lyrical school現体制ラストツアー沖縄公演密着レポ&インタビュー (3/3)

yuuはステージで輝く“主人公”

──ここからは、メンバー1人ずつにほかの4人から「贈る言葉」をもらいたいんですよ。それぞれ別の道を歩むことになりますし、少し早いですが1人ずつメッセージを。どうしましょうか……1人ずつ退席してもらって、4人で話しましょう。

hinako やだ(笑)。こんなに仲が深まったからこそ恥ずかしいよね。

──じゃあ、座っている順に……yuuさんから退出していただいて。

yuu えー! 一番はヤだ! えー!(取材部屋を出る)

yuu

yuu

hinako yuuは空気を軽くしてくれる天才だよね。

risano うん。私はいちいち焦っちゃうタイプだけど、そんなときyuuは「だいじょうぶ、だいじょうぶ~(声真似で)」って。それで「大丈夫かー。まあいっか」って思えるんですよね。それにはすごく助けてもらったな。

hinako あと、なんでも持ってる。常に荷物が重いよね(笑)。

risano 贈る言葉は「いつもいろいろ貸してくれてありがとう」(笑)。

hinako 「絆創膏いくつもらったかわかんないよ、ごめんね」(笑)。

hime オーディションのとき、課題曲が「RUN and RUN」だったんですけど、yuuには私から「ほかの曲も聴いてみたい」とリクエストしたんですよ。私は歌の良し悪しってよくわからないけど、オーディションでyuuに出会ったとき「歌がうまい人ってこんなにカッコいいんだ」と思ったんです。そこにビビビと来て「絶対に入ってほしい」と思った子だったから、こんなに長く一緒に歌ってもらえてすごくうれしいです。

risano 正直、今だから言うけど、yuuはすぐ辞めると思ってたの。私はリリスクに入る前からの友達だからさ。がんばりすぎちゃうところを知っていたし。だけど活動を始めてみたら「だいじょうぶ~。がんばろう?」って。すごく頼もしくなった。

minan 根性あるよね。ホワホワしてるように見えるけど。

hinako うん。譲れない信念みたいなものがちゃんとある。

minan 個性豊かなメンバーだから、しばらく自分のポジションや立ち位置に悩んでいる印象があったんですよ。でもyuuは本当はステージで一番輝くタイプ。本人はまだ気付いてないかもしれないけど。私の友達が初めてライブを観に来ると「yuuちゃんすごいね!」「あんな感じだと思ってなかった。ステージでめっちゃ輝いてるね」ってみんな言う。アイドルって「普通の女の子がステージに立った瞬間にめちゃくちゃ輝く」という側面があると思うんです。リリスクは距離が近いから普段の姿もよく見えていると思うけど、「普通にフワフワしゃべってたあの女の子が、ステージに立った瞬間豹変してキラキラ輝いてる!」という変化にグッとくるみたいな。前に「主人公感がある」と言われてたけど、本人は本当に気付いてないんです(笑)。そこがまたいいよね。

──リリスク卒業後はどんな道を歩んでほしいですか?

risano うーん、自分がやりたいことを……と思っちゃうけど。

hinako yuuはやりたくないことは「やりたくない」とはっきり言える人だから、周りに流されることはないと思う。自分のやりたいことをメモしてたりとかさ。yuuのケータイのメモめっちゃすごいもん(笑)。yuuが自分で選んだ道を応援したい。

minan 自信を持ってほしいと思うかな。

hinakoがよりアイドルらしくいられたのがリリスクなんじゃないかな

──では次はhinakoさん。

hinako

hinako

hime hinakoはオーディションのときに課題曲をマジで覚えて来てなくて(笑)、絶対に落ちると思ってたんですよ。でもminanちゃんの意見があって合格したんです。私にはオーディションで会っただけでは魅力が見抜けなかったので、minanちゃんすごいなって。

risano 私は最終審査の前のダンス審査のときに初めて会って。私もそのときに「この子が入ったら絶対に売れる!」と思ったんですよ。超かわいいし、太陽みたいなキャラだから「お願い! 入れ!」と思っていて。

yuu 今だから言えることだけど……第一印象ではどちらかと言うと苦手だったんですよ(笑)。今まで友達にいないタイプだったの。

minan 学校で同じクラスにいても仲よくならないタイプ(笑)。

yuu 本人にはまだ言ってないんですけど(笑)、今となっては派生ユニット(ブラガ)を一緒にやったり、正反対な魅力をよさとして見つけてもらって。世界が広がったし、hinakoは天性のアイドルだなって思いますね。

minan 人から愛される力があるよね。わかる。

hime この4人だけだったら、もしかしたら途中でアイドルと名乗るのをやめてたかもしれない。アーティスト路線に走ったりとか、方向性を変えちゃってたかなと思うんですけど、今の今まで「ヒップホップアイドルグループです」と胸を張って言えたのは、hinakoがいたからですね。

risano 途中からちょっと申し訳ない気分になったというか……音楽性が変わるにつれて、hinakoが本来やりたかったことから離れているような気もして。

hime 衣装もフリフリのアイドルらしいものではないし、hinakoが本当に着たいのはそういう衣装だろうから。でも、hinakoは一般的なアイドルグループの決まった形の中で決まった動きをするよりも、画角も立ち位置も決まっていないリリスクのステージだからこそ、より強い魅力を発していると思うんですよね。申し訳ないという気持ちも確かにあるけど、hinakoがよりアイドルらしくいられたのがリリスクなんじゃないかなあ。

risano うん。あんなにお客さんを釣れる子はいない。正直たまに悔しいですもん(笑)。リリスクでエゴサしていると「あの赤い子かわいかった」みたいな。私たちみーんながんばってるのに……。

minan あはははは(笑)。しかもファンの人をすごく大切にするしね。

hime hinakoは「今後はやりたいことをやりたいタイミングでやる」と言っていて。今やっているTikTokの投稿もそうだし、YouTube開設も自分から言い出したんですよ。ライブのときも「こっちに移動して、こっちの人を釣る」とか、常に目的がはっきりしているんです。ライブでやってきたことを生活やこれからの活動に置き換えれば、どんな場所でも成功する人だと思う。むしろhinakoが何かで失敗することが想像つかない。心配もないというか。

minan 確かに。やると決めたことは絶対にやり通す力がある子だし、「これはがんばる」と決めたことは途中であきらめずにがんばれる子なので。昔からかわいいけど、今と昔で比べると全然違うじゃない? もっとかわいくなってる。今の状況に甘えないで「よくしていこう」という努力を怠らない人だから、何も心配してないです。もう好きに生きてもらえたら!

全人類を仲間にするrisanoの超肯定力

hinako (取材部屋に戻ってきて)ねえ、めっちゃクシャミ出たんだけど。

minan 噂されてたから(笑)。スピリチュアル。

yuu そういうとこあるよね(笑)。

──(笑)。次はrisanoさんです。

risano

risano

hinako あんないい子はいない。ガチでいい子だと思う。素でいい子だし、素でバカだし(笑)、本当に素直。

yuu 太陽みたいな子ですね。これずっと言ってるんですけど、自分がリリスクのオーディションを受けるときに、ただの友達だった私に「一緒に受けようよ」なんて普通言わないと思うんです。

minan 確かにね。ライバルをわざわざ1人増やしているわけだしね。risanoがすごいと思うのは、メンバーに対して絶対に嫉妬をしないところ。本当は心の奥底で誰かに対して「うらやましいな」と思うこともあるのかもしれないけど、みんなを「仲間」として見ているんです。

hime メンバーだけじゃなく、全人類に対してそうだよね。「フリースタイルティーチャー」に出たときも(参照:えいたそ、リリスクrisano、汐りんら「フリースタイルティーチャー」アイドルラッパー育成SPでバトル)、全然勝ち負けに執着してなくて。向上心は強いけど、誰かを蹴落としたり、嫉妬したりという考え方がそもそもないんだと思う。人と比べることもなく、相手のことを超肯定して……たぶん自分のことを肯定できているから。自分を受け止めることができているから、相手のことも100%まっすぐ受け止められるんだと思うんです。

minan そうだね。ちゃんと自分を大切にして、自分を愛しているから……これはナルシストってことじゃなくて。

hinako 人のいいところも見つけてくれるよね。

minan そう。それをちゃんと言葉に出して言えるのがすごいんだよ。

hinako プラスの言葉をめっちゃ発信する機械。

minan マシーンね(笑)。

hinako risanoの今後は、本当に何をやっても大丈夫だと思うから、全然心配してない。

minan 人間力がめちゃ高いから、どこで何をやっても愛されると思いますね。

hinako これからも今のよさを失わないで、そのままでいてほしい。

hime risanoは今までやったことないことをやったほうがいいと思うな。もともとダンサー志望だった人が今はラッパーとして成長していて。今は「私にはラップしかない!」みたいなモードになってるけど、たぶん、まだ出会ってないだけで、彼女が才能を発揮できる分野はほかにもたくさんあると思うんですよ。新しい可能性をどんどん見せてほしい。

himeはアンビバレントなギャップの天才

──次はhimeさんです。

hime

hime

hinako 自分の見せ方が一番わかってる人だよね。いろんな知識があるからこそ。

minan 確かにね。

yuu 誰よりもライブにめっちゃ通ってるしね。

risano アイドル現場でパフォーマンスするときは、一生懸命かわいく振る舞おうと思っていたんです。でもhimeは「こういうときはカッコよく見せたほうがいい」って。逆にヒップホップの現場だとアイドルらしさを出したほうがいいという考え方を聞いて「すごいなあ」と思いました。

hinako 頭がいいですよね。インタビューとかでも言葉をうまくまとめてくれるし、話すのが上手。

minan 加入したときは一番年下で後輩という立場だったから(参照:lyrical school、卒業hinaに代わる新メンバーは元ライムベリーhime)、我慢や妥協をするところもたくさんあったと思うけど、だんだん自分がやりたいことや思っていることを口にしてくれるようになってきて。本人がそうしたいと思っているかはわからない、「lyrical schoolのhime」として自己プロデュースしているだけかもしれないけど、鳥籠の中に入った状態からだんだんと広げられるようになったのはすごくよかったなと思ってます。

hinako あと、いつも人形を持ち歩いててかわいい(笑)。

minan ななみね(笑)。

hinako これは言っておきたい! かわいいの! ゴリゴリにラップしてたかと思うと、バッグから人形が出てくるんですよ(笑)。

minan わかる! 遠征ってただでさえ荷物が多くて大変なのに、それ持ってくる!?って思うもんね(笑)。

hinako ごはんのときは真っ先に人形に食べさせるんですよ! もうかわいい。贈る言葉……これからもそれ続けてください!

yuu うん、続けてほしい! これからも。

minan あのアンビバレントさが魅力だよね。

hinako それが言いたかった! ギャップの天才。

yuu ギャップ萌えだねー。

risano 今後のことは本人が一切言わないからわからないけど、私はヒップホップの知識を生かして評論家とかライターのような仕事もしてほしい。詳しいうえにラッパーとしての経験も乗るから、すごく面白いと思う。私も読みたいもん。

yuu 自分で表現する道を選ばなかったとしても、ヒップホップに関わり続けてほしい。

minan 中学生の頃からアイドルをやってきたから、できなかったことがたくさんあると思うし、ひとまずは好きなように生きてほしいですね。

hinako 肩の力を抜いて、好きなことをしてほしい!

minanは本当は妹キャラ

──最後に、リリスクを続けていく決心をしたminanさんに、グループを去る4人から贈る言葉を。

minan

minan

hinako minanちゃんは、言葉にしては言わないんだけど、ちゃんと周りのことを見てるんですよ。

risano ちょっと待って、まったく同じ。

hime 私も同じこと言おうと思ってたんだけど(笑)。今回もさ、こうやってみんなの話をするのを聞いていても「あっ、そんなふうに見てくれてたんだ!」と思ったくらい。

risano 個人個人に対してはたまに言ってくれるんですけど。

yuu うん。1対1でね。

risano みんなでいるときはいつも一歩引いて見ているんだけど、誰よりもlyrical schoolのことを考えてる。

hinako 一緒にごはんに行くときも、「hinakoはこれがいいんでしょ」とわかっていて、自分は違うのを選んでくれるんです。

yuu 自分よりも他人を優先して。本当はね、「自分はこれがいい」という思いがあるはずなんですよ。「私はこうしたい」という意思がしっかりあるタイプ。だけど、みんなのことを第一に考えて、うちらのことを思ってくれているのが伝わってきます。

──さっきの野音セットリストの話も、まさにそうでしたね。

hime minanちゃん、このグループの中では一番年上だし一番長くいるから、5人の中ではずっと長女みたいなポジションですけど、実際は歳の離れたお姉さんがいる、末っ子なんですよ。私は妹がいるからなんとなくわかるんですけど、ちょこちょこ「妹っぽいな」と感じるところがあって。本当は甘えたいんだろうなと思うけど、私たちをまとめるために、無理をしてる部分があると思う。妹キャラなんですよ本当は。最近はお姉さん通り越してお母さんみたいだけど(笑)。

yuu うん(笑)。でも属性的には本当はお姉さんキャラじゃない。

risano そんな気遣いをずっとわかってあげられなくてごめんね、という気持ちもある。だからたまに甘えてくれるとうれしいし、ホントはもっと甘えてほしいんですよ(笑)。

hinako 気にしいだし、弱虫さんだし。あまり人には見せないけど、一番泣いちゃってると思う。

hime 私たちがこう言ってるの、minanちゃんはこの記事が出るときに初めて知るんだよね? だったら記事が出てから野音までの間だけでも、妹として過ごしてほしい(笑)。野音のあとはどういう形になるかわからないけど、minanちゃんはもっと自由に、どんどん自分の意見を言っていいと思う。

yuu うん。遠慮せずに、自分がやりたいことをどんどん発信してほしい。

hinako 私とyuuとrisanoがリリスクに入れたのはさ、元をたどればminanちゃんとhimeがリリスクを続けてくれたからなんですよ。うちら3人はめっちゃ感謝しているし、これからはもっと自分らしく、楽しく活動してほしいです。

hime お姉さんにならなくちゃ!とか思わずに、本当に自由に、minanちゃんらしさを発揮してほしいです。

公演情報

lyrical school tour 2022 "L.S." FINAL @日比谷野外音楽堂

2022年7月24日(日)東京都 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)
OPEN 16:00 / START 17:00

プロフィール

lyrical school(リリカルスクール)

「清純派ヒップホップアイドルユニット」というコンセプトのもとオーディションで選ばれた6人のメンバーにより「tengal6」として2010年に結成。2012年にタワーレコードのアイドルレーベル・T-Palette Recordsに移籍し、それを機にユニット名を「lyrical school」に改名した。メンバーの変遷を経て、2017年5月にminan、hime、hinako、yuu、risanoの5人体制による活動を開始。同年7月に自主レーベルより現体制第1弾シングル「夏休みのBABY」、12月にシングル「つれてってよ / CALL ME TIGHT」、2018年6月に現体制初のフルアルバム「WORLD'S END」をリリースした。2019年5月にビクターエンタテインメント内のレーベル・CONNECTONEに移籍し、同年9月に「BE KIND REWIND」、2021年4月に「Wonderland」、2022年4月に「L.S.」と3枚のアルバムをリリース。「L.S.」は現体制最後のアルバムで、7月に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)で行われるアルバムリリースツアーの最終公演「lyrical school tour 2022 "L.S." FINAL」をもってhime、hinako、yuu、risanoの4名がグループを卒業する。