない……。
ポケモンと一緒に育ってきた
──アルバムの話に戻しますと、今作にはジャケットにも登場している「ポケットモンスター」のキャラクター・イーブイのことを歌った「イーブイマーチ」が収録されています。もともとみゆはんさんはポケモンが大好きなんですよね?
子供の頃からずっと好きで、テレビアニメも第1話が始まったときからリアルタイムで観てました。録画して、何回も繰り返し観てて。ゲームも最初は親に買ってもらってたんですけど、自分のお小遣いで買えるようになり、今は自分の働いたお金で買うようになって……っていうぐらいポケモンと一緒に育ってきました。
──Twitterのプロフィール欄に「猫とミュウ大好き」と書かれてますが、ポケモンの中でもミュウには特別な思い入れがあるんですか?
はい、かわいいので。幻のポケモンで特別感があるし、なんの生物かはよくわからないですけどネコっぽいし、鳴き声もかわいいし……もう大好きです。
──今までのポケモンのゲームで思い入れのある作品は?
「ポケットモンスター 金・銀」です。その前に出てた「赤」とか「緑」はゲームに出てくるバッジを8個集めたらクリアだったんですけど、「金・銀」は8個集めてクリアしたあとに、前作のステージの冒険の続きができるんですよ。新しいステージのバッジ8個と前作の8個で16個集めてやっとクリアできたので、「ああー!」ってなってしまって(笑)。
──テンションが上がったんですね(笑)。アニメシリーズの中でお気に入りの作品はありますか?
映画「ポケモン」の第1作目「ミュウツーの逆襲」が好きで何回も観ました。ミュウが出てくるのもあるし(笑)、お話も好きで。主人公のサトシがミュウとミュウツーの戦いを止めるために間に入ったときに攻撃を食らっちゃって、石になっちゃうんですよ。それでピカチュウが石になったサトシに駆け寄って泣き始めて、それを見た周りのポケモンたちも涙を流して、その涙がサトシのもとに集まって石が解けるんです。そこが感動的で泣いちゃいます。
──イーブイについてはいかがですか?
私、最初の151匹(「ポケットモンスター 赤・緑」に登場する151匹のポケモン)は全部好きなんですけど、中でもイーブイが好きで。イーブイは進化形もあるんですけど、進化する前の形が好きなんです。あんまり強くなさそうですけど、かわいさで言うとイーブイが一番なので(笑)。例えばアニメにたくさん出てくる感じでもなかったと思うんですけど、ファンにはすごく愛されてるキャラクターだと思います。
──そんな人気キャラのテーマソングを制作できることが決まってどんなお気持ちでしたか?
「私でいいのかな?」と思うぐらいプレッシャーでしたけど(笑)、すごくうれしかったです。ポケモンのアニメのエンディングテーマの中に、小林幸子さんが歌われた「ポケットにファンタジー」(小林幸子と井端珠里がさち&じゅり名義で歌った3代目エンディングテーマ)という曲があるんですけど、その曲は幸子さんと子供が掛け合いみたいに歌うパートがあって、子供は「はやく おとなに なりたいんだ」って歌ってて、幸子さんは「もいちど こどもに もどってみたい」って歌うんです。私も子供の頃は「早く大人になりたい」と思いながら聴いてたんですけど、最近この曲を聴き直したら、小林幸子さんの言ってることがすごくよくわかって、涙が止まらなくなって。私もそんな曲を作りたいと思ったので、「イーブイマーチ」は小さなお子さんも大人の人も楽しめる曲を意識して作りました。
──マーチふうのサウンドは世代に関係なく楽しく聴けるでしょうし、「もふもふ キラキラ むぎゅむぎゅ なでなで」という歌詞は、子供が歌いたくなりそうなキュートなフレーズです。
もふもふ好きなので(笑)。大人の人が聴くと童心に戻れる感じの、懐かしいようで楽しいキャッチーなメロディを意識しました。
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体験談を歌にするみゆはんの制作スタイル
- みゆはん「ひきこもり情報弱者」
- 2018年7月4日 / Victor Entertainment
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完全限定盤
[CD+フォトブック+グッズ]
7560円 / VIZL-1394 -
初回限定盤
[CD+フォトブック]
3780円 / VIZL-1395 -
通常盤
[CD]
3240円 / VICL-65022
- 収録曲
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- ユーアンダイ[作詞・作曲:みゆはん / 編曲:mikito]
- なんでもないや[作詞・作曲:野田洋次郎 / 編曲:Ayano Kaoru]
- 輪廻[作詞・作曲:みゆはん / 編曲:n-buna]
- ウワノソラ[作詞・作曲:みゆはん / 編曲:Tsubasa Takada]
- 続・化け猫ワルツ feat. まうくん[作詞・作曲:みゆはん / 編曲:R_Men_Soul、Shunsuke Kasuga]
- イーブイマーチ[作詞:みゆはん&プロジェクトイーブイ / 作曲:みゆはん / 編曲:Shunsuke Kasuga]
- 胡桃の日[作詞・作曲:さだまさし / 編曲:Naoki Itai、Hayato Yamamoto]
- 世界の片側[作詞・作曲:みゆはん / 編曲:nishi-ken]
- ダンシングメトロノーム[作詞・作曲:みゆはん / 編曲:Tsubasa Takada]
- からくりピエロ[作詞・作曲・編曲:40mP]
- 帰り道[作詞・作曲:みゆはん / 編曲:R_Men_Soul]
- ぼくのフレンド(acoustic ver.)[作詞・作曲:みゆはん / 編曲:Tsubasa Takada]
- みゆはん
- 香川県出身の“コミュ障シンガーソングライター”。Twitterで公開した写真や動画が所属事務所のスタッフの目に留まり、2017年2月にテレビアニメ「けものフレンズ」のエンディングテーマ「ぼくのフレンド」を含むミニアルバム「自己スキーマ」でメジャーデビューする。同年に2ndミニアルバム「リスキーシフト」を発表。ファッション、デザインにも造詣が深く、ほかのアーティストのCDジャケットやミュージックビデオのプロデュースを手がける。2017年11月に初のワンマンライブ「よだれまみれ」を東京・マイナビBLITZ赤坂にて開催。2018年7月に初のフルアルバム「ひきこもり情報弱者」をリリースした。