「Lizaって何?」
──ミニアルバム「PARARAPA MIXTAPE」の話に入りますが、先行配信曲「PARALLEL feat. 7」はすでにバイラルヒットを起こしていますね。
率直にうれしい気持ちがあります。聴いてくれる人、認知してくれる人が増えたのはプラスだと思うし、海外からの反応もよくて。
──「PARALLEL feat. 7」はChaki Zuluさんのプロデュース曲ですね。
Chakiさんと制作を重ねる中で、「俺の趣味に全振りした曲をやりたい」という話が上がって、これから日本で流行りそう、かつ、ChakiさんがLizaとやってみたいサウンドということで提示されたのがこのトラックで。私自身もけっこう適当にラップしたんです。適当というのは雑という意味ではなく、脱力した感じ。それがハマって「これでいこう」と。
──でも、バイレファンキ調のダンスビートだから、ここにガツガツした意味の強いラップが乗っても変ですよね。
そうですよね。ゲストの7ちゃんもホントにサクッと作ってたし。だから単純に楽しい制作でした。こういった脱力ラップみたいなのは、今後もやっていきたい。
──「PARAPARA MIXTAPE」がChaki Zuluさんのフルプロデュースによる作品となった経緯は?
これからもずっと一緒に作っていける人が欲しかったんです。いろんなプロデューサーと曲ごとに作るのも楽しいけど、基本的には1曲単位の制作になりますよね。そうすると、曲ごとにジャンルやアプローチ、お互いの理解度やオーダーも変わるから、イメージが分散してしまう。でも、1人のプロデューサーとしっかり作る体制を築くことができれば、何をやりたいのか、何を求めているのかをお互いに理解することができるんじゃないかなって。
──曲ごとにプロデューサーを変えることで、複数の視点からのアプローチができたり、Lizaさんのいろんな側面をピックアップすることもできると思うけど、メインプロデューサーを決めることで、“全身”を見てもらえる人を作りたかった?
そういうことかもしれないですね。これからもいろんなプロデューサーと作っていくとは思うんですけど、その前提として、Chakiさんというメインプロデューサーが今の私には必要だった。「一緒にがんばっていこう」ってこちらに愛情を向けてくれるし、私もChakiさんと作ることでめちゃくちゃ向上してる。ブレて迷子になっているときにChakiさんと出会って、自分を取り戻せたんです。
──先ほど話していた迷走の期間に。
はい。その時期にChakiさんと出会って、最初に「Lizaは何をやりたいの?」「Lizaって何?」と言われて、その問いかけに私は答えられなかったんですよね。それで、「あ、私が迷走している理由はこれだ」と気付いて。当時は明確な目標がなかったし、ゴールがないまま走ってたから、自分自身がどこにたどり着いていいのかもわかってなかった。でも、Chakiさんがそれをズバッと指摘してくれて。こう言ってくれる人を大事にしたいし、一緒に作りたいと思って、今回フルプロデュースをお願いしました。
──Chakiさんとの制作で印象に残っているのは?
何時間も話し合うことですね。「こういう曲が作りたい」「なんでそれをやりたいの?」というディスカッションをひたすら重ねる。それで結局作らなくなった曲もあるし、「そんな思いがあるなら作ろう」みたいな方向に進むこともあって。
──思いを言語化して整理したり、要素を固めていくためのディスカッションをするわけですね。そこでイメージがフワフワしてたらNGになるし、思いが強ければ進んでいくという。
ブレやすい部分を明確にしてくれたり、筋道を一緒に作ってくれたりするんです。「PARAGRAPH」も制作時間の半分ぐらいを話し合いに費やして。なぜ私は今この曲を作らないといけないのか伝えました。
──そこまでディスカッションを重ねた理由は?
「PARAGRAPH」はテーマ的に個性がないと思うんですよ。いわゆる普通の曲というか。
──リリックやボーカルワークという部分での個性は当然ありますが、パッケージとしてはラブソング、別れ歌という定番の構造ではありますね。
そういう曲を作ることに対して、あまりメリットはないと思うし、Chakiさんも「そのテーマで俺が作る必要はあるの?」って。でも、どうしても自分はこの曲を作って、それをリリースしないと前に進めないという意思を伝えて、Chakiさんにも納得してもらって今回の形になりました。
とにかく自分を認めさせたい
──本作の収録曲のタイトルにはすべて「PARA」という接頭辞がついていますね。
きっかけは「PARANOID」です。最初、曲のタイトルを決めないで作っていたんですよ。そのリリックに出てきた“PARANOID”をChakiさんが気に入ってくれて、タイトルも「PARANOID」になった。それが今回のアルバムの最初にできた曲だったんですけど、ほかの曲にも「PARA~」というワードが出てきたんで、「じゃあPARAをテーマにするのも面白いかもね」という話になり、PARAで始まる単語を選び出して、テーマにできそうな単語から曲を広げていって、この9曲に着地しました。
──今回の「PARAPARA MIXTAPE」は、ミックステープといってもDJミックスではなく、“自分の好きな曲を集めたテープ”という意味のミックステープに近いですね。
KOHH(現:千葉雄喜)さんのミックステープ「YELLOW T△PE」みたいな、「こんなカッコいい曲もノリで作っちゃうよ」みたいな感覚で出したかったんです。「このアルバムで勝負します」「これこそLizaです」という気持ちではなく、「Lizaが今作りたい、カッコいいと思う曲はこれです」みたいな。そういうラフなイメージでリリースしたかった。
──ジャケットにはY2K的なイメージも織り込まれていますね。
2000年代リバイバルみたいな現象を、洋服とかビジュアルに取り入れようかなって。当時のギャルはパラパラの曲をMDに入れることが多かったと聞いたので、「PARAPARA」というタイトルにもつながるかなと。
──ただ、「RAPAPARA」はまったくパラパラサウンドではないし、むしろ今作の中で一番アバンギャルドなくらいですね。
パラパラの“陽”な感じからは遠いですね。一番暗い(笑)。
──でも、これまでのLizaさんの作品に近いのは「PARAPARA」だとも思いました。
そうですね。「PARAPARA MIXTAPE」に収録されている曲の半分くらいが明るい方向になっているのは、ラフに、ノリでチャレンジしてる部分も大きいからですね。ただ、人間としての基本は“陰”の部分が強いので(笑)。「PARAPARA」みたいなダークな曲はこれからも作っていきます。
──今のLizaさんの目標はなんですか?
狭い世界には留まっていたくないので、行けるところまでは行きたい。トップまで到達したいという気持ちが強いです。いろんな人たちに自分の音楽が届くところまで行きたい。
──そういった願望はあるんですね。
もう死ぬほど負けず嫌いなんで。とにかく自分を認めさせたいと思っているし、そのための制作やライブを続けていくことが、今の目標ですね。
プロフィール
Liza(リーザ)
ロシア出身のアーティスト。2022年7月にアルバム「Who Am I?(DELUXE)」をリリースし、Apple Musicのオルタナティブチャートで3位を獲得する。2024年10月リリースの楽曲「PARALLEL feat. 7」は、TikTokで総合視聴数7億回を突破し、数々のチャートにランクイン。2025年3月19日にミニアルバム「PARAPARA MIXTAPE」を配信リリースした。