マックジャック feat. KOPERU&teppei|6本のマイクが2024年の夏を「Atty!Atty!」に盛り上げる (2/2)

ALIとKOPERUは中学の同級生、しかし…

──そしてYANAGIMANさんプロデュースのもと「泥だらけドリーマー」(2021年)や「心に太陽」(2022年)といった楽曲がリリースされます。前向きなリリックはもちろん、元球児という皆さんのバックグラウンドや、高校野球番組のテーマソングに起用されたことからも、高校野球や青春などを想起させる部分が強いですね。

ALI 楽曲から伝わるポジティブ精神は野球生活で培ったものだと思いますね。

M.C.L 応援歌的な熱い部分は、もともと僕らの根本にあったと思うんですけど、「それがマックジャックらしさだ」ということに気付けたのは「泥だらけドリーマー」の制作を通してでした。

CHAI 体験談を歌詞に落とし込むと、自然に熱い言葉が出てくるんです。野球部時代、チャンスで打てなくて下を向いてると、仲間がみんな「前を向いていこうぜ!」って声をかけてくれて。そういうバイブスがそのまま歌詞に出てると思うんです。

──ちなみに、KOPERUくんは中学時代サッカーをされていたそうですが、そういう熱い気持ちになったことは?

KOPERU ……まったく。

一同 (爆笑)

KOPERU 先輩後輩という関係が理解できんくて、走り込みの練習とかも「なんで先輩は見てて、俺らは走ってんの?」とか思ってたし、誰かを応援するとかできなかったですね。むしろ全員が敵っていう(笑)。

KOPERU

KOPERU

teppei 僕はバスケをやってて、夜中に体育館に忍び込んで1人でシュートの練習とかしてました。

ALI めっちゃAtty!やん。

teppei 同学年の中でリーダーみたいなポジションやったんですけど、うまくチームをまとめきれずに一番ハブられてましたね(笑)。

KOPERU すいません、僕ら明るくなくて(笑)。

──ALIさんとKOPERUくんは中学時代の同級生だったのに、昨年同じイベントに出るまで、ほぼ会話をしたことがなかったんですよね? そのノリの違いが大きな理由のような気がします(笑)。

ALIKOPERU 確かに!(笑)

KOPERU もちろん存在は知ってたし、友達の友達ぐらいの感じでしたけど、中学時代はクラスも部活も違ったんで、ほぼ接点がなかったんですよね。

ALI 野球部とサッカー部で同じグラウンドは共有してたんですけど。野球部のキャッチャーがKOPERUとマイメンで、その共通の友達の結婚式のときに、初めてちゃんとしゃべった感じですね。

ALI

ALI

KOPERU 「ALIってしゃべんねや!」って思うくらい中学時代のALIには寡黙なイメージがあって。

ALI ははは。

M.C.L 僕らは普通に梅田サイファーのリスナーやったから、「え! KOPERUおるやん! 同級生だったらつなげてよ」ってALIに言ったら、「おお、まあ……」みたいな(笑)。

ALI それまでまともにしゃべったことなかったからギクシャクして(笑)。

KOPERU そのあとにマックジャックと梅田サイファーが出た「FADE2RED」というイベントで、お互い初めてちゃんとライブを観て、改めてつながって今回の曲に至るという。

──「Atty!Atty!」制作のキッカケは、そういう流れだったんですね。

KOPERU 同世代のアーティストが自分の周りにはR-指定とか唾奇くんぐらいしかいなかったんで、同い年のマックジャックとはすぐに仲間意識が生まれましたね。

──そもそも同級生だし(笑)。

KOPERU それで自分たちのラジオ(KOPERU&teppeiがパーソナリティを務めるJFN系列「梅田サイファーAudee Connect」)に出てもらうことになって。そのときにメンバーから「Atty!Atty!」というワードが出てきたんです。

teppei なんの説明もなく、ことあるごとに「めっちゃAtty!やん!」とか言ってたんで、「……Atty!って何?」って。

──先ほども当たり前のようにALIさんが「めっちゃAtty!やん!」と言っていましたが(笑)、そもそも「Atty!」という言葉の由来は?

M.C.L もともとはCHAIがライブの自己紹介で、「見た目はガリガリやけど、中身はAtty!Atty!やで」みたいに言ってたんですよ。

CHAI 「熱い」という意味と、ジャマイカのアーティストが使う「Artical(本物)」という2つの意味を込めて。

KOPERU その言葉がずっと頭に残ってて、一緒に曲を作ることになったときに、「だったらテーマは『Atty!Atty!』でしょ!」って。

テーマは「誰が一番Atty!Atty!やねん?」

──「Atty!Atty!」を初めて聴いたときの感想としては、昨今多くのアーティストがクールな曲を出す風潮がある中、なんとうるさい曲なんだ、と。

M.C.L ……褒め言葉ですよね?

──もちろん(笑)。グループの持ち味がすごく出てるなって。

M.C.L 「誰が一番Atty!Atty!やねん?」がテーマやったんで、作っててもすごく楽しかったし、制作も「Atty!Atty!」でしたね。僕が最初に「teppeiもルンルン」ってチョケたフレーズを入れて絡みにいったんですけど、てっちゃん(teppei)から「ストーーーーーップ!冗談やん?」って予想外のフレーズが返ってきた瞬間に「最高や!」ってバイブスが上がりましたね。

teppei マックジャックのいいバイブスが僕とKOPERUにバチッとハマって。

teppei

teppei

ALI レコーディングも楽しかったんですけど、そのあとの飲み会が楽しすぎて。

JAGA-C 全然曲が仕上がってないのに「このあと飲みに行こうな」って(笑)。

CHAI 2、3回ぐらいみんなでごはん食べたんですけど、集合写真で全員いい顔してるんですよね。

M.C.L 卒業アルバムに修学旅行の写真とか載ってるじゃないですか? ホンマああいう感じです。

KOPERU 作業するごとにどんどん、いろんなことを共有できるような存在になったし、ホンマに新しい友達ができた感じ。

マックジャックとKOPERU&teppei。
マックジャックとKOPERU&teppei。

マックジャックとKOPERU&teppei。

──確かに、この曲を聴いて、ギスギスした雰囲気から生まれたとは思えないですもんね。

JAGA-C 実はデータのやりとりだけで作りましたとか(笑)。

teppei そしたら逆にレコーディング技術が高すぎる(笑)。

ALI コペテツの2人と作ることで、韻やリズムにいつも以上にフォーカスできたんで、楽曲そのものはもちろん、自分のヴァースもホンマに渾身の仕上がりになったなと思います。

M.C.L コペテツの2人が現場におることで、どこか“試されてる感”みたいなものがあったんですよね。だから例えばガナリや自分にしか書けへんリリックとか、そういう自分の武器を意識しました。

JAGA-C 梅田サイファーはキャリアも長いし、自分が音楽をやり始めたときにはもう第一線で活躍されていたんで、ビビッちゃった部分は正直少なからずありました。でも一緒に作業していくうちに、高いステージで戦っていくには、お二人みたいな技術が必要なんだなと思いました。レコーディングに対する心持ちの部分だとか、すごく勉強になったし、そういう部分を自分も取り入れていこうって。

CHAI 自分が今やれることを全部出し切ろうと思って制作に臨んだんですけど、自分が到達しないといけない次のレベルをコペテツが見せてくれたというか。KOPERUには曲作りの進め方とか、リリックとフロウのハメ方であったり、いろんなスキルを見せてもらったし、teppeiさんはバイブスが本当にヤバい。あと、コペテツは2人でディレクションし合ってたんですよ。KOPERUが難しい注文を出しても、それをワンテイクで決めちゃうteppeiさんの姿を見て、僕らももっと即興力を身に付けないとダメだなと思いました。

──KOPERUくんもteppeiくんもレゲエのアーティストとコラボレーションをするのは今回が初めて?

teppei 僕は初めてでしたね。

KOPERU HISATOMIさんや寿君のようなレゲエのアーティストと知り合う機会は多かったし、僕のソロEP「modern」ではSHOWGAくんと一緒に曲を作ってるんですが、ダンスホールレゲエのトラックにガッツリ乗るのは初ですね。自分らはヒップホップサイド、MACK JACKはレゲエサイドということで、イメージとしてはRHYMESTERがFIRE BALLとコラボした「Heat Island feat. FIRE BALL」のような、技術と熱さの融合みたいなイメージで挑みました。構成的には、2組ともパワーヒッター的なタイプやと思うんですけど、そのパワーヒッターたちでチーム野球をするという感覚でしたね。各々の力を出しながらも、ちゃんと打順をつなげていこう、みたいな。ジャンルが違う2組でチーム戦をできたんじゃないかと思いますね。

M.C.L 確かに“打順”は悩みましたね。客演だからといって、曲の最後にコペテツの2人に出てもらう感じだとチーム戦にならないし。例えばteppeiさんは野球で言えば4番タイプだと思うんだけど、あえて2番を打ってもらって。

JAGA-C 「Atty!Atty!」の大谷翔平ですよ(笑)。超攻撃的2番バッター。

M.C.L で、KOPERUにラストを締めてもらおうと。チーム戦の雰囲気が伝わるとうれしいですね。

マックジャックとKOPERU&teppei。
マックジャックとKOPERU&teppei。

マックジャックとKOPERU&teppei。

最大の目標は甲子園球場でのワンマンライブ

──最後に、MACK JACKのこれからの動きについて教えてください。

M.C.L マックジャックは1曲入魂のシングルを出して、その曲を世の中に広める努力をするという活動を地道に続けてきたので、今までリリースに時間がかかってしまっていたんですけど、「Atty!Atty!」から年末にかけてはコンスタントなリリースを計画しているんですよ。

CHAI なので弾数も増やしつつ、1曲1曲をきっちり届けられたらな、と。

M.C.L 来年の頭には大きな企画もあるので、楽しみにしていてほしいですね。

ALI そこに向けてガムシャラに泥臭くやっていこうと思ってます。

M.C.L 最大の目標は、高校野球でたどりつけなかった甲子園球場でワンマンライブをすること。

JAGA-C そのために何が必要か、どう動けばいいのか、自分たちでどれだけ火を点けられるか、曲をどう広げていくのか……今まで以上に考えないといけないですよね。

CHAI 目標に向けて今できることをどんどんやっていきたいと思っていますし、気持ちの上では、もう甲子園に行く準備はできてます。一昨日も甲子園でする予定のMCを練習してたらAtty!すぎて泣きそうになりました(笑)。

KOPERU Atty!やなー。

──7月5日にclub asiaで行われるイベント「FADE2RED」では、マックジャックと梅田サイファーの競演が決定しています。

KOPERU それぞれのライブはもちろん、「Atty!Atty!」も披露すると思います。

teppei 梅田サイファーのみんなも観てくれると思うんで、梅田のメンツにもドヤりたいですね。「エエ曲できたで!」って。いい意味でお互い刺激し合えたらなと思います。

マックジャックとKOPERU&teppei。

マックジャックとKOPERU&teppei。

ALI 以前イベントで「Atty!Atty!」を1回だけ披露したことがあるんですけど、めっちゃ楽しかったですね。6人でステージに立って、なんか青春感がありました。

teppei マックジャックと一緒にやることで、失われた青春を取り戻してる感があるもん、俺(笑)。

ALI ライブはほぼぶっつけ本番だったんですけど、それでも完璧なパフォーマンスを見せるコペテツの柔軟性にびっくりしました。

JAGA-C あれはすごかった。

CHAI 初めて一緒にステージに立ったのに、今まで何度も一緒にやってるような感覚を覚えて。

JAGA-C でも今回の「FADE2RED」では、マックジャックの出番で「Atty!Atty!」モードを全開にしちゃうんで……(コペテツの2人に向けて)スイマセン!

KOPERU それは梅田サイファーとしても同じ気持ちなんで。僕らもマックジャックに負けられないんで、こちらも「スイマセン!」って今から言っておきます(笑)。

イベント情報

FADE2RED V3

2024年7月5日(金)東京都 club asia
OPEN 17:30 / START 18:00(2F 17:45)
<出演者>
(1F:MAIN FLOOR)梅田サイファー / CHICO CARLITO / T-STONE / マックジャック / Ole
(2F:2nd FLOOR)LOM & Kidney Fuji / シラフ / 関谷拳四郎 / ピラフ星人 / CHITAA

プロフィール

マックジャック

ALI(アリ)、M.C.L(ミッチェル)、CHAI(チャイ)、JAGA-C(ジャガシー)からなる神戸在住のレゲエクルー。メンバーは全員元球児。野球部の寮のミニコンポで聴いたレゲエに衝撃を受けたALIとM.C.Lにより2012年に結成され、そこにCHAIとJAGA-Cが合流してライブ活動をスタートさせる。2014年にジャマイカへと渡り、本場でのスタジオワークやダンスホールの熱気に触れることでレゲエに対する愛をさらに深める。2017年に1stアルバム「Bellyas」、2019年に2ndアルバム「ENERGY」をリリース。2023年7月リリースのシングル「アンセム / 走りだせ」の収録曲「アンセム」がフジテレビ「ジャンクSPORTS」エンディングテーマに使用されて話題を呼ぶ。2024年5月に梅田サイファーのKOPERUとteppeiをフィーチャーした配信シングル「Atty!Atty!(熱!熱!) feat. KOPERU&teppei(from 梅田サイファー)」をリリースした。

KOPERU&teppei(コペル&テッペイ)

大阪・梅田駅の歩道橋で行われていたサイファーの参加者から派生した集合体・梅田サイファーのメンバー。KOPERUは2009年に行われた「B-BOY PARK UNDER20 MCバトル」に若干17歳で出場し優勝。現在は映像作家ISSEIとのユニットHYPER TAMADE、5人組バンドTHE PORのメンバーとしても活動している。teppeiはラッパー、ビートメイカー、映像監督を1人でこなすアーティストとして活躍。2024年にはソロ2ndアルバム「Religion II」をリリースした。KOPERU&teppeiとしてJFN系列のラジオ番組「梅田サイファーAudee Connect」のパーソナリティを務めている。