野外フェスの日中向きというより、夕暮れ時に合うミニアルバム

──そんな「タシカなカタチ」を中心に構成された1枚ですが、他5曲の選曲のポイントなどはあったんですか？

寺井　サウンド的には、地味……ですかね（笑）。地味っていうとあまりイメージが良くないかもしれないけど、“感動”っていうのはワーッという賑やかな中にあるものだけじゃないし、心にじわ～っとくるものでもいいと思ってて。僕らの味としては、やっぱり後者のほうやな、と。だから野外フェスの出演時間帯で言ったら、日中というより、夕暮れ時のほうやな、と。

──なるほど。あと、アルバムのラストを飾る曲「カナカナ」も、今後のLOVE LOVE LOVEの進むべき道を照らしていそうな穏やかで希望に満ちたナンバーですね。そもそも“カナカナ”という言葉はどこから？

寺井　これはヒグラシの別名なんです。地域によって違うみたいですが、少なくとも僕と父親はカナカナって呼んでて。

浦山　僕も最近知ったんですけど、カナカナってヒグラシの鳴き声から来てるんですって。

──あぁ。確かにあの懐かしい音には、子供時代の風景を思い出しますよね。

寺井　そうなんです。この曲も、僕が小学生の頃によく歩いた山手の坂道や周辺の森がモチーフになっていて。メッセージとしては簡潔に“悲しみを輝きに変えていきたい”っていうことを歌ってるんですが、それはこのアルバム全体の趣旨のひとつでもありますね。だから最後に持ってこられて良かったなぁと。

──その先をまた期待させてくれそうな感じもあり。

寺井　まぁ……プレッシャーですけどね（笑）。

ずっと語り継がれるような曲を作れるバンドになりたい

──でも寺井さんって、自分自身に圧をかけてこそ輝けるタイプなのでは？

寺井　多分そうですね。褒められると逆に違和感があるんですよ。誕生日パーティとかされると、すごいうれしいんですけど逃げたくなる（笑）。素直に「ありがとう」と言えないっていうか。だから結構、首をしめられたほうがうれしいタイプですね（笑）。

──お2人は？

浦山　僕らはそんなことないですね。

澤本　褒められたいです！

浦山　ムチも要りますけど、適度には飴も欲しいですね、やっぱり（笑）。

──あはは（笑）。さて、2月にはシングルリリースも控えていますが、2010年はどういった活動をしていきますか？

寺井　やっと軸がしっかりして、ようやく自信を持って曲を作れるなっていう段階に来たので。そういう成長を、楽曲やライブでも打ち出していけたらと思います。伝えたいっていう気持ちも以前より強くなってきた分、それをしっかり届けるために頑張っていきたいですね。

──バンドの思いや行く先がクリアになったことで、楽曲のクオリティも高くなっていくのでは？

寺井　楽曲に関しては、すぐ消費されてしまうような音楽は作りたくなくて。例えば山下達郎さんの曲みたいにずっと語り継がれるような曲を作れるバンドになるのが大きな目標だと思っています。2010年はそこを目指して全力でやっていきたいですね。