May'n「おばあちゃんになるまで歌っていたい」、20周年ベストで示す感謝の思いと未来の姿 (3/3)

よりポジティブで、よりカラフルな自分に

──特にDISC 2は終盤に向けてハッピーさがどんどん増していき、最後の最後にその色がより強まった新曲「the SEA has dreams」で終わる。過去への感謝と未来への希望が感じられる、素敵な曲ですね。

ありがとうございます。感謝や希望のメッセージを自分1人で表現しようとすると、きっとエモーショナルなバラードになってしまうと思うんです。でも、今は「こんなこともあったけど、でも私歩いていくわ」みたいなちょっと泣きが入ったような感じではなくて、「絶対にこの先楽しそうじゃない? みんなもっともっと一緒に行こうよ!」というとことん明るくて前向きなナンバーにしたかったから、加藤さんに作曲をお願いして。いざ受け取ったら「これ、自分で作ったのかな?」と思えるくらい今の私を切り取ったような曲だったので、歌詞は一瞬で書けました。どんなことがあっても私は常に前を向いてきたし、もちろん悩んだりムカついたり悲しくなったりしたこともあったけど、「きっと大丈夫。だって仲間がいるし」とポジティブに変換してどんな感情も音楽に変えて走ってきたのが私……そういう思いを歌詞に詰め込んだんですけど、この曲が完成したことで、これからも変わらず音楽を続けていけると自信をもらいました。自分自身も背中を押してもらえた曲を最後に収録することができて、しっかりと未来につなげることができたと実感しています。

──「ありがとう」の思いはもちろん、それ以上に「これからもよろしく」の思いがより強く表れている「the SEA has dreams」を最新の1曲に選ぶあたりに、今のMay'nさんのモードがうかがえます。そこも含め、10年前のベストアルバムとまた立ち位置が違いますよね。

10年前は目の前のことに必死だったので、未来に目を向ける余裕がなかったんです。とにかく音楽が好きで、ジャンル的にはロックが好き、ポップもバラードもダンスも好きみたいな感じでキャリアをスタートさせたけど、結局それがよくないのかな、ジャンルを絞ったほうがいいのかなと悩み始めた時期でもあって。でも、「いや、私はMay'nというジャンルになりたいんだ! 誰がなんと言っても、私がやりたいことはこれだ!」とより強く思えるようになり、「May'n☆Space」の歌詞のように「好きなこと全部 やろうって決めたとき 今日が光だしたんだ」と高らかに宣言し始めたのが2015年以降。そういうマインドで続けていたら、「こんないろんな曲が歌える私って最強じゃない?」と思える今にたどり着いて、ポジティブなメッセージはもっと大きい声でたくさんの人に発信していこうと思える未来につながった。なので、2015年のときよりもポジティブで、よりカラフルな自分になれたなと思います。

May'n

──キャリアが長くなればなるほど、ベストアルバムって過去の総決算だったり、いわゆるカタログ的なアイテムになってしまいがちですが、この「TWENTY//NEXT」にはそういう空気がまったく感じられなくて、むしろニューアルバムの質感でした。

まさにそれなんです。もともと20周年記念のニューアルバムを作りたかったんです。10周年のときにベストアルバムを一度作っていますし、20周年を迎えた自分にすごく手応えを感じていて、今まで過ごしてきた中でも一番未来を感じている時期だったので、20周年は過去を振り返るタイミングじゃないと思って。ただ、チームでいろいろ意見交換していく中で、「ベストアルバムもしょっちゅう出せるわけじゃないし、こういう大きい節目のタイミングだからこそじゃないか」というお話から「リアレンジベストアルバムにするのはどう?」というアイデアをいただいて、「それだったらニューアルバムみたいな気持ちで作れるかも」と思って作ったのが「TWENTY//NEXT」なので、今言っていただいたのはすごくうれしい感想です。

ときめきを指針に

──来年3月には20周年を締めくくる集大成のツアー「May'n 20th Anniversary Live Tour 2026『THE BEST of May'n』」も控えています。

20周年記念のコンサートは今年5月にパシフィコ横浜で2日間やらせてもらったんですけど、それがすごく反響をいただいたこともあって、もっといろんな場所で20周年の集大成的なライブをお届けできたらいいなと思っていたんです。なので、パシフィコ公演と同じセットリストや演出ではないけど、少しでも20周年を感じられるようなライブができたらいいなという思いで、このツアーを開催させてもらいます。パシフィコに来ていただいた方はもちろん、来られなかった方にもぜひ足を運んでいただきたくて。とにかく今は、純粋に楽しいことをどんどんやっていきたいんです。この記事が出る頃には終わってしまっていますが、8月1日には青森のねぶた祭の前夜祭に出演させてもらったり、2日には青森だけの特別なワンマンライブ(「May'n Special Live 2025 in AOMORI『らっせーら!』」)もありますし。今までの自分だったら「単発公演をするならやっぱり東京だよな。そのほうがいろんな人が来やすいし」と思っていたし、あるいは「地元の名古屋でそういう公演をやるべきだよな」と考えがちだったんですけど、「青森で何かやりたいな!」と思いついた瞬間のこのときめきを抑えられなくなって、急に「ねぶたの期間に青森で単独ライブをやりたいです!」と伝えたらスタッフさんも面白がってくれたんです。自分が何にときめくかがすべての活動の原動力であり、それを思い切り出せることで自信につながっていくので、来年のツアーにもぜひ期待していてほしいです。

──それが「欲張りに、好きなこと全部やろうって決めてるのでっ!」という、「TWENTY//NEXT」リリースに伴うコメントであり、ここから先もひたすら楽しいことだけを追求し続けて未来につなげていくと。

そうですね。20周年の今が一番と思ってますけど、25周年ときには絶対25周年のほうが最高だなと思えているはずなので、これからも常に「次に、次に」という気持ちで楽しみ続けたいです。

May'n

公演情報

May'n 20th Anniversary Symphonic Concert 「TWENTY Around for You」

2025年10月12日(日)東京都 東京芸術劇場 コンサートホール
[昼公演]OPEN 13:30 / START 14:30
[夜公演]OPEN 17:30 / START 18:30


May'n 20th Anniversary Live Tour 2026「THE BEST of May'n」

  • 2026年3月8日(日)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2026年3月15日(日)大阪府 Zepp Namba(OSAKA)
  • 2026年3月21日(土)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
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プロフィール

May'n(メイン)

ポップスからロック、ダンスミュージック、R&Bと幅広く歌いこなす女性歌手。これまでアニメ、ドラマ、映画、ゲームの主題歌を担当し、数多くの作品がトップチャートにランクイン。アニメ「マクロスF」シリーズに登場する歌姫シェリル・ノームの歌唱を担当して話題に。東京・日本武道館や神奈川・横浜アリーナで単独公演を開催したほか、海外でも積極的に活動しており、海外ツアーや世界16都市での単独公演を実施。さらに中国のSNS・Weibo発のアワード「WEIBO Account Festival in Japan」で日本人初の3年連続受賞を達成し、中国・深圳で開催されたアワード「ASIAN MUSIC FESTIVAL 2019」では日本人で唯一受賞を果たすなど、特に中華圏では絶大な人気を誇る。2025年8月にはデビュー20周年を記念したベストアルバム「TWENTY//NEXT」をリリース。