音楽ナタリー Power Push - 杏子「イカサマ美男子 feat. リンダ / Magenta Butterfly」特集 杏子×リンダ対談
「女の友情」描く2人のバンド愛
男の奪い合いで生まれる友情
──歌詞の内容については?
杏子 それもイマサにお任せです。私がすごいなって思ったのは……女同士で1人の男を奪い合ってると、女と女の間にヘンな友情が生まれることがあるんですよ。いろんな恋愛事情をリサーチした結果わかったことなんですけど(笑)。そういう女同士の結託って、すごく強いんですよね。イマサがそのことを知ってるっていうのは、ちょっと怖いですけど(笑)。
リンダ 女の友達同士で1人の男を取り合って、結果的に2人共男を捨てるってこともあるし(笑)。こういう女同士のバトルの曲は聴いたことがなかったし、すごく新鮮でした。
──レコーディングはどうでした?
リンダ 私は意識して寄せているつもりはないんですけど、自分が聴いてきたルーツの1つに杏子さんの歌があるからか、イマサさんが「双子みたいに似てる。どっちの声かわからない」っておっしゃってて。
杏子 歌い出しのところは私が上のパートを歌って、リンダが下を歌っているんだけど、スピーカーでチェックしてみると「あれ? 私、下のパートを歌ったんだっけ?」って思ったり。でも、掛け合いの部分ではリンダのキュートなところがしっかり出てきて。イマサもシメシメって感じで喜んでました。
リンダ 全然似てないんですよ、私が聴くと。レコーディング中にヘッドフォンで聴いているときも、杏子さんの声は本当にすごかったので。
憧れの2人とレコーディング
──BARBEE BOYSをリスペクトしているリンダさんにとって、杏子さん、いまみちさんが一緒にいるレコーディング現場というのはシビれますね。
リンダ シビれますよ! レコーディングでは私が先に歌わせてもらったんですけど、杏子さんが歌っているときにブースの中にイマサさんが入って、2人が近距離で話しているときなんて「ヤバい! シャッターチャンス!」みたいな感じでした(笑)。BARBEEのときもこういう感じで曲を作ってたんだろうな、と。
杏子 バンドの頃のほうが、今よりも距離感があったかもしれないです。BARBEE BOYSのレコーディングのときは、できるだけ何も言われないようにして、OKが出たらすぐにスタジオから逃げてたから(笑)。あとから歌い直しをするのがイヤだったんです。
リンダ へー。
杏子 たとえば「負けるもんか」という曲はメンバー全員、すごく思い入れがあったんです。ずっとアルバムに収録するタイミングを探ってたんだけど、ある日の夜中に「もう1回歌ってみて。そこでうまくいったら収録しよう」って電話がかかってきて。そのときも「けっこうです!」って断ったんです(笑)。怖かったのかなあ。「そんな時間から歌って、うまくいくはずもない!」って、逃げてたのかも。
──いろいろとプレッシャーを感じていたのかもしれないですね。
杏子 BARBEE BOYSはもともと、男子4人で結成したバンドだったので。今になると「どうしてあんなに気にしてたんだろう?」って思うんだけど、私はあとからバンドに加入したからどうしても不安みたいなものが拭えなくて。ソロになって、自分でいろいろと経験したことで、イマサともまた一緒に活動できるようになったんだと思います。
──なるほど。「イカサマ美男子 feat. リンダ」のレコーディングにはOKAMOTO’Sのハマ・オカモトさん、オカモトレイジさんが参加していますが、これもいまみちさんのアイデアですか?
杏子 そうです。OKAMOTO'Sは私が2012年に発表した活動20周年アルバム「Sky’s My Limit」に入っている「タイムリミット」という曲に参加してもらったのが最初なんです。その曲もBARBEE BOYSの曲だからイマサの作詞作曲だし、あのときも「カッコいいバンドだね」ってすごく気に入ってて。その後、今回のシングルにも入ってる「あなたにアディクション」を一緒に作って、その流れで「イカサマ美男子 feat. リンダ」にもハマくん、レイジくんに参加してもらって。
リンダ 私もインディーズ時代からOKAMOTO'Sとは何度か対バンしていて。初めて会ったときはまだ高校を卒業したくらいの頃で「若い!」って感じだったんですけど、演奏は当時から本当にうまくて。「やったるぞ!」感がすごいですよね。
杏子 ハマくん、レイジくんのリズム隊って、グルーヴがしっかりできあがってるしね。レコーディングもすごく早かったんですよ。「サウンドチェックしてるのかな?」と思ってたら「もう録れちゃいました」って。イマサがすぐにOKを出したみたいで。
リンダ そうそう。デモに入っていたドラムのフレーズがなかったから「あのパートどうしたの?」ってレイジくんに聞いたら「やろうと思ってたんだけど、ワンテイクでOKになっちゃった」って(笑)。
杏子 イマサはそういうタイプだからね、もともと。
リンダ 直感的ですよね。
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- 杏子 ニューシングル「イカサマ美男子 feat. リンダ / Magenta Butterfly」
- 2016年9月28日発売 / 1500円 / アリオラジャパン / オーガスタレコード / AUCL-206
収録曲
- イカサマ美男子 feat. リンダ
- Magenta Butterfly
- Illumina
- あなたにアディクション with いまみちともたか&OKAMOTO'S
- イカサマ美男子 feat. リンダ(Backing Track)
- Magenta Butterfly(Backing Track)
左 / 杏子(キョウコ)
1983年にロックバンド・BARBEE BOYSのメンバーとして音楽活動を開始。1992年のバンド解散後も個人で活動を継続し、同年11月にはソロ名義初のオリジナルアルバム「Naked Eyes」を発表した。現在、ラジオ番組のパーソナリティ(JFN「杏子のSpice of Life」、Radio NEO「ラジカルNEOナイト」)をはじめ、映画、舞台等、幅広いジャンルで活躍中。
右 / リンダ
2007年にマーヤLOVE、シンノスケboysとともにロックバンド・N'夙川BOYSを結成。同バンド以外に再結成後のPLASTICSのボーカルを担当しているほか、モデル活動も行っている。N'夙川BOYS は2016年2月に行われた東京・恵比寿ガーデンホール公演をもって活動を休止した。現在は新たなバンド活動に向けてロックンロールの修行中。