音楽ナタリー Power Push - LILI LIMIT
フロントマンが語る“練習曲”ができるまで
LILI LIMITが1stミニアルバム「Etudes」を7月8日にリリースする。
自主制作CD「A-E」「modular」の楽曲のクオリティの高さが話題を集め、全国にその名を広めたLILI LIMIT。彼らがメンバー全員で上京し、初のミニアルバムを完成させた。“練習曲”の英訳を冠したアルバムタイトルに、真っ白なジャケットという意味深な今作に彼らが込めた思いとは? フロントマンの牧野純平(Vo)に話を聞いた。
取材・文 / 小林千絵 撮影 / 小坂茂雄
土器大洋との出会い
──音楽ナタリー初登場ということで、まずはバンドの結成の経緯から教えてください。
2012年に山口県で結成しました。少ししてドラムとギターが脱退したので、交流があった土器大洋(G)と一緒に組みたいと思って、黒瀬莉世(B)と2人で彼が住む福岡に引っ越しました。そこで今のメンバーを集めて。去年の春くらいにメンバー全員で上京してきました。
──土器さんと組むために拠点を移すってけっこうなことですよね。土器さんの何に惚れ込んだんですか?
佇まいですかね。同い年なんですけど、ちょっとほかの人とは何か違う感じがしてて。僕は彼が前に組んでいたバンドが好きで、土器はそのバンドで曲を作っていたので、その才能に惚れ込んだのかも。あと彼、機材オタクなんですよ。一方、僕は機材のことはあんまりわかんなくて。そういう部分でも惹かれましたね。
──じゃあ一緒に曲を作るようになってずいぶん影響を受けたんじゃないですか?
だいぶ受けましたね。曲作りに関しては土器が入るまで、自分がスタジオに断片的なものを持っていって、みんなでセッションしながら作っていくって感じだったんですけど。土器と作ってる今は、僕が作ったものを一度土器に投げて、彼がDAWソフトを使ってアレンジをして、構成を詰めた状態でみんなに投げる。それを各々がアレンジしていくっていう感じです。
──牧野さんと土器さんの間で完成形のすり合わせみたいなのはするんですか?
するときもあれば、直感でやってもらいたいなって思うときもあって。僕がこういう曲にしてほしいっていうイメージを強くしたらバンドとして面白くなくなるっていうか、僕が惚れ込んだ土器大洋じゃなくなるなって思って。そういう部分では土器以外のメンバーにもあまり共有はしないです。それでできたオケからイメージしたものを僕が歌詞にしていて。あくまで“バンド”でありたいんです。
牧野純平の音楽遍歴
──そもそも牧野さんはどういう音楽を聴いてきたんですか?
最初はLed Zeppelinです。実は父がブルースギタリストなんですよ。なので家にレコードが山のようにあって、幼少期からずっとそれらを聴いてて。で、中学2年生のときの担任の先生がメタル、ハードロック好きの若い人だったんですよ。その先生に「Led Zeppelin聴いてみろ」って言われて聴いてみたらすごくよくて。そこからハードロック界隈であったり、先生のオススメする音楽を聴き出して。MetallicaとかNirvanaとかを聴いて、高校に入るタイミングでSigur Rosに出会って。どっぷりSigur Rosにハマってからビョークに行って……という感じです。
──Sigur Rosに惹かれた理由は?
表現とか空気感がすごく美しい。あとボーカルのヨンシー(・ビルギッソン)の歌にはすごく魅力を感じます。音源であれだけ魅力を感じられるのはすごい。「Hoppipolla」が初めて聴いた曲というのもあり、アルバム「Takk...」の曲はほぼ好きですね。
──子供の頃からレコードを聴ける環境があるっていいですよね。
本当にそう思います。父親の部屋にレコードがあるんですけど、高校生くらいから照れくさくてなかなか聴かせてほしいって言えなくなっちゃったんで、今また聴きに行きたいですね。
──家にあったレコードで印象的な1枚ってありますか?
中学2年生のときに父と一緒に聴いたLed Zeppelinのライブバージョンのレコードですね。そのときはすごく衝撃的でした。それ以外は父が適当に選んだのを流してたんで、あんまり覚えてないんですけど。
──テレビから流れてくるJ-POPとかは聴かずに育った?
あ、YUKIさんはずっと好きです。中学1~2年のときに「JOY」が出て。カリスマ性に惹かれました。
──ちなみに最近は何を聴いてますか?
最近は街中で聞こえてきた音楽を、スマホをかざすと曲名がわかるアプリで音楽を聴いてます。僕、服が好きなので洋服屋でウインドウショッピングしながら音楽をピックアップしていく感じです。影響されすぎちゃうので、決まったアーティストや1枚の作品など同じ音楽を聴き続けないようにしているんです。
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収録曲
- Open
- h.e.w.
- Girls like Chagall
- at good mountain
- Tokyo city club
- in your site
- zine line
LILI LIMIT presents Etudes release tour 2015
- 2015年9月11日(金)愛知県 CLUB ROCK'N'ROLL
<出演者>
LILI LIMIT / MAGIC FEELING / Lucky Kilimanjaro / palitextdestroy - 2015年9月13日(日)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
<出演者>
LILI LIMIT / asobius / and more - 2015年9月19日(土)東京都 WWW
<出演者>
LILI LIMIT / Suck a Stew Dry - 2015年9月26日(土)福岡県 Queblick
<出演者>
LILI LIMIT / QOOLAND / Suck a Stew Dry / about a ROOM
LILI LIMIT(リリリミット)
2012年に山口県で結成されたバンド。メンバーチェンジを経て現在は牧野純平(Vo)、土器大洋(G)、黒瀬莉世(B)、志水美日(Key)、丸谷誠治(Dr)の5人で活動している。自主制作CD「A-E」「modular」が残響shopで販売され、全国にその名を広めた。2015年4月にタワーレコード限定シングル「Girls like Chagall / RIP」を発売。同年7月8日に1stミニアルバム「Etudes」をリリースする。