アルバムをただのCDではなく特別なものにしたい

──今回のアコースティックアレンジや、過去のアルバムでのボーナストラックもそうですが、LAST ALLIANCEは毎回それぞれの作品にそこでしか聴けない付加価値を付けていますね。

ここ数年はわりとそういう意識を強く持っていますね。自分たちが「これをやりたいんだ」っていう自己顕示欲だけじゃなくて、その作品を出す意味も考えるようになったし、最終的にそういった作品をライブで観客に共感してもらわないと何の意味もないし。LAST ALLIANCEは10年間にいろんな作品を出していて、初期の頃から聴いてくれてるお客さんもいれば、最近聴き始めたっていう高校生もいる。ハードルも高いし難しいところだけど、その両者が好きなものをどれくらい1枚の作品に集約できるか常に挑戦していきたいですね。

──その挑戦の一環として、バンドとしてできることをしていると？

はい。そうすることで、「一番好きなバンドはLAST ALLIANCE」っていう子を1人でも多くしたいんです。今はとにかくカッコいいバンドがたくさんいて、特にここ数年は自分たちよりも下の世代からどんどんカッコいいバンドが出てきてる。そんな中から、別に何万人とかじゃなくていいから、1人でも多く自分たちのファンを増やしていきたい。そういう思いがあるから、アルバム1枚取ってもただの12曲入りのCDってだけじゃない、特別なものにしたいんです。

新しいアルバム2枚と新しいシングル1枚として接してほしい

──若いファンの中にはライブには足を運ぶけど、CDにまでは手が回らないっていう人もいると思いますが、そういうファンは気になりませんか？

ライブに来てもらうのが最終的な目標だし、それはそれでうれしいですよ。CDを電車や家で聴いてその音楽を共有するのもうれしいですけど、やっぱりライブハウスへ来てくれる人が多いほうが僕らもテンション上がる。でも、ライブのチケット代って結構高いし、CDを1枚買うのと同じような値段だから、CDにまで手が回らないのもしょうがないのかなって。だから、最初は友達から借りたりお店でレンタルしてもいい。でも僕らは、そういった人たちがすごくいい作品に巡り会えたと思ってくれたら、そして僕らのことが好きになってくれたら、「このCDを購入したい」と思わせたいし、そういう作品を作りたいんです。「『片膝の汚れ』って曲がすごくいいんだよな」みたいに軽い感じで始まって、最初はYouTubeでもいいし、友達から借りてもいい。そこでちゃんと聴いたときに、もし気に入ったらリリースタイミングじゃなくてもいいからCDを買ってくれたらうれしいな、と思ってます。

──最終的に「これは手に入れたい、持っていたい」と思わせたいと。

そうです。「持っていたい」って最高ですね。「持っていたい」と思うようになったってことは、そのCDがやっと彼なり彼女なりにとって特別なものになったってことですし。

──そういう意味で、最近の作品にはその「持っていたい」と思わせる要素が強く出ていると思うんです。それこそ初期からのファンならシングルを全部持っているかもしれないけど、それでも「持っていたい」と思ってしまう要素は今回のアルバムにもありますし。

そういう人にも楽しんでもらえるんじゃないかなっていう要素はがんばって入れてるんで、十分楽しめるものになってると思ってます。なのでベスト盤という感覚を持たずに、新しいアルバム2枚と新しいシングル1枚として接してほしいですね。