120%の澤野弘之にすごく試されてる
──「ReawakeR(feat. Felix of Stray Kids)」はメロディの譜割りやアクセントが難解で、シンガーとして相当ハイレベルなことを要求される曲だと思いますが、実際に歌ってみてどうでした?
澤野さんは本当にいろんな方に楽曲提供されていますが、アニメや映画とのタイアップのときは、アーティストに対して曲を作るというよりも、作品に対して澤野弘之を120%でぶつける人だと思うんです。だから、今回はそういう意味ですごく試されてる感じがしました。当然ですが、「narrative」のときより澤野さんも進化していて。今の澤野さんのモードを反映して、「ReawakeR(feat. Felix of Stray Kids)」はちょっと重たい、ゴシックな雰囲気があるバンドサウンドになりました。
──この曲はオリジナルバージョンの歌詞も英語の比重が大きいですが、全編英語詞のバージョンもあるとか。
そうなんです! 歌詞をcAnON.さんとBenjaminさんにお願いした一番の理由も、澤野さんの曲で求められる英語っぽい発音を取り入れたかったのと、英語バージョンを作るという前提があって。cAnON.さんとBenjaminさんの歌詞は音ノリがよくて、上手に作品の世界観や意味も込めてくれる方なんですが、自分が書く歌詞とは言葉の使い方がまったく違うので歌うのがすごく難しかったです。発音についても、私は今までできるだけ日本語を日本語らしく届けようと歌ってきたタイプなので、英語っぽく崩した発音で歌うとなると……。
──シンプルに大変そうですよね。
中でも私が一番難しく感じたのは、「青二才の渇望と焦燥」「闇に滲むあの日の肖像」のところ。“む”と“あ”をくっつけて歌うとこういう感じになるんだ、と作詞家としても新しい発見がありました。
──完成した音源を聴いてのご自身の満足度はどうですか?
今まで歌ってきた曲とは全然違うものになったし、すごくいい曲になりました。何より、フィリックスさんに入ってもらってよかったなと思ってます。
あっと驚く新曲群
──「ReawakeR(feat. Felix of Stray Kids)」には世界で活躍するフィリックスさんが参加して、英語バージョンまで制作される。そしてCDシングルとして発売される際のカップリング曲というのもチラッと聴かせてもらったところ……今のLiSAさんは世界を視野に入れているのでは?と感じました。
2024年に6年ぶりのアジアツアーを回らせていただいたのですが、改めて世界の皆さんに自分の楽曲をより届けていきたいと感じました。カップリング曲はそこに向けて、みんなに楽しんでもらえるものを作りたいなと思って生まれたものですね。
──「ReawakeR(feat. Felix of Stray Kids)」と併せて一刻も早くカップリング曲の話をしたいのですが、このインタビューが世に出る段階ではまだ詳細が出ていない予定だそうで。非常にもどかしいです。
あはは。
──新たなコラボを期待していたアーティストとの再タッグもあり。ボーカルが全然違ったので「これは仮歌のデモ音源ですか?」とレーベルの人に確認したんですよ。
私の声だと思わなかった?
──はい。そしたら「ラフミックスだけどボーカルはLiSA本人ですよ」と返信があって本気で驚きました。これ、ホントにLiSAッ子はみんなびっくりすると思います。
顔を見せないミュージックビデオを出したら私だって気付かれないかもしれない(笑)。
──海外にはアニメを通して日本の音楽が知れ渡っていて、LiSAさんのこともアニメ経由で知ったという海外のリスナーがすでに多くいると思います。が、新曲はまた別の角度から海外で勝負を挑もうとしている?という予感があって。
はい。それを理由に楽しいことができそうな感じです(笑)。
2025年は祭りの準備
──前回のインタビューで、2024年は「発明をしよう」がテーマだとお話しされていました。実際に新しいことをいろいろされていましたが、ご自身の中では現段階での“発明”の仕上がり具合、満足度はどうですか?
アリーナツアーを通して「間違ってなかった」と思えたし、自分では満足したかな。ライブに来てくれたお客さんも新しい曲を受け入れてくれていると感じたし、私のことを信じてもらえたんじゃないかなって。
──新しいことを始めると、どうしたって「あの人変わったよね」と言われることもありますよね。長くアーティスト活動をする中では避けて通れないことだと思いますが。「LiSA、変わったよね」と言われて、離れていかれるのは悲しいものですか?
そうですね。「えっ? 私はその手を離してないじゃん」って思う。新しいことをする、新しい場所に踏み出すのはいつだって不安じゃないですか。だけど“発明”を通して私の根底は変わってなくて、「私が今楽しくなれるものが新しい挑戦の中にある」ということをみんなには信頼してもらえているのかな、と勝手に肌で感じています。
──LiSAさんの中ではもう2025年のモードは固まっているのでしょうか?
2026年がソロデビュー15周年なので、2025年は祭りの準備ですね。
──祭りの準備(笑)。
5月のソロデビュー14周年公演(5月14、15日に東京・日本武道館で開催。参照:LiSA、ソロデビュー14周年記念して武道館2DAYS)のタイトルが「RiP SERViCE」で、唇を意味する「LIP」じゃなくて、切り裂くとか切り取るという意味の「RIP」なんですね。悪夢だったり不安だったり、そういうものをカットするライブ。要はお祓いみたいな(笑)。まずはそこで気持ちを新たにして、15周年に向かっていくつもりです。
公演情報
LiSA LiVE is Smile Always~RiP SERViCE~
- 2025年5月14日(水)東京都 日本武道館
- 2025年5月15日(木)東京都 日本武道館
プロフィール
LiSA(リサ)
6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。2010年春、テレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンドGirls Dead Monsterの2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビューを果たす。2014年1月に初の東京・日本武道館ワンマン「LiVE is Smile Always ~今日もいい日だっ~」を行い、翌2015年1月には日本武道館2DAYS「LiVE is Smile Always~PiNK&BLACK~」を成功させた。2019年4月にシングルとしてリリースしたテレビアニメ「鬼滅の刃」のオープニングテーマ「紅蓮華」が大ヒットを記録し、同年末には「NHK紅白歌合戦」に初出場。2020年には映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の主題歌「炎(ほむら)」で「第62回日本レコード大賞」大賞を受賞した。2024年9月から全国8都市を回るアリーナツアー「ソニー銀行 presents LiSA LiVE is Smile Always~COCKTAiL PARTY~ [SWEET&SOUR]」を開催。2025年3月にテレビアニメ「俺だけレベルアップな件 Season 2 -Arise from the Shadow-」のオープニングテーマ「ReawakeR(feat. Felix of Stray Kids)」を収録したシングルをリリースし、5月に日本武道館でソロデビュー14周年ライブを行う。
LiSA (@xlisa_olivex) | Instagram