音楽ナタリー Power Push - 丸本莉子×手島いさむ(ユニコーン、電大)

世代を超えた2人の音楽家をつなぐもの

常に「次の段階があるぞ」がキーワード

──手島さんと丸本さんはこれまでにライブで何度も共演されていますが、そこでお互いに感じることってありますか?

左から丸本莉子、手島いさむ。

手島 長く続けるためには、いい歌声といい曲がやっぱり必要になってくるわけですよ。コテコテといろいろ装飾したとしても、最終的にはそこがしっかりしてないとダメなわけだから。そういう意味で言うと、莉子ちゃんはしっかりした声のバイブレーションはすでに持っているよね。丸本莉子という個性をちゃんと声で表現できているというか。

丸本 ああ、うれしいです。

手島 あと作品に関しても、等身大の自分をちゃんと出せていると思うので、うまいこと進んでいるなっていう印象はありますよ。ボキャブラリーをもうちょっと増やすといいけどな。ちゃんと伝えるということをもっと意識しつつ、ある程度の変化球、スライダーとかカットボールくらいは覚えるといいんじゃないのっていう。

丸本 スライダーかあ(笑)。でも、私も伝えることはすごく大事だなって思ってますね。そもそも音楽をやろうって思ったのも、人前で歌いたい、誰かに思いを伝えたいというところからスタートしているので。

手島 で、莉子ちゃんはさ、デビュー当初から日本武道館に行くんだっていう大きな目標を持っていたわけでしょ?

丸本 そうですね。まあでも、それも単純に“武道館”っていう響きで目標にしたところもあるんですけど(笑)。

手島 そういう気持ちでも別にいいと思うんよ。ただね、いざそのステージに立ったとして、「じゃそのあとどうすんの?」って僕なんかは思うわけ。武道館で終わりじゃないでしょ、その先があるでしょって。だったら次の段階を見据えて、今やれることをしっかりやらないとねって。そういうことは言いますよね、お父さんとしては(笑)。

丸本 そうですよね、うん。手島さんにはいつもけっこう厳しくアドバイスしてもらってます。なかなかそこまで言ってくださる方っていないから本当にありがたいし、実際に長く続けてらっしゃる手島さんだからこその説得力があるというか。ギターに関しても、手島さんとライブをやらせていただくと、すごく勉強になることばかりですし。

手島いさむ

手島 ギターの演奏に関しては、ここからまたどんどんよくなるだろうなって思いますよ。場数を踏んで、さらにパワーを付ければいいよね。

丸本 先日、手島さんと浜崎(貴司)さんと一緒にYouTube Space Tokyoで生配信ライブをやらせてもらったんですけど、ものすごく刺激を受けました。手島さんのギターって、エレキもシビれるんですけど、アコギのソロがまたカッコよくって。私もあんなふうに弾けるようになりたいなって思いましたね。

手島 あのライブはね、俺はもう莉子ちゃんの衣装が眩しくて眩しくて。「ドレス着とるやないかい!」っていう(笑)。

丸本 あははは(笑)。ドレスじゃないですよー。めっちゃ緊張したライブでしたけど、3人で音を合わせていく感覚がすごく楽しくもあって。今までにない雰囲気を味わえました。またああいうスタイルのライブはやってみたいですね。

手島 ある意味、バンドっぽい雰囲気だったからね。「そっちがそう来るなら、俺はこうするぞ」みたいな。その雰囲気を少しでも感じられて、それが楽しかったのであれば、もっともっと上達すると思いますよ。今後誰とやっても大丈夫だろうし。

丸本 いろんな方々とやってみたいですね。もちろん手島さんとも引き続きご一緒したいですし!

手島 僕も莉子ちゃんとはいろいろやりたいなとは思ってますよ。僕の体力が続く限りはね。だって、あのYouTubeライブは1つの段階でしかないわけだから。まだまだ次の段階があるぞ!

丸本 常に「次の段階があるぞ」がキーワードですね(笑)。

手島 そうそう。常にそういう緊張感は持ってないと。

丸本莉子

丸本 手島さんとご一緒したり、ユニコーンさんのライブを観たりしてすごく思うのは、自分自身がこれでもかっていうくらい楽しむことが本当に大事なんだなってことで。そうじゃないとライブを観に来てくれた人たちに楽しんでもらうことはできないんだなって思うんです。あとは、最近イベントで小学校や中学校で歌うことも増えているんですけど、そういう場所だと演奏はもちろん、MCの持っていき方ひとつで伝わり方が変わるんですよ。なので、そこもしっかり考えながらやっていかなきゃなって改めて思ってます。

手島 ライブで大事なのは8割の情熱と2割の冷静なんだよね。情熱だけでワーッとやっちゃうと思わぬ事故に遭うこともあるから。

丸本 はい。気を付けます!

手島 ほんとに応援してますよ。莉子ちゃんはメジャーデビューしたことで支流から本流にしっかり乗ったなっていう気がしてるから。ただ、本流にも大きな石や木があって、邪魔してくることもあるからね。だから次の段階を見てないと。

丸本 そうですね。ありがとうございます!

配信シングル「『つなぐもの』-EP」/ 2015年12月16日配信/ Victor Entertainment / AndRec / 700円 / 期間限定価格(12月16~27日)500円
「『つなぐもの』-EP」
収録曲
  1. つなぐもの
  2. がんばる乙女~Happy smile again~
  3. つなぐもの(Instrumental)
  4. がんばる乙女~Happy smile again~(Instrumental)
「丸本莉子ワンマンLIVE『丸本ん家(ち)へようこそ~ぷれぜんとふぉーゆー2015~』

2015年12月19日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA

丸本莉子(マルモトリコ)
丸本莉子

広島県出身のシンガーソングライター。高校生の頃からギターの弾き語りを始める。高校卒業後はプロを目指して上京し、全国300カ所以上でライブを実施。地元である広島県安芸太田町のサポートソング、テレビ番組やCMのキャンペーンソングを数多く手がけて注目を浴びる。2015年6月に「ココロ予報」のハイレゾ音源を配信リリースしメジャーデビュー。8月に2作目の配信シングル「やさしいうた」、9月に1stミニアルバム「ココロ予報~雨のち晴れ~」を発売する。11月には高知県観光特使に就任。12月に3作目の配信シングル「つなぐもの」を、2016年3月には2ndミニアルバム(タイトル未定)をリリースする。

手島いさむ(テシマイサム)
手島いさむ

愛知県生まれ、広島県育ちのギタリスト。1986年にユニコーンを結成し、1987年にメジャーデビューを果たす。1993年のユニコーン解散後はBIG LIFE、islandsといったバンドで活動し、2006年には初のソロアルバムを発表する。そして2009年にユニコーンを再結成。2012年にはユニコーンの川西幸一(Dr)、EBI(B)と電大を結成する。電大としては2015年4月に4thアルバム「Δ4th」を発売し、2016年1月にライブツアー「Hello 2016!Yes we can make it.」を開催する。