曲がその人の中で育つって、素敵だなと思う

──だからでしょうか。この2曲には不思議な共通点を感じて。

寺井　できた時期としては、「ハルカナ、ハル」の1年後くらいに「マッシュ」ですね。「ハルカナ～」は上京する頃に作って、そこから今回のアルバム制作のコンセプトとしてコーラスって いうのが大きく出てきたかな。

──この曲は恋愛の歌詞にもとれるし、母親のメッセージともとれる。実際はどっちなんですか？

寺井　えっと……京都のライブハウスの店長のことでした（笑）。あとはオトンとオカン、それに勝手に他人の彼女を想像したりとか（笑）。でもいずれにしろ、それはみんな同じベクトルですよね。大切な人だから離れたくないとか、心配もするし。

──そうですね。

寺井　でも僕は歌詞を書くとき、それぞれの人の画を浮かべてほしいと思ってて。楽曲もバンドのものだとはぜんぜん思わないんですよ。僕らが作った曲を聴いて、その人の中でなにか景色や気持ちが広がった時点で初めて曲になるっていうか。だからあんまり、言い切りたくない。余白の美学みたいな？ これ、多分松任谷由実さんが言ってたんですけど（笑）、行間が大事だなって。曲がその人の中で育つって素敵だなーと思うんです。

──アルバム1枚を通して聴くと、確かにそれがよくわかります。あと、テンポ的には激しかったりアップっていうよりは、ミドル系が多いのかなと。

寺井　そうですね、なぜかミドルに寄る傾向にあり、それがちょっと悩みだったり。ミドルからスローにかけてが圧倒的に多いので、最近、ものすごいテンポ上げたりしてるんですよ（笑）。「狂える僕らの深層心理」とかもそうなんですが、とりあえずテンポ上げてみよう、みたいな。でも、それでも上がんないんですよ。

澤本　どうしても、ゆっくりになっちゃうんですよね（苦笑）。

ただやりたい！ と思っていた気持ちが、空の圧倒的な部分とリンクする気がして

──最後に今回のタイトル「ソライロノオト」は、「空色ノート」と「空色の音」のダブルミーニングですよね。“空”を意識している理由は？

寺井　僕、“ソライロ”っていう言葉をずっと使いたくて。昔から青に対するこだわりがハンパないんですよね、歴代のベースもほぼ青だったり。

浦山　ベースのケースまで青ですからね（笑）。

寺井　あと空もすごく好きで。それも、真っ青な空の青。疲れたり悩んだときによく見るんですが「それって何でかな？」と思って考えたら、空ってめっちゃ大きいじゃないですか？ 信じら れないくらいに。それを見てると、どんなにしんどいことでも何でもできそうな気持ちになれるからだったんですよね。

──ああ、わかります！

寺井　あと、それってバンドができたときの気持ちとイコールだと思って。当時は根拠もなく、ただやりたい！ っていう気持ちだけで始まったんですが、それが空の圧倒的な部分とリンクし てる気がして。“ノート”っていうのは家でシャワーを浴びてるときに「あ、ノート！」って思い付いて。音や思い出っていう意味があるんですけど、それって各々の曲のことだったりするし、これはもう「ソライロノート」しかないと思って。

──満場一致で？

浦山　そうですね。

澤本　ソライロっていうのも、夕焼けだったり雨だったり夜だったりいろんな空があって。いろんな心情がテーマになっている曲も多いのでピッタリだなって。

ライブは告白だって思ってるので

──6月26日からはレコ発ツアーもスタート。最後に抱負をお願いします。

寺井　アルバム制作で悩んだことを経て、今は3人の結束がすごく強くなってて。ライブのグルーヴも良くなってきてると思うので、3人が一丸となってるところを見てもらえたらなと。音源に関しては、それぞれの景色を浮かべて聴いてほしいって思います。

浦山　音源はそれぞれが聴きながらいろんな気持ちになってもらって。ライブは直接僕らの気持ちが伝わればなと思います。

寺井　最近は特に（ライブは）気持ちを投げてまた返してもらってっていうキャッチボールが大事なんだなって。聴いてくれる人と一番近い距離に行けるから、ライブは告白だって思ってますから。

澤本　じゃあ僕は……告白します！（笑）。1本1本のライブを大切にやっていくのはもちろん、今からテンションを上げていって楽しいものにできたらと思います。

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