majiko|ピントを合わせて“味方”へ届ける最新作

みきとPがレコーディングで感涙

──みきとPさんの提供曲「レイトショー」はアジア的な雰囲気がたっぷり漂っています。二胡のフレーズも印象的でした。

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“生”二胡なんですよ。数少ない二胡奏者の方に演奏していただいて、昇り竜がむせび泣くような音色で、本当に素晴らしくて。もともと二胡の音色が好きなので、うれしかったです。

──二胡を入れたのは、みきとPさんのアイデアなんですか?

はい。みきとPの制作をそばで見ていたら、いきなり「ここに二胡入れよう」と言い出して。毎回そうなんですけど、「この音を入れよう」と判断するスピードがすごいんですよ。

──歌詞はかなり濃密なラブソングですが、こういう歌も初めてですよね?

大人っぽい恋愛、叶わぬ恋の歌ですからね。みきとP的には、私の低めの声の成分が好きみたいで、その音域を生かした設定になっていて。思い出深いのは、レコーディングのときにみきとPが泣いちゃったんですよ。「なんかごめん、ウウウ」って感極まって。そのときは「なんで泣いてるのー?」って笑ってたんですけど、うれしかったですね。みきとPは心に女子高生が住んでるらしいので(笑)、その彼女が泣いちゃったのかも。

──(笑)。こういう楽曲を歌うときは、majikoさんも心の中に誰かを召喚するんですか?

そうですね……30代のやさぐれた女性が自分の中にいるので、その方を呼んでるのかも(笑)。もともと日によってだいぶ性格が違うし、心の中にはいろんな面があるので、こういう曲で表に出せるのは楽しいですね。

──「マッシュルーム」はオーセンティックなバラードで、作曲はmajikoさんご自身ですね。

スタッフから「王道のバラードって書ける?」という挑戦状をもらったんですよ。私は単純なので(笑)、「はい!」って引き受けて、いろいろ試行錯誤しながらメロディを作って。作曲はできたんですけど、歌詞を書くのがすごく難しかったんですよね。メロディが清らかな感じになったので、私のヒネくれた歌詞が合わなくて。スタッフの皆さんは「ヒネくれた歌詞でもいいよ」と言ってくれたけど、「この曲の歌詞を書く引き出しは自分にはない」と思って、蝶々Pさんにお願いしたんです。

──ロマンティックなところと残酷さが共存した素敵な歌詞ですよね。

いいですよね。こういう曲を歌うのも新鮮だったし、「どこまでやれるかな」という力試しみたいなところもありました。アレンジはNAOTOさんに頼みました。ホリエ(アツシ[ストレイテナー])さんのライブに出させてもらったときにご一緒して、私の曲でもお願いしたいなと(3月に東京・Billboard Live TOKYOで開催された「ROCKIN' QUARTET vol.3~ホリエアツシ[ストレイテナー]&NAOTO QUARTET~」にmajikoはシークレットゲストとして出演した)。……今思いましたけど、蝶々PさんとNAOTOさんって、カオスなメンバーですよね。

──確かにmajikoさんの楽曲でしかそろわなさそうなメンバーですよね。そして「グラマー」はharuka nakamuraさんの作詞・作曲によるロックナンバーです。

「グラマー」はもともと、harukaさんが10代のときに作った曲なんです。harukaさんのおじいちゃんが亡くなったときに、残されたおばあちゃんに向けて作ったそうで、そのときのタイトルは“グランマ”だったんですよね。私に提供するために歌詞を変えてくれて、「曲名も変えよう」ということになって。同じような語感の言葉から「グラマー」はどうかなと。魅力的な女性という意味もあるし、harukaさんも「いいと思う」と言ってくれました。

──そういう大事な曲を提供してくれるのはharukaさんとmajikoさんの関係の強さがあってこそですよね。

うれしいですね。勢いがある曲だし、歌っていても楽しくて。harukaさんとしては「声」を超えたいという気持ちがあったようなんですが、また別のベクトルでグッとくる曲になったと思います。

──いろいろなクリエイターとの制作も増えているし、気持ちをやり取りしながら曲に結び付けているのも、今回のアルバムの聴きどころですね。

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そうかも。誰かと一緒に曲を作るのは難しくもあり、うれしくもあります。いい曲ができたらオールOKなので、結局は全部うれしいですけどね(笑)。「CLOUD7」のときはほとんど自分だけで作っていたんですけど、今は信頼できる人たちの意見をなるべく聞くようにしていて。「AUBE」から哲っちゃん、菅ちゃんが仲間になってくれて、今回もたくさん助けてくれたんです。大西省吾さん(「エミリーと15の約束」の編曲を担当)、横山裕章さん(「ひび割れた世界」「春、恋桜。」の編曲、「WISH」の作曲・編曲を担当)も素晴らしくて。

──アルバムの最後に収録されている「WISH」は横山さんが作曲および編曲を担当した、ノスタルジックな雰囲気のミディアムバラードです。

横山さんが作ってくださった曲で、「7SEEDS」のエンディングテーマのお話をいただいたときに、ぜひこの曲でお願いしたいなと。

──歌詞はmajikoさんが書かれていますよね。「ただ、きみと二人で歩こうぬかるんだ道も」「願い事の先はここにある」というフレーズに、前向きな意思を感じました。

「7SEEDS」の原作マンガをすべて読ませてもらったら、人生の中で3本の指に入るくらい素晴らしい作品だったんです。「この作品のエンディングテーマに歌詞を書けるのか」とうれしかったんですけど、書きたいこと、表現したいことが多すぎて、なかなかまとまらなくて。いろいろ考えて、最終的には花(末黒野花)と嵐(青田嵐)の関係に収束する歌詞にしました。すごく辛辣な内容のアニメなので、エンディングでは癒されてほしいなと思って。いい曲になってうれしいです。

この世界で一番偉いのは

──「寂しい人が一番偉いんだ」というアルバムのタイトルについては?

もともとはこの言葉がアルバムのテーマだったんです。これをもとにして、どういうタイトルにしようか?と考えて。今までは「Contrast」(2015年発売の1stアルバム)や「Magic」(2016年発売の2ndアルバム)など、英単語をタイトルにすることが多かったんです。今回はなかなかいい言葉が見つからなくて、「だったら、このまま『寂しい人が一番偉いんだ』でいいんじゃない?」ということになって。初めての日本語タイトルだし、言い訳できない感じがあって怖いです(笑)。自分自身の心情吐露みたいなタイトルなので……。

──自分に言い聞かせていた言葉なんですか?

言い聞かせてたところもあるし、虚空に向かって毒を吐いている感じもあって。この言葉は、自分の気持ちが落ちて、ちょっと病んでいるときに出てきたんです。「この世界で一番偉いのは、優しい人でも、賢い人でも、美男でも美女でもお金を持っている人でもなくて、寂しい人なんだ。私みたいな寂しい人が一番偉い世界であるべきなんだ」って。

──寂しさを感じていない人はおそらくいないですよね。ライブ映えする曲も多いし、ツアーも楽しみです。

「ワンダーランド」や「MONSTER PARTY」みたいに盛り上がれる曲もあるので、私も楽しもうと思ってます。ライブでアルバムの曲たちが成長するところを目の当たりにしたいし、あとは「目指している歌の表現に対して、どう挑むか?」だけかなって。

──目指すべき歌の表現というのは?

「CDよりライブのほうがいいね」と言ってもらえることです。それはたぶん、より感情が込められているからだと思うんです。感情をむき出しにするのが私のやるべきことかなと。今は昔よりもきちんと歌えちゃってるところもあって、それはいいことなんだけど、粗削りな部分、衝動的なところも必要だと思っていて。そのバランスを取りながらツアーに臨みたいですね。

イベント情報

majiko ニューアルバム「寂しい人が一番偉いんだ」発売記念ミニライブ&サイン会
  • 2019年6月19日(水)東京都 タワーレコード渋谷店 5Fイベントスペース
    START 18:00
  • 2019年7月6日(土)愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店 イベントスペース
    START 13:00
  • 2019年7月13日(土)大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店 イベントスペース
    START 16:00
  • 2019年7月18日(木)東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
    START 19:00

ツアー情報

majiko PRESENTS “寂しい人が一番偉いんだ” RELEASE TOUR ~SALUTE YOUR LONELINESS~
  • 2019年6月22日(土)東京都 WWW X
  • 2019年7月4日(木)愛知県 APOLLO BASE
  • 2019年7月14日(日)大阪府 OSAKA MUSE
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