ナタリー PowerPush - LAST ALLIANCE

MATSUMURAが明かす進化の理由

LAST ALLIANCEが通算7枚目となるフルアルバム「Seventh Sense」をリリースする。オリジナルアルバムとしては約2年ぶりとなる本作だが、彼らはその間にバンド結成10周年を迎え、それまでの活動を総括するようなアイテム(アルバム「Complete Single Collection『c.s.c20022011』」、DVD「Welcome to the Alliance」)を発表している。そんな彼らが新たに送る今作は、今まで以上に歌心を追求した意欲作。パンクやメロコアといったカテゴライズを超越した、ポップさの際立つ楽曲がズラリと並ぶ。バンドとしての節目を経て、なぜLAST ALLIANCEはこのような作品を作り上げたのか。MATSUMURA(Vo, B)に話を聞いた。

なお、前回の特集で好評だったメンバー4人によるセルフライナーノーツを今回も掲載。4人の個性が強くにじみ出たコメントを、アルバムを楽しむ際の参考にしてほしい。

取材・文 / 西廣智一 インタビュー撮影 / 佐藤類

MATSUMURA インタビュー

これまででマックスに振り切れてるかもしれない

──すごいアルバムが完成しましたね。正直びっくりしました。

MATSUMURA(Vo, B)

本当ですか? うれしいな。単純な好みもあると思うんですけど、レーベルのスタッフも「今までで一番好きです」って言ってくれるし、自分たちのやろうとしたことは間違ってなかったのかなって思いました。

──今回のアルバムはどういった内容にしようと考えてましたか?

いつもアルバムのテーマはそこまで決め込まないんですけど、今回は大まかに「キャッチーでポップな歌モノにシフトしよう」って考えて。アレンジに関しても、これまででマックスに振り切れてるかもしれないですね。例えば今までならストリングスをPCで打ち込んでアクセント程度に入れてみたこともあるんですけど、今回は本物のストリングスを入れて、そこを全面に打ち出してるし。

──なぜ歌モノ中心の作品にしようと思ったんですか?

去年結成10周年を迎えて、そこでひと区切りがついたというか、「バンドとしてひと通りやっちゃったな」みたいな気持ちになって。前作(「for staying real BLUE.」)、前々作の(「Keep on smashing blue,」)のときはお客さんの「ライブでみんな一緒に暴れたい」っていうニーズを踏まえて作ったところもあるし。じゃあ今回は改めて自分たちにどういった新しいことができるかと考えたときに、「メロディや歌に焦点を当てた、キャッチーな楽曲」というテーマが思い浮かんだんです。

僕とANZAIはJ-POP的、佐野は洋楽のポップさ

──今回のアルバムはイントロで驚かされる曲が多い気がしました。

あ、そうですか?

──はい。例えば4曲目「灯」のイントロのギターフレーズは、ちょっとポストロックやニューウェイブっぽくて今までのLAST ALLIANCEにはなかったタイプかなと思ったんですが。

そこはもう完全に佐野(しんご / G)のテリトリーで、僕らはタッチしてないんで。彼の自分の中での流行りが反映されてると思いますよ。特に今回は歌ってますよね、ギターが。

──6曲目のミディアムナンバー「通り雨」もクリーントーンのギターサウンドを多用したアレンジで、あくまで歌が軸にあるんだなってことを感じさせられました。

MATSUMURA(Vo, B)

「通り雨」に関してはギターの歪みをだいぶ減らしてるんですよ。本当は思い切ってディストーションをすべて切ってみようかと思ったんですけど、結果的にはこれぐらいに抑えたものがいい仕上がりになったんです。

──実は個人的に今回のアルバムで、佐野さんが作詞作曲した「ディデュディディ」と「ハローエンドグッバイ」は新たなLAST ALLIANCEの鍵になる2曲だと思っていて。全編聴き終えたときに特に印象に残ったのがこの2曲なんです。

彼は洋楽志向でガチャガチャしたロックが好きで、もともとJ-POP的なサウンドから一番遠い立ち位置だと思うんです。この2曲はそんな中で彼なりに考えた末のポップ感だと思いますよ。僕とANZAIはわりと邦楽……J-POP的なポップさを打ち出したけど、佐野は完全に洋楽のポップさですよね。

──「ディデュディディ」は歌詞の英語のフレーズの中に日本語が混じっていて、日本語だと感じさせない歌い方をしているところが面白くて。

今回佐野が自分で歌詞を書いていて、僕やANZAIとは違った歌詞にしたかったというのはあったんでしょうね。僕とANZAIはメッセージ性を重視した歌詞を書くことが多いけど、佐野はもっと言葉遊びや言葉の響きを重視したかったみたいで。そこでの棲み分けはうまくできていて面白いと思います。

ニューアルバム「Seventh Sense」/ 2013年3月20日発売 / VAP / VPCC-81764
CD収録曲
  1. BLUE BIRD SHERRY
  2. タナトス
  3. ディデュディディ
  4. a burning bullet
  5. 通り雨
  6. ハローエンドグッバイ
  7. DELETE
  8. 人間に告ぐ
  9. Sensation
  10. time-lag-cloud
  11. つぼみ

LAST ALLIANCE
Seventh Sense TOUR 2013

2013年5月4日(土・祝)
北海道・札幌KLUB COUNTER ACTION
2013年5月6日(月・祝)
宮城県 仙台MACANA
2013年5月12日(日)
愛知県 名古屋APOLLO THEATER
2013年6月15日(土)
大阪府 心斎橋JANUS
2013年6月23日(日)
福岡県 福岡DRUM SON
2013年6月30日(日)
石川県 金沢vanvan V4
2013年7月28日(日)
東京都 LIQUIDROOM ebisu
LAST ALLIANCE(らすとあらいあんす)

2002年に結成されたANZAI(Vo, G)、MATSUMURA(Vo, B)、佐野しんご(G)、HIROSHI(Dr)からなるロックバンド。ANZAIとMATSUMURAのツインボーカルを活かしたエモーショナルな楽曲と、文学的でメッセージ性の強い歌詞が高い支持を集めている。精力的なライブ活動を経て、2003年6月に1stシングル「LAST ALLIANCE」をタワーレコード限定でリリース。続いて7月には1stアルバム「TEARS LIBRARY」を発表し、好セールスを記録する。また、自主企画イベント「UPRISING」や野外イベント「UPFIELD」も定期的に開催しており、毎回強力な出演者で話題となっている。さらに、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「COUNTDOWN JAPAN」「京都大作戦」「PUNKSPRING」といった大型フェスにも出演。2007年からは活動の場をメジャーフィールドに移し、数々のシングルやアルバムを発表している。バンド結成10周年を迎えた2012年には、過去に発売したシングルの収録曲を網羅した「Complete Single Collection『c.s.c20022011』」、バンド初のリクエストツアー「C.L.C TOUR 2012」ファイナル公演の模様を収めたDVD「Welcome to the Alliance」を発売。2013年3月にはニューアルバム「Seventh Sense」をリリースする。