お前、がんばったなあ

──ハジ→さんの最近の活動についても伺いたいのですが、昨年10月にベスト盤をリリースして、今年1月には地元・仙台でのライブで結婚を発表しました。大きな節目が続いていますね。

そうですね。ベストを出すことになったのは、去年の4月に発表した「君と。」がありがたいことにたくさんの方に聴いてもらえたことがきっかけだったんです。「ベストを出すなら今年じゃないか」っていう流れになって。

──そうだったんですね。これまでの軌跡をまとめた作品を手にして、どんなことを思いましたか？

いやあ「お前、がんばったなあ」って感じでしたね（笑）。僕は楽器も弾けないし「レコーディングってどうやるの？」っていうような、本当に初歩から音楽活動を始めたんですよ。ライブにしたって最初の頃はお客さんが全然いなかったから、ライブのやり方やファンとの接し方はどうすればいいんだろう？って、とにかく本当にいろんな勉強があって。そんなことを、ベスト盤を聴きながらばあーっと思い出しましたね。「あのときつらかったなあ」とか、いろんな経験を思い出させてくれました。そして、また初心に返ってスタートしようっていう気持ちになれた。

──Listen withのイベントの最中にも「ここまで諦めなくてよかった」とコメントされていたのが印象的でした。

ああ、そうですね（笑）。いきものがかりさんの「SAKURA」が流れているときにそういう気持ちになったんです。昔、仙台のクラブで活動していたとき、将来のことは何も決まっていないしファンもそんなにいるわけじゃないしで、挫折感を感じて悩んでいたんですよ。そんなときに仙台の七夕祭りのライブステージにいきものがかりさんが歌いに来てらしたのを観たんです。そのライブを観て「すげえなプロって」と思って……とにかく歌声が素敵で泣けてきた。「自分もこんなふうになりたい」ってそこで気持ちを新たにしたことを「SAKURA」を聴いていたら思い出したんですよね。

ファンとの絆をちゃんと築き上げてこれていたんだ

──そして、2月24日には新曲「絆。」を発表しました。この曲はどういったきっかけで生まれたんでしょう？

ファンに向けて結婚の報告をするべきなのかしないほうがいいのか、っていうことを考えたことがきっかけです。僕、本気で悩んだんですよ。で、その結果今年の1月の5周年記念ワンマンのときに発表するって決意して。結婚の報告をしたあとに歌う、今の自分の思いを表す曲を作ろうと思ったんです。

──歌詞はすぐに完成しましたか？

そうですね。まずサビができて、そこからは悩まなかったです。

──ライブで実際に披露したときはいかがだったでしょうか。

会場にいる半分くらいのお客さんが泣いてました（笑）。でも、そのときの状況がなんだかハジ→らしいなって、歌いながら思いましたね。僕は作品作りのとき、とにかくリアルであることにこだわっていて。例えば母ちゃんへの気持ちを歌った曲のミュージックビデオには本当の母ちゃんに出てもらったんだけど、撮影用のライブに招待したら歌いながら俺が泣いちゃって、結局その場面が使われてるとか（笑）、とにかく曲もMVも聴いてくれる人の思い出に寄り添っていたいという気持ちで作ってきたので。だから今回の曲も、自分自身に対して「お前らしいな、それでいいと思うよ」って感じました。

──では、この曲を作って、結婚を発表してよかったと思えた？

ええ、100％よかったです。だって「結婚しました」って報告したとき、みんなすぐに「やったー！」って喜んでくれたんです。「俺が悩みに悩んだ数カ月返して？」って思うくらい（笑）。そんなにまっすぐに祝福してくれるんだって、ちょっと泣かされてしまいましたね。

──ファンの方とより絆が深まった感覚でしょうか。

そうですね。デビューしてからの5年間で、自分はファンとの絆をちゃんと築き上げてこれていたんだ、って思えたんです。だから本当に発表してよかったです。

──そして2月25日からは、ベスト盤を携えた全国ツアーが始まりました。

はい。昨年の「ハジベスト。」をきっかけに僕を知ってくれた方もいると思うので、初めてライブに来てくれる方にもわかりやすいものにしたいし、「想像していた以上のアーティストだ」と感じていただけるようなショーにもしたいなと思っています。

──サブタイトルの「ありがとう、これからもよろしくね☆」という言葉も印象的ですね。

「これからもよろしくね」って、「記念日。」という曲の最後の台詞なんですけど……これ結婚発表してから付けたタイトルみたいですよね？ 実はその前から決まってたんですよ（笑）。でも、本当に今はファンの方に対して「本当にありがとう、これからもよろしくね。」って気持ちです。その思いを、ライブを通してお伝えできればと考えています。