ナタリー PowerPush - 黒木メイサ

強さだけでなく弱さも表現 歌手としての新境地「MAGAZINE」

女優やモデル業と並行して、2008年からアーティスト活動を積極的に展開している黒木メイサ。自身の嗜好を反映させた最先端のダンスミュージックを通して描き出される凛とした強い女性の姿は、彼女が持っているパブリックイメージとリンクして、多くのリスナーの耳を心地良く刺激してきた。

そんな彼女が満を持してリリースする1stフルアルバム「MAGAZINE」は、これまでのキャリアの集大成でありながら、さまざまなトライによって新たな表情をも感じさせてくれる仕上がりとなった。また、そのタイトルが示すように海外の雑誌をイメージした豪華なパッケージは、楽曲配信が活発になっている現在のシーンにおいて大きな話題を集めることにもなるだろう。

ナタリーでは、アーティストとしてもセンセーショナルな存在であることを明確に印象付ける本作を完成させた黒木メイサにインタビューを敢行。短い時間ながらも、音楽に向けた真摯な思いをたっぷりと語ってくれた。

取材・文/もりひでゆき

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音楽を通すと自分を表現できる

──メイサさんの音楽や歌には、ものすごい“本気感”が漂っているなぁとずっと思っていたんですよ。女優さんやモデルさんが音楽活動をするというのは珍しくはないですけど、他の人たちとはちょっと力の入れ具合が違っているような気がして。そこでまず伺いたいのは、どうして歌おうと思ったかってことなんですけど。

私の場合、“黒木メイサ”というのが芸名だったりもするので、“黒木メイサ”という人物像で話をしなきゃいけない場面があるんですよ。それに、役を演じたらその役で話さなきゃいけない場面もあるし。そうなってくると、自分自身が思ってることとか、普段の感情っていうものを押し殺すのが当たり前になってくるんです。10代の頃は特にそういうことがすごく多くて。そこで、じゃあ自分自身を表現するにはどうしたらいいのかなって思ったときに、音楽がもともと好きだったし、ダンスもやったりしていたので、音楽をやろうって決めたんです。それがきっかけ。

──ありのままの自分を出せる場所が音楽というフィールドだったと。

私はもともと人見知りだったりするし、人づきあいが結構苦手だったりするんですよ。でも、音楽があればなんでもできるというか、音楽を通すと自分を表現できるし、人とコミュニケーションを取ることもできるっていうのは仕事を始める前から感じていたことだったので、自分が歌うということにはすぐ結びつきましたね。

──じゃあ自分で歌ってパフォーマンスすることに対しては、まったく不安もなく?

ん~、今になって思うと最初に出したCDのときとかは、それこそ自分を表現するといってもどこに向けて発信したらいいのかわかんなかったようなところはありましたね。あとは、モデルや女優業をやってるのに、さらに音楽までやると良く思わない人もいるんじゃないか、とか。そういう不安はありました。でも、だからこそ最初は攻める曲ばっかりが集まったというか。実際、自分自身もそういうテンションだったし。人にいろんなこと言われる前に、自分から毒を吐いて吠え散らかすみたいな部分がすごくあったような気はしますね(笑)。当時はそんな風には思ってなかったですけど。

ちょっと弱い部分も見せられるようになった

──アーティストとして2年以上活動してきて、気持ち的にはラクになりました?

そうですね。自分が思ってること、考えてることっていうのを再認識することができました。アーティスト活動をしてると刺激がたくさんあるので、いろんな感情が生まれるし、いろんな発見もできるので、それが役を演じるときにも自然とつながってきているというか。人に伝えることの大切さにも気づきましたし。

──それによって音楽に対する向き合い方にも変化は生まれました?

去年、初めてライブをやらせてもらったこととか、オフィシャルサイトのBBSにファンの子が書き込みをしてくれるようになったことで、自分が伝えるべき存在がやっと見えてきたっていうのはありますね。ファンの子たちが思いを伝えてくれることに対して、私も真剣に応えていきたいなって思うようになりました。

──具体的にはどう応えていく感じなんでしょう?

例えば、今まではダンスミュージックじゃないとイヤだって思ってたのが、バラードで「一人じゃ寂しい」って言ってみたり、ちょっと弱い部分もあるんだよって見せられるようになってきましたね。それはBBSとかで悩み相談をしてきてくれる子に対して、その答えを音楽で伝えていけたらいいなって思うからこそだったりするんですよ。その人が「黒木メイサも悩んだり弱ったりすることがあるんだな」って思って、それで元気になってくれればいいなって。

──確かにこれまでの楽曲は強い女性のイメージでしたもんね。

私自身、強い女性がすごく好きだし、自分も強くなりたいって思ってるから、ずっとそういうイメージで音楽をやってきてるんです。でも、弱さを見せたりとか、自分で弱さを認めた上での強さっていうのも身につけていけたらいいかなって思うので。気を張ってるだけじゃない部分の表現もやっとできるようになったっていう気はします。

1stフルアルバム「MAGAZINE」 / 2011年1月26日発売 / Sony Music Records

  • 初回生産限定盤 type-A [CD+DVD] 4200円(税込) / SRCL-7522~7523 / Amazon.co.jpへ
  • 初回生産限定盤 type-B [CD+DVD] 4200円(税込) / SRCL-7524~7525 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤 [CD] 3059円(税込) / SRCL-7526 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. Intro-MAGAZINE-
  2. LOL!
  3. SWITCH⇔
  4. BYE BYE MY FRIEND
  5. CELEBRATE
  6. SHOCK-運命-
  7. Say Good Night☆
  8. As I Am
  9. Why??
  10. Loneliness
  11. LOVEHOLIC
  12. Wasted
  13. 5-FIVE-
  14. Somewhere...
初回生産限定盤 type-A / DVD収録内容

ビデオクリップ

  • Like This
  • Bad Girl
  • Criminal
  • SHOCK-運命-
  • Are ya Ready?
  • 5-FIVE-
  • LOL!
初回生産限定盤 type-B / DVD収録内容

「LIVE ATTITUDE 2010」ライブ映像

  • Opening
  • Hear the Alarm?
  • SHOCK-運命-
  • Bad Girl
  • Awakening
  • Are ya Ready?
  • Kind Of Guy
  • Stand Up!
  • LOL!
  • MC
  • Wasted
黒木メイサ(くろきめいさ)

1988年生まれ、沖縄県出身の女性シンガー。2004年に女優デビュー。2009年4月にアルバム「hellcat」で歌手デビューを果たし、シングルやミニアルバムを多数リリースしている。2010年10月には東京・恵比寿ガーデンホールで初のワンマンライブ2DAYSを敢行。ファッションイベントなどでも精力的にライブを行い、パワフルな歌声とクールでセクシーなダンスで幅広い層を魅了している。2011年1月、初のオリジナルフルアルバムとなる「MAGAZIINE」をリリース。