MAPA「Calling box/いもうと」インタビュー|プロデューサー大森靖子と考えるグループの成長と今後の課題 (3/3)

現状9割が女性ファン、より幅広い層にアピールするには?

──結成当時のMAPAは「大森靖子の世界観が好き」というファンが多かった印象があります。そのこともあって、メンバー4人からも「とにかく大森さんの看板を汚さないようにしなくちゃ」という気負いが感じられました。

古正寺 あの頃に比べると、だいぶ心境的には変わったかもしれない。せっかく大森さんに曲を書いていただいたんだから、しっかり歌わなくちゃいけないという気持ちは今でももちろん持っていますよ。だけど1年経って、もっと曲が自分たちのものになったという感触があるんです。

紫凰 大森さんやMETAMUSE、あるいはコショの存在がきっかけになって私たちを知ってくれるのは、すごくありがたいなと思います。でも、いつまでもそこに頼っていられないというのは最初から考えていました。「MAPAの4人だからこそ好き」と言ってもらえるような存在にならないといけないって。

古正寺恵巳

古正寺恵巳

紫凰ゆすら

紫凰ゆすら

宇城 私たち、ファンの方の割合でいうと女性がすごく多いんですよ。先日やったイベントも9割くらいが女の人でしたし。

──非常に素晴らしいことですが、なぜ女性人気が高いと自分たちでは分析していますか?

紫凰 女性人気が高いというより、男性受けが悪いのかもしれない(笑)。それこそ、なんでなんだろうな?

大森 切実に男性ファンが欲しい(笑)。実を言うと、私のソロもMETAMUSEもMAPAもファンの男女比はすべて偏っているんですよ。もちろん多いのは女性で。

古正寺 対バンのイベントとかに出ても、男性のオタクとかこっちに寄ってこないですからね。私たち、怖いのかな? 黒髪ロングとかにしないとダメだとか?

大森 2020年にZOCと道重さゆみさんで対談したことがあって、似たような話が出たんですよ。「どうしたら私たち、男性ファンが増えますかね?」って相談する形で。そうしたらタバコの写真をSNSに載せるのを控えたらいいのではと助言されました(笑)。

神西 私たち素行は悪くありません(笑)。

宇城 確かに。笑夢なんて、こんなに王道アイドルっぽいルックスしているのにね。

神西笑夢

神西笑夢

宇城茉世

宇城茉世

古正寺 女性のファンが多いのは大変ありがたい話ですが、本来、MAPAはもっと幅広い層にアピールできるはずなんです。男性に興味を持ってもらうことはもちろんですけど、お子様とか、おじいちゃん・おばあちゃんにも好きになってほしい! 年金でチケットを買っていただいて、ライブ会場に遊びに来てほしい(笑)。

──大森さんは今までアイドルだけでも相当な数の楽曲提供をしていますが、例えばMETAMUSEとMAPAで書き分けみたいなこともされるんですか?

大森 そこは明確に分けています。METAMUSEでは音を詰めまくっているけど、MAPAではバンドの生音にこだわったり、音像からして違いますし。

──MAPAの楽曲には設楽博臣さん(G)、千ヶ崎学さん(B)、張替智広さん(Dr)、sugarbeansさん(Piano)といった腕利きのミュージシャンが演奏に参加しています。

大森 ここ最近のアイドルの楽曲って、ライブでトラックを鳴らしたときに音が割れているような印象があったんですよ。だからMAPAはそこまで爆音でもないし、ライブでも音の分離をはっきりさせている。メンバー4人のボーカルの個性も意図的に際立たせていますし。それからMAPAでは誰かに捨てられたような感情も曲にしているんですね。そういう意味では、やっていることは私のソロに一番近いかもしれない。

──それは感じますね。大森靖子ファンが違和感なく飛びつく現象も納得できます。

大森 「だったら大森靖子が歌えばいいじゃん。ほかの人が歌う必要なんてないじゃん」という意見もあるんです。でも、そこは微妙に違うんですよね。アイドルでこういうアプローチをしているのは異端だから目立つし、違う人が歌う時点で私とは違う表現になりますから。

MAPA

MAPA

逃げ道を全部断ち切ってMAPAにすべてを懸けたい

──今後についてお伺いします。新機軸のシングルも出るということで、改めて意気込みをお願いできますか。

古正寺 売れたいです。それは真剣に思っていますね。やっぱり売れることによって、MAPAとしてやれることの幅も広がりますから。関わってくれる方にきちんとお返しして、自分たちでも納得できるものを作っていきたいんです。

紫凰 MAPAで売れたいという気持ちは私もまったく同じです。人が集まるグループにならないと、ライブ自体ができませんからね。

大森 大事だよ、そういう考えを持っていることは。

古正寺 MAPAのやっていることって、もっと多くの人に届いてもいいんじゃないかと個人的に思っているんですよ。一部の人たちに支持されるようなマニアックな音楽をやっているわけじゃないですから。

宇城 MAPAのメンバーとして1年間活動してきましたけど、その結果、ますます大森さんの書く曲が好きになったし、メンバーのこともどんどん好きになりました。人として好きというだけじゃなくて、声質やキャラやバランスも含めて最高の4人だと思うんです。だから私は大好きなMAPAとその曲が、もっともっと世の中に伝わってほしい。もちろんそのためには自分たちの力も上げる必要があるだろうし、努力しないと絶対にダメ。可能性を感じるからこそ、がんばろうって改めて思うんですよね。

神西 生きていたら思い通りにいかないことも多いから、みんな“逃げ道”を用意するじゃないですか。その逃げ道を全部断ち切って、私はこのMAPAにすべてを懸けたい。本気なんですよ。

大森 笑夢にそんなこと言われたら、みんな泣いちゃうよ(笑)。関わってくれているスタッフさんは口をそろえて「売りたい」と言ってくれるんですね。そう言わせるような魅力が4人にはあるんです。いい音楽を届けるのが私の仕事。4人やファンの皆さんの気持ちに応えるために私も全力を出していきます。

MAPA、大森靖子

MAPA、大森靖子

プロフィール

MAPA(マッパ)

コショージメグミ(ex. Maison book girl)が“古正寺恵巳(コショージメグミ)”として結成したアイドルグループ。グループ名はMADPARTYの略。メンバーは古正寺、宇城茉世(ウシロマヨ)、紫凰ゆすら(シオウユスラ)、神西笑夢(ジンザイエム)。全曲、大森靖子によるプロデュース・作詞・作曲で、アレンジは大森のバンドメンバーでもある盟友・sugarbeansが手がけている。各楽曲の世界観を設楽博臣(G)、千ヶ崎学(B)、張替智広(Dr)、sugarbeans(Piano)、大森靖子(Cho)という布陣で紡ぎ出している。振付は舞踊家としても活躍する山之口理香子(METAMUSE、雅雀り子)が担当し、ダンス面でのMAPAの世界を表現。衣装はファッションブランド「AMNI」が、MADなPARTYへと向かう装いをコンセプトに製作している。2021年8月に開催された「TOKYO IDOL FESTIVAL 2021」にてデビューを果たし、同年11月に1stアルバム「四天王」を発表した。2022年11月に「Calling box/いもうと」リリース。同作との連動シングル「怪獣 GIGA/レディースコミック」を2023年2月7日に発表する。

大森靖子(オオモリセイコ)

超歌手。愛媛生まれのシンガーソングライター。2013年3月に1stフルアルバム「魔法が使えないなら死にたい」発表後、同年5月に東京・渋谷CLUB QUATTROでワンマンライブを実施し、レーベルや事務所に所属しないままチケットをソールドアウトさせた。2014年9月にエイベックスからメジャーデビューし、同年12月にメジャー1stアルバム「洗脳」を発表。2018年9月にはアイドルグループ・ZOC(現:METAMUSE)を結成した。メジャーデビュー5周年となった2019年は3月に「絶対彼女 feat. 道重さゆみ」、6月に「Re: Re: Love 大森靖子feat.峯田和伸」と敬愛するアーティストをフィーチャリングゲストに迎えたシングルをリリース。2020年2月にはベストアルバム「大森靖子」を発表した。2022年10月に6thフルアルバム「超天獄」をリリース。12月には「大森靖子 超天獄ZEPP TOUR 2022」と題し東名阪Zepp TOURの開催が決定している。