m-flo VERBAL×JP THE WAVY×MIYACHI|時代を体現するラッパーと切り開く新たな可能性

m-floが11月6日にニューアルバム「KYO」をリリースした。

メジャーデビュー20周年を記念したこの作品は、オリジナルメンバー・LISAの復帰後初のアルバムであり、“第3期”m-floの新たな挑戦が詰め込まれている。今回音楽ナタリーではアルバムにJP THE WAVYとMIYACHIという2人の若手ラッパーがフィーチャリングゲストとして参加していることに着目し、2人とVERBALにインタビュー。2人が参加することになった経緯やコラボ曲の制作エピソード、お互いをリスペクトする点などを聞いた。

取材・文 / 三浦良純 撮影 / 須田卓馬

思い描いた未来を体現する2人

──VERBALさんは、JP THE WAVYさんやMIYACHIさんとどのように出会ったんですか?

左からMIYACHI、VERBAL、JP THE WAVY。

VERBAL JPくんはもともと「Cho Wavy De Gomenne」という曲が有名だったじゃないですか。そのときから僕が一方的に知ってたんですけど、初めてちゃんと会ったのは自分がやってるブランド・AMBUSH®のファッションショーにJPくんが来てくれたときかな。アフターパーティにも来てくれていてSPAGHETTI BOYSのカーウィン(・フロスト)を自分が招聘したパーティでいろんな人がいて、ごちゃごちゃした中で挨拶したのがたぶん最初。

JP THE WAVY シェック・ウェスとかもいましたね。VERBALさんのことは小さい頃から知っていて憧れでした。

VERBAL JPくんは自分がブランドを始めた頃の指輪とか付けてくれていて。

──“ネオギャル男”を自称するJPさんとVERBALさんは“ギャル男”つながりでもあるのかなと思いました。

VERBAL (笑)。僕は一時期いろんなキャラを試したくて、いろんな変名でラップして、曲を発表していたんですよね。その中のキャラの1人が“Vincento Galluo(ヴィンセント・ギャル男)”という名前で(笑)。

JP THE WAVY それは知らなかったです(笑)。

VERBAL MIYACHIくんを知ったのは、☆Taku(Takahashi)が「すげえぶっ飛んでるラッパーがいるから聴いてみてよ」ってYouTubeのURLを送ってきたのがきっかけでした。だいたい新しいものは☆Takuからオススメしてもらうんですけど、「WAKARIMASEN」を聴かせてもらって、最近はこんなふうに英語と日本語を行き来してラップする人がいるんだなと。初めて顔を合わせたのはSkypeで、そのあとは渋谷でバッタリ会ったりしました。MIYACHIくんは☆Takuのラジオにも何回か出てるんですよね。

MIYACHI はい、お世話になってます。

──MIYACHIさんはVERBALさんにどういう印象を持っていましたか?

MIYACHI 子供のときからTERIYAKI BOYZ®の曲は知ってたけど、VERBAL本人のことは知らなくて。でも2、3年前に日本語でラップをやり始めてから、日本のラッパーについて勉強して、その中でVERBALのことも日本と海外を行き来してラップをしてる人なんだと知りました。

VERBAL 2人とも“子供の頃”だと言うので、すごく年齢を感じますね(笑)。僕がラップを始めた頃は、日本語ラップはこうじゃなきゃいけないというガチガチな感じがあったし、日本語ラップの先輩方は不良の人たちが多かったんで体育会系みたいな上下関係があって。「1行に15文字以上入れちゃいけない」とかよくわかんないルールを言ってきたり(笑)。僕はバイリンガルなBUDDHA BRANDを聴いていたし、自分も英語でラップするからそもそも規格外だったんで、そこにはハマらなかったんですけど、もっといろんな子たちが出てきたら面白いのにと当時から思っていたんです。JPくんとMIYACHIくんを見てると、その頃に思い描いていた夢の何十倍もすごいアーティストが出てきたなと思わされますね。

──なるほど。

VERBAL 昔から「弟子にしてください」とか「ラップ教えてください」とか言われたら「教えることはないから、自分がカッコいいと思うものを作ってきて」と答えていて。僕が思うにラップはカッコいいもの勝ちなんですよね。ピアノを弾いたりするのと違ってラップはその人次第というか、同じフロウでも声が違ったら全然違うものになるし。今は自分でYouTubeなんかを駆使して、いくらでも自分のアーティスト像を自分で作り上げられる時代。そんな時代の申し子のようなJPくんやMIYACHIくんみたいな人たちが出てきてうれしいですね。

お互いを意識する93年生まれラッパー

──JPさんとMIYACHIさんは昨年発表された「Bukkake」という曲でコラボしていますが、面識はあったんですか?

JP THE WAVY あのとき会ったのが初めてかな。

MIYACHI そうだね。初めてな気がする。

JP THE WAVY HIYADAMとMIYACHIと中目黒のスタジオ入って。外でタバコ吸いながら「どうやって曲作ろうか?」と話して。

MIYACHI ははは(笑)。そうだったね。

JP THE WAVY 懐かしいね。俺が「Cho Wavy De Gomenne」を出したのとMIYACHIが「BAD & ブジ (MIGOS REMIX)」を発表した時期がだいたい同じだったので、会う前から意識はしていました。

MIYACHI カッコいいラッパーはいっぱいいるけど、JP THE WAVYはその中でもトップのほうだからいつも見てたよ。

JP THE WAVY いやいや、こっちもです。MIYACHIが曲出したら絶対チェックしてるし。日本の同じ世代のラッパーの中で一番刺激をもらってるのがMIYACHIだと思う。楽曲制作に入る前にMIYACHIの曲を聴くとエンジンがかかるんですよ。「うわ、負けてらんねえ」って。

──2人は生まれ年も同じなんですよね。

JP THE WAVY 1993年?

MIYACHI 知らなかった、ワーオ。

VERBAL 僕は93年に大学に入ったんで、れっきとしたおっさんですね。

MIYACHI いやいや(笑)。


2019年12月20日更新